無精子症と言われたら・・・(2)

というわけで僕の持論としては、生殖医療に携わらせていただく以上、無精子症の患者様の診療に当たった際には、最低限その場で(間髪入れずに)その後の診療の流れを説明する必要がある(不安の中で過ごす時間を作らないようにしてあげる必要がある)、と思っているわけです。
「検査の結果無精子でした。」
で終わってしまうのは絶対にまずい
と思っているわけです。


無精子症とは「射出精液中に精子が存在しない」現象をひっくるめて言うわけです。
この場合、まずはそうなっている「理由」を考えて、大きく2つの原因のどちらに当てはまるのか?を見極めていきます。

①閉塞性無精子症(Obstructive Azoospermia;OA)
精巣内で精子は作られているものの、精子を出してくる道筋のどこかが詰まってしまって出てこれなくなっている状態です。
「詰まっている」=「閉塞している」でこの名前が付いています。

②非閉塞性無精子症(Non-Obstructive Azoospermia;NOA)
字のごとく解釈すると「精子を出してくる道筋が詰まっていない無精子症」となりますね。
「原因が通り道の閉塞ではない」ということです。
精巣内で精子を造る力が「低下している」または「無い」ために無精子症になってしまっている状態をいいます。


これらの状態、仮に女性で例えると
①閉塞性無精子症=両側卵管閉塞
②非閉塞性無精子症=卵巣予備能低下~早発卵巣機能不全(早発閉経)

に似ている、と言えるかもしれません。

こんな感じで、「閉塞性」と「非閉塞性」は全く別病態ですが、「射出精液中に精子が存在しない」という同じ現象になるわけです。

そんなわけで、
精液検査で無精子症 → 先ず、「閉塞性(OA)」か「非閉塞性(NOA)」かの見極め
をすることになります。
見極め法は基本的には「触診+超音波」「ホルモン採血」です。

「完璧に」ではないのですが、「大雑把に」は、慣れてさえいれば「触った瞬間」に予想が付きます。
(睾丸は「触り慣れる」と、本当に「イメージ」が湧きます。「うわぁ、辛そうだな」とか「お、行けそうじゃん」とか。「頑張ってるんだねぇ」とか。睾丸と会話できるようになりますよ。~ま、普通の人はできなくていいわけですが・・・orz)

同様に「完璧に」ではないのですが、ホルモン採血でどちらなのかをジャッジしていきます。
(一部、「非閉塞性(NOA)」なのに、まるで「閉塞性(OA)」を思わせるような状態があって騙されることがあるので100%の鑑別ではないです。)

で、感覚的には、大体「閉塞性」の方が20%位で、「非閉塞性」の方が80%位です。

【続く】
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勉強会(治療コーディネート)告知【2016年9月24日】

9/24(土)の体外受精説明会(ARTコーディネート)は18:30~、武蔵野プレイス3階「スペースC」で予定いたしております。

治療説明会は完全予約制となっております。


昨日の「妊活外来説明会」にご参加いただきました方からメール頂戴しました。
コピペでご紹介。

本日、一般不妊治療コーディネートに参加させていただきました。
お問い合わせではないのですが、どうしてもお礼をお伝えしたく、メールをさせていただきました。
岩本先生の勉強会は難しい不妊治療内容を動画や論文を用いて説明してくださり、とてもわかりやすく、仕組みなどがわかってとても楽しかったです。
また今までの妊活の仕方が、そもそも間違ってたこともわかりました。
もっと早く岩本先生にお会いできたらよかったです。
岩本先生の勉強会はなかなか妊娠できないこと、理由もわからないとことに悩み悲しい思いをされてる方の救いになると思いますので、これからも頑張って欲しいです。
陰ながら応援してます。


嬉しいねぇ。
やってる甲斐があるってもんです。

さ、今日もガンバろー

勉強会(治療コーディネート)告知【2016年9月22日】

9/22(木・祝)の熱血!妊活外来説明会(一般不妊治療コーディネート)は13:30~15:30、武蔵野プレイス3階「スペースE」で予定いたしております。

治療説明会は完全予約制となっております。


さあ!そんなわけで、「祭日?何それ?」ってなもんで。

9時~午前診療 → 13時~プレイスでセッティングして「熱血説明会」 → 17時~夕方診療

今日もやるよ!

無精子症と言われたら・・・(1)

そんなわけで僕は一般産婦人科医として普通に臨床経験をし、その後、不妊治療の世界に足を踏み入れました。
一般産婦人科医として研修していたころは何らかの形で「無精子症」のご夫婦の診療に当たるのは年に1回あるかどうか、といった頻度でした。

で、その後、不妊治療(生殖補助医療)のトレーニングに行ったわけですが、まあ、そのトレーニング先が生殖補助医療に加え、男性不妊のメッカでもあったので、ほぼ毎日、どころか、1日に何組もの「無精子症」のご夫婦の診療に当たらせていただきました。
最初は抵抗感があったのも事実ですが、毎日毎日の日課になってくると、これまた奥が深く、ドラマもあり、非常に興味深い診療分野でもあるわけです。
慣れると、1秒触らせていただくだけで「閉塞性」か「非閉塞性」の予想は大体付くようになります(あくまでも「大体」です。これまたどんでん返しがあり得るところも奥が深いところです。)し、クラインフェルターも大体予想が付けられるわけです。

そんな感じで連日のように「無精子症」診療のトレーニングを受けていた時代、当時のボスから初めて「ムンテラ」を許された時のことを今でも思い返すことがあります。
(ムンテラとは「ムント・テラピー(mundtherapie)」の略で、「患者さんに説明すること」みたいな感じでよく使われている隠語、といった感じです)

一通り説明を終えて、バックヤードでボスに「どうだった?」と感想を聞かれたときに僕はこう答えました。
「カルチ(癌)の告知より難しかったです」

今でもやっぱりそれ位気を使います。
ムンテラは「閉塞性が疑われるとき」と「非閉塞性が疑われるとき」で、当然といえば当然ですが、全く異なるわけです。
生殖の可能性が完全に閉ざされる可能性のある「非閉塞性」が疑われるときの説明は、未だに緊張します。


自分で診た患者さんが、明らかに「癌」だとわかることがあります。
高次医療機関に送るわけですが、
「あなた癌です。日赤行ってね。」
これは絶対まずいわけです。
その患者さんが高次医療機関に受診するまでの時間をどんな気持ちで過ごすのか?
絶望と不安と恐怖の中でその時間を過ごさなければならなくなります

ところが、これがこと不妊の世界になると
「あなた無精子です。うちでは診れません。」
・・・これが多いのよ。困ったことに。
パニックになり絶望と不安と恐怖の中で、患者様ご夫婦は苦悩するわけです。
当然検索魔になり、MD-TESEのこと、果てはAIDのことまで思いを馳せるわけです。

で、拝見してみると、「閉塞性」だったりするわけです。
ホントにちょっとした情報提供だけでも大分違うと思うわけです。

勉強会(治療コーディネート)告知【2016年9月17日】

9/17(土)の熱血!妊活外来説明会(一般不妊治療コーディネート)は19:00~21:00、武蔵野プレイス3階「スペースE」で予定いたしております。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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