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子宮内容除去術と「薄い内膜」(6)

ありました。第57回日本生殖医学会(2012年11月8~9日:長崎)の演題でP-320です。慶応大の井上先生のご発表です。ちょっとバックグラウンドをお話しておく必要があります。ごく初期で、一定の条件を満たす子宮体癌と、その前癌病変と考えられている複雑型子宮内膜異型増殖症では、原則の治療は子宮全摘なのですが、厳格な条件下で「妊孕性温存療法」が行われることがあります。この治療過程、詳細は省きますが、「高用量MPA療法(...

NICEのガイドラインを時々ななめ読みしてみる(2)

さて今日は、「フーナーテスト」です。PDFの19ページの真ん中あたりですかね。1.3.2 Post-coital testing of cervical mucus1.3.2.1後の妊娠率を予測する価値ろ持たないので、性交後検査(フーナーテスト)をルーチーンで行うことは推奨できない。はいっ。気持ちよく完全否定でございます。僕も何度か書いたかと思うのですが、「頸管粘液」の考え方は不妊治療を行う上で非常に重要なのは間違いないのですが、それを評価するための...

子宮内容除去術と「薄い内膜」(5)

子宮内容除去術(掻爬)後に、子宮内膜が厚くならなくなるケースが時々いる、という話を少し前にしましたが、その続きです。イランの「赤新月社」の雑誌でしょうかね。内容的にはもっとIFの高い雑誌に載っても良さそうな内容なのですが。Dilatation and curettage effect on the endometrial thickness.です。いつものごとく箇条書きにしていきます。超音波での子宮内膜厚は妊娠率と関係しているのか?についての結論は出ていない...

超音波時の癖

僕は日常、卵胞チェックをさせていただいている時に、3枚の超音波写真をとる(最近は電子カルテなので「残す」)癖があります。(1)子宮内膜の厚さ(2)左右の卵巣(画面を二つに分けて「右│左」で一枚に収める)(3)頸管粘液の状態で、同僚の先生たちからよく「何ですか?これ?」と聞かれるのが(3)です。確かに頸管粘液は「不妊」やってないと、日常、あまり評価しないですもんね。↓こんな感じ。矢印の上方向が外子宮口方向です。で...

NICEのガイドラインを時々ななめ読みしてみる(1)

【NICEのガイドライン】イギリスのガイドラインです。イギリスの医療事情は、良く知らないのですが、まあ、それなりに問題があったんでしょうね。で、その状態を改革しようと、ブレア政権の時代に国立臨床評価機構(National Institute for Clinical Excellence:NICE)という組織が作られ、いろんな病態に対するガイドラインを作ったのですね。で、これが、「医学的効果(エビデンス)」+「医療経済」の面から構成されているのです...

シアリスが、あれだ。

さて、性機能話のついでと言っては何ですが、この分野で直近ちょっと話題となっているのが、シアリス(一般名:タダラフィル)です。PDE-5阻害剤としてEDに対して用いられていますが、この薬が、成分は全く同じで、「前立腺肥大症に伴う排尿障害改善剤」として薬価収載され、保険で処方されるようになります。その名も「ザルティア」。薬価収載は4月中旬の予定とのことですが、多分今の「シアリス」とは比べものにならない薬価と...

正しくオナニーするって、マジで大事(4)

そんなわけで、石器時代でもない、縄文時代でもない、アメリカでもない、アフリカでもない、現代日本の「社会」の中で生きて行くためには、男も女もマスターベーションを上手に利用するのは必須となっているわけです。「理性的」な現代日本の中で、我々自らに「動物」として備わった「生殖機能」を保ち続けつために、「正しい」とされる方法(?)で「正しい」とされる回数(?)のオナニーを行うということは冗談じゃなく真剣に重...

観梅に行ってきました。

青梅の吉野梅郷の梅が今年限りで一旦全て伐採されてしまう、との噂を聞きつけ、急遽観梅に出かけてきました。何やら梅の木を枯らせるウイルスが蔓延しており、その対処としてそのような決断に至ったとのこと。地元の方々は断腸の思いなのでしょう。今年が最後とはとても思えぬ見事な咲きっぷりでした。桜もいいですが、梅もなんとも和風で古風でいいですなぁ。沿道には、屋台が出ておりましたが、これまた何とも凄いB級(?)グル...

正しくオナニーするって、マジで大事(3)

続いて女性側の話。まずもって、女性性機能障害(FSD)の分類は、2013年に改定されて、DSM-5分類が用いられるようになっていることに触れておきます。(「妊活外来へようこそ!」ではいまだにDSM-Ⅳ-TR分類でアップデートされていないのですが。近未来必ずアップデートするよう努力します。)えっと、DSM-5分類では、FSDは(たった(?))3種類の分類になりました。female sexual interest/arousal disorderfemale orgasmicl disor...

正しくオナニーするって、マジで大事(2)

そんなわけで、「腟内射精障害の方になんとか腟内射精ができるようになってもらえないか?」と発想するわけですが、これがなかなか難しい。で、そもそも原因がオナニー法にあるケースの場合、「じゃあ、オナニー法を普通の(?)スラスト運動での用手法に戻せばいいんでないの?」と、当然誰もが発想するわけですが、これがそう簡単には行きません。やっぱり、思春期以降の長~~~い「癖」ですから、そう簡単には戻らない。「35歳...

正しくオナニーするって、マジで大事(1)

人間も所詮動物というか生物である以上、「生殖を行う」「子孫を残す」という行為は必要であり、「本能」と呼ばれているわけです。他の種の生物を見ていると、結構な割合で「生殖を行う」為に努力していますわな。また、ルールはあるのでしょうが、我々よりはよっぽど「気ままに」生殖行為が行えているように見えます。でも、(残念ながら?)我々人類は彼らのように「気ままに」生殖行為は行えないわけです。街中歩いていて、好み...

子宮頸がん検診リコメンデーション(10)

で、やっとこのページの本題にたどり着きました。「円錐切除術によるその後の妊孕性の問題について」です。【円錐切除術後の妊孕性の問題】円錐切除術は、CINを切除するわけですが、当然子宮頸部健常部分も少なからず切除されるわけです。で、「術後の妊孕性」という意味では、頸管因子が懸念されるわけです。(1)まずは手術そのものに併発する可能性として「子宮頸管狭窄→子宮瘤血腫」があります。円錐切除後の子宮口が狭くなった...

子宮頸がん検診リコメンデーション(9)

で、ようやく触れたい話の内容が出てきます。「円錐切除」の話です。「どこからどこまで」の話が非常に微妙なのですが、大体CIN3辺りが検出された場合、「子宮頸部円錐切除術」という処置が行われることがあります。子宮の「出口」を円錐状に切除してくるのですね。この円錐切除術は、基本的には「検査」です。子宮の出口のCINができる部分全体を取ってきて、全方向で一番進行していた部分はどの病態だったのか?+切り取った部分...

子宮頸がん検診リコメンデーション(8)

続き。HPV-DNA検査はそんなわけで2通りあるわけです。各々、何のシーンで使うのか?知恵を絞って使い分けるわけです。【HPV-DNA一括検査】「何番かはわからないけど、とにかくハイリスクHPVがいる(陽性) or いない(陰性)」という検査でした。使うシーンとしては次の3通りが考えられます。(1)ASC-USトリアージ(保険収載あり)細胞診でASC-US(つまりLISL疑い)だった場合、この時点ではあくまでまだ「疑い」なわけです。この時...

子宮頸がん検診リコメンデーション(7)

で、細胞診のお話はいったん終了して、今度はHPV-DNAを検出する検査の話。HPVのいる/いないを調べる検査なのですが、今まで述べて来たとおり「HPVがいる/いない」の区別そのものができることがポイントになるわけでは無いのですね。HPVがいたとして、それが癌化に繋がりそうなのか?=持続感染なのか/一過性感染なのかの見極めが重要なわけです。なので、「20歳代の全員に対する無条件ハイリスクHPVスクリーニングは推奨されていな...

なんだか取材の依頼が来たよ(8)

ということで、女性セ○ン発売になりました。(もう伏字じゃなくてもいい気もしますが、一応)皆さん、御一読いただけましたでしょうか?「妊活2014」という特集が組まれていて、その一角に取り上げていただきました。僕がお話しした真意通りの内容で、どうですか?まさに「出張!妊活外来へようこそ!」といった感じです。で、記者さんの御紹介。雑誌上にもお名前が出ておりますので、御紹介OKと判断しました。三浦さんという方で...

子宮頸がん検診リコメンデーション(6)

そんなわけでややこしいのですが、子宮頸がん(もっと細かく言うと扁平上皮系)とその前がん病変の分類は3方式が並立しているわけです。で、この概念図を、今度はベセスダ・システムを主人公にして書くと、こんな感じになります。NILM(上皮異常なし)↓-------------------------------------------LSIL(HPV感染~軽度異形成(CIN1))   ↑HPV一過性感染濃厚↓-------------------------------------------HSIL(中等度・高度異形...

なかなか興味深い研究結果が報告されています!

なかなか興味深い報告が出ています。成育からプロナス(という雑誌)への投稿された研究結果だそうです。新たに見つかった子宮内での精子選択機構やっぱり精しょう(精液の精子以外の液体部分)必要なんだね。子宮内で襲ってくるモンスターから身を守る「盾」なり「鎧」ですな。真っ先に気になるのは、AIH(IUI)で何らかの方法で精しょうを「洗い落とす」わけですが、その結果、この蛋白はどうなちゃってるんでしょうかね?...

子宮頸がん検診リコメンデーション(5)

で、子宮頸がんへの進展様式は正常→軽度異形成(CIN1)→中等度異形成(CIN2)→高度異形成(CIN3)→上皮内癌(これもCIN3)→微小浸潤癌→浸潤癌といった感じなわけです。こうすると、各々が連続病態に見えて、一般の方々が理解するには非常にわかりやすいわけです。でも、僕が実際に患者さんを拝見していく上では、あるところに「目に見えない壁」を設けています。これは非常に高い壁です。さて、どこでしょう?正解は、「軽度異形成(CI...

子宮頸がん検診リコメンデーション(4)

・・・・ちょっと難易度が高すぎましたかね。失礼しました。改めて基本から振り返りましょう。「子宮頸がん」ですが、子宮の「出口」にできる癌です。この癌は基本的に「昨日は正常でした。一晩寝て、今日癌になりました。」とはならない、と考えられているのですね。段階を経て「ジワジワ」進んでいくと考えられています。ざっと以下の通り。正常↓軽度異形成(CIN1)↓中等度異形成(CIN2)↓高度異形成(CIN3)↓上皮内癌(これもCIN3)...

子宮頸がん検診リコメンデーション(3)

続き【結果の解釈と運用】1.細胞診(陰性)/HPV-DNA検査(陰性)の場合次回検診を3年後に実施する。2.細胞診(陰性)/HPV-DNA検査(陽性)の場合6~12か月後に細胞診とHPV-DNA検査による再検査を実施する。3.細胞診(ASC-US)/HPV-DNA検査(陰性)の場合1年後に細胞診による再検査を実施する。4.細胞診(ASC-US)/HPV-DNA検査(陽性)の場合コルポ診を実施する。5.細胞診陽性(異常)の場合HPV-DNA検査の結果にかかわらず、細胞診...

子宮頸がん検診リコメンデーション(2)

子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)は13種類あることが知られていますので、この13種類のHPVがいるのかいないのか?も調べてしまおう、というわけですね。以下、保険適応外の検査法も含まれていますので、ご承知おき下さい。Ⅱ.細胞診とHPV-DNA検査併用による子宮頸がん検診【検診の開始年齢】細胞診とHPV-DNA検査併用による子宮頸がん検診は30歳以上の女性に推奨される。30歳未満の女性は高リスク型HPV感染率が高...

子宮頸がん検診リコメンデーション(1)

さて、多少趣を変えまして、子宮頸がん検診の現在の考え方を勉強しておきましょう。この分野も僕が研修医だったころとはすっかり変わっております。大きく変化したのは以下の2つ。・僕が若かりし頃は「クラス分類」と言って、結果を1~5の数字で評価しておりましたが、もう(ほぼ)消失しました。・細胞診以外にHPV-DNA検査が可能になりました。そんな中、「日本産婦人科医会」が「子宮頸がん検診リコメンデーション」というのを平...

なんだか取材の依頼が来たよ(7)

「女性セ○ン」発売日わかりました。3/13だそうです。ご一読を!で、後輩先生の論文の訂正もどうやら終わりそうで、雑誌の取材もひと段落。直近HP系は、お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、旧「妊活外来へようこそ」→新「妊活外来へようこそ」への移植を進めております。出来れば、「旧」はボチボチ閉めたいです。そんな感じで活動中です。...

なんだか取材の依頼が来たよ(6)

先ほど原稿チェックさせていただきました。逆に想像以上に「negative」な内容になっていて、多少びっくり。「えっと、ここまで強くは否定していないんですけど・・・・・。」と、逆方向に(肯定的な方向に)多少訂正させていただきました(笑)。そうなんですよね。医者、というか、医療従事者の言葉って「断定しない」んですね。有効であっても、「~~かもしれない」「~~の可能性がある」とか。無効であっても、「不十分である...

子宮内容除去術と「薄い内膜」(4)

【Discussion】今回の検討では、子宮内膜の薄かった13人のうち、10人が「子宮内容除去術」を受けたことがあり、さらに6人は2回以上受けたことがある点である。「子宮内容除去術」後の着床障害の原因としては、子宮内腔癒着がよく言われる。(管理人注:アッシャーマン症候群と言います)今回のこの検討のみでは、「子宮内容除去術」が子宮内膜に実際に障害を及ぼしているのか?については結論できない。ただし、今回の検討からは、...

子宮内容除去術と「薄い内膜」(3)

では続き。【Methods and Results】我々(この論文の筆者の先生はイスラエルの人)の施設で2004-2007年にARTの治療に当たった1405人中13人が子宮内膜が7mm以下の「内膜が厚くならない」状態であった。子宮鏡では、9人は異常所見は無く、4人に軽度の癒着を認め、癒着を剥離した。13人中10人に1回以上の子宮内容除去術の既往があり、うち6人は2回以上の既往があった。子宮内容除去術の適応は人工妊娠中絶か流産手術であった。この13人...

子宮内容除去術と「薄い内膜」(2)

では「サプリ」の話は「女性セ○ン」が発売になるまで一旦おしまいにして、本来のペースに戻します。えっと、何の話をしていたのか?というと、こちら。子宮内容除去術と「薄い内膜」(1)で、「子宮内容除去術とその後の『薄い内膜』」は、エビデンスは無いけど疑われているんだよ、という話でした。で、そんな内容の論文を読んでみたいと思います。Thin unresponsive endometrium--a possible complication of surgical curettage c...

なんだか取材の依頼が来たよ(5)

ということで、本日お話して来ました。場所は吉祥寺、吉祥寺第一ホテルのロビーラウンジ。11時にお約束していたのですが、朝方回診してたら、数分遅れてしまいました。すいませんでした。お話した内容的には、本HPの今までのまとめです。以下、論旨。(1)現在の生殖年齢前の女性の生活習慣の問題点と思われること。今のお若い女性は、「痩せ」が大問題だと思っている点。それは、「逆生活習慣病」とも言える状態である点。それでい...

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プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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