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体外受精と生命倫理~2018年7月25日に想う(4)

【まとめ】
【以下本日のお話し】
さてこのように1978年、世界で初めての体外受精児、ルイーズ・ブラウンさんがお生まれになったころは、カトリック教会を先頭に痛烈な批判が浴びせられていたわけです。
何せ「試験管ベビー」ですから、凄い「マイナス」のイメージを植え付けられていたわけです。

しかしながら今日考えてみれば、これほど強力な不妊治療は無いわけで、その圧倒的な実力により次第に認知されていくようになったわけです。
ドクター『I』が医学生の頃には普通に授業でやっていましたし、研修医になりたての頃は、パシリとして採卵のお手伝いをさせられていましたwww。

2010年、ノーベル医学生理学賞はエドワーズ先生に授与されたことは記憶に新しいところです(ステプトー先生は1988年、ルイーズブラウンさんが10歳の時にお亡くなりになられておりました)。

2010年ですよ。2010年。
山中先生が2012年ですから、何ともまあ、認められるまでに時間がかかったことか・・・。
しかしながらこのエドワーズ先生のノーベル医学生理学賞受賞を、バチカン法王庁は「全く理にかなわない判断だ」と批判したのも記憶に新しいところです。



ルイーズ・ブラウンさんには、「test-tube baby」の妹さんもいらっしゃるそうです。
ナタリー・ブラウンさんとおっしゃる方だそうです。
ナタリーさんは「世界で初めて『子供を産んだ』test-tube baby」なのだそうです。
この頃は「test-tube babyの生殖能力はどうなの?」とも心配されていたようです。
その後、ルイーズ・ブラウンさんも自然妊娠でご出産なさいました。
2006年です。
これもニュースになりました。
現在は2児の母だそうです。
エドワーズ先生とステプトー先生の治療をお受けになられたブラウン夫妻には、本日現在結局5人のお孫さんがいらっしゃるそうな。


そして今日、いよいよ日本では20人に1人の赤ちゃんがこの方法で生まれてくる時代となったわけです。
2018年の今日では、体外受精の技術の進展が倫理的に良かったのかどうか?などと議論しているシーンは???ほぼ聞かれないですかね。

ところが日常診療を行っていると、結構悩ましいシーンも多々あるのも事実です。

凍結胚とは?=保留されている子供たち???
余剰胚とは?=ヒトの残り???

こうした胚は、本来は成長し、男性や女性になる機会を持った人間???


新しい技術も次々出てきています。
また今日「それは流石にダメだろ」という手法も、実は2018年版の「test-tube baby」でしかなく、2058年には常識になっているのかも知れません。


写真は、ルイーズ・ブラウンさんとエドワーズ先生です。



ハッピーそうですね。
(因みにエドワーズ先生はノーベル医学生理学賞を受賞なさった3年後の2013年にお亡くなりになられました。)
生まれ来た子がこんなハッピーそうな笑顔をしてくれているのです。エドワーズ先生、何の悔いも無かったでしょう。

「今は見ぬ生まれ来る子が、将来笑顔でいてくれているだろうか?」
これが正解なのかな?と思っているドクター『I』でした。

そんなわけで2018年7月25日、もうすぐです。

【終わり】
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体外受精と生命倫理~2018年7月25日に想う(3)

【まとめ】
【以下本日のお話し】
さて、そんなわけで、現在では「普通の事」として広く行われている体外受精ですが、1978年の世界初の報告は必ずしも「祝福・歓迎」で迎え入れられたわけでは無く、むしろ恐怖と痛烈な批判に晒されていたわけです。
これにはどうやら「キリスト教」の価値観が根強くあるようです。

ドクター『I』は無宗教(まあ、しいて言うと日本神道かなwww右回りでございますwww)なので良くわからないのですが、聖書によれば「子どもたちは主の賜物」であり、人工的に授精を行なう事は神の摂理に基づく受精を拒否する行為であり、神への背馳である、と考えるのだそうです。
こうした考えがベースのヨーロッパですから、エドワーズ先生は基礎研究の頃も公的な資金提供も受けられる筈も無かったようで、大変苦労なさったそうです。
『生命の誕生に人が手を加えていいのか』
『何かしら神からの裁きがあるでしょう』

と言う訳です。
なるほど、その(1)その(2)の如きネガティブキャンペーンも尤もなのかも知れません。
そんなわけで、1978年7月25日のルイーズ・ブラウンさんの出産は『何かしら裁きがあるに違いない』と大注目を浴びたようです。

そんな出産シーン(帝王切開だったようです)がyou tubeにも挙がっています。



結果は2700gの「normal」「healthy」な女の子だったわけです。

そして、超有名なLancetの「Birth after the reimplantation of a human embryo.」に繋がるわけです。
ご興味がある方は読んでみてください。
「妊婦健診」が非常に神経質に行われていることが読み取れます。
何と羊水染色体検査まで行われています。

で、「normal」「healthy」infant girl(!!!)←ここにはお二人の先生の「ガッツポーズ」が見えるような気がします。



【続く】

You!やっちゃいなよ!

体外受精に踏み切るに当たりその障壁を極力低くしたい、とずっと思い描いていたドクター『I』ですが、それを実現するがごとく「ミニマル-体外受精」というプログラムをスタートしました。で、3か月。
既に複数の方がこのプログラムで採卵に臨まれています。
ドクター『I』としても

「You!やっちゃいなよ!」

のノリで(www)必要な方にご提案できるようになり、また成績もマズマズで、先ほどツイッターでご報告させていただいた「ミニマル-体外受精」プログラムでご妊娠なさった方です。 \(^o^)/

我ながらなかなかイイご提案ができているのではないか?と悦に入っております。

そんな「ミニマル-体外受精」プログラム、ホームページを作ってもらいました。
是非ご覧になってください。
(下記バナーをクリックしていただければリンク先に飛びます)



さ、そんなわけで

「You!やっちゃいなよ!」

体外受精と生命倫理~2018年7月25日に想う(2)

さて、昨日の続き。

1978年7月25日、世界初の体外受精児、ルイーズ・ブラウンさんがお生まれになったのですが、どうやらその日は「拍手喝采!大歓迎!」で迎えられたわけでは無いようです。
(ドクター『I』は生まれていましたが、子供でしたので詳細は知りません。)
ちょっと別サイトを見てみましょう。3年前の記事のようです。こちらによると、出産後のブラウン夫妻の元にはこんな「祝福の手紙」と共に、



こんなものも送り付けられたとのことです。



「hate mail」とあります。
(赤いインクで)血塗られた(ような)手紙に、「壊れた試験管」と胎児の人形・・・・

この混乱、このように記されています。

Her birth attracted controversy, with religious leaders expressing concern about the use of artificial intervention and some raising fears that science was creating 'Frankenbabies', but also paved the way for millions of further IVF births.

religious leadersですから、「宗教指導者」ですかね。
ヨーロッパ社会ですからキリスト教なのでしょう。
「artificial intervention」つまり、生殖に対する人工的な介入がやっぱり何か「恐ろしい」ものとして感じられたようですね。
何せ

science was creating 'Frankenbabies'
(=科学が「フランケンベビー」を創造する)
と書かれています。

2010年のノーベル医学生理学賞受賞者のエドワーズ先生とステプトー先生はおそらく当時、「マッド・サイエンティスト」に見られていたのでしょう。

そんなわけで、今日、millions of further IVF birthsに道を作った技術の第一歩は、実はこのような受け入れられ方をしたようです。

【続く】

体外受精と生命倫理~2018年7月25日に想う(1)

「私たち夫婦は体外までは希望しません」
「私は体外にトライしたいんですけど、夫が反対しています。」
一方で
「先月結婚しました。高齢なので早速体外やりたいです。」
などなど。体外受精、実に様々な反応があります。

日本では、今や生まれてくる赤ちゃんの約20人に一人が「体外受精児」の時代なわけです。
ドクター『I』の中学校は40数人が一クラスに詰め込まれていましたから、当時の感覚で言うと「1クラスに2人」ということになりますかね。
ま、日常普通な事なわけです。
気にも留めない。

そんな体外受精、いつも説明会の時にもお話ししている通り、世界最初の出産例は1978年(とのこと)です。
1978年7月25日、「ルイーズ・ジョイ・ブラウン」さんという女性が体外受精によってこの世に初めて生を受けました。
ということで、ルイーズ・ブラウンさん、来月25日、40歳のお誕生日を迎えられます。
生殖医療にとって記念すべき日になるのは間違いのないところです。

そんな40年前、つまり1978年7月25日はどのように迎えられたのでしょうか?
ちょっと見に行ってみましょう。

クルクルバビンチョパペッピポ~ヒヤヒヤドキッチョのも~ぐたんっ!(←古っ!知らない人はググろうwww)

先ずはこちら。
TIME誌の1978年7月31日号の表紙がこれ。



おお。何だ何だ???
「カーター大統領がイケてない」
ってwww。
・・・・・違う!そこじゃない!
何じゃ?この絵は???

「Test-Tube Baby」=日本語でも「試験管ベビー」と呼ばれていました。
ドクター『I』もこの言葉、子供なりにそれなりの回数聞いていました(何が何だったのかは理解していませんでしたが)。

「Birth Watch in Britain」=ルイーズ・ブラウンさんはイギリスでお生まれになっています。
「Birth Watch」という表現は、英語が母国語の人はどう感じる言葉なのでしょうか?
今日、ネット・スラングで「ヲチ」という言葉がありますが、それに近いのかしら??
(それとも「時計」?の方なのかしら?教えて!偉い人!)

まあ、この絵からすると、当時(カーター大統領以上に)大注目だったのはどうやら間違いないようですが、必ずしも皆が皆「拍手喝采!大歓迎!」という雰囲気ではなかったこともうかがい知れますね。

【続く】

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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