Entries

子宮内膜症勉強会(6)~チョコレート嚢胞(1)

ではここからしばらくは、子宮内膜症性卵巣嚢腫=チョコレート嚢腫についての話です。まず、大疑問「子宮内膜症性卵巣嚢腫、つまり、チョコレート嚢腫を手術することにより、妊孕性は向上するのか?」です。本邦「子宮内膜症取扱規約」によると、子宮内膜症性嚢胞を手術することにより妊孕能が改善されるか否かに関しても、エビデンスの高いRCTの報告は多くは無いが、手術療法が妊孕能の向上につながることを示唆する論文が数多く...

子宮内膜症勉強会(5)

さて今日はstageⅢ/Ⅳの内膜症の手術療法についてです。ここはESHREのガイドラインでは、改定された部分です。ちょっと前までの書かれ方はこんな感じNo RCTs or meta-analyses are available to answer the question whether surgical excision of moderate to severe endometriosis enhances pregnancy rate. Based upon three studies (Adamson et al., 1993; Guzick et al., 1997; Osuga et al., 2002) there seems to be a negat...

子宮内膜症勉強会(4)

はい。で、お気付きになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、今やっている「子宮内膜症勉強会」、実は、ESHREのガイドラインを読んでおります。えっと、リンクはこちら。Guideline on the management of women with endometriosisです。リンク先の、一番下の「READ THE GUIDELINE HERE」をクリックすると、2013年のガイドラインがPDFで見られます。これです。「clinicians(つまり医者)」向けのガイドラインになっているので...

子宮内膜症勉強会(3)

今日の話題は「微症~軽症内膜症の腹腔鏡手術」についてです。これがまた結構ややこしいので、説明が大変なのですが、頑張ってみます。まず、「微症~軽症」と表現しましたが、これは、rASRM分類というのに基づいています。腹腔鏡所見で点数を付けていくのですが、合計点が1-5点が「minimal(微症)」でstageⅠ、6-15点が「mild(軽症)」でstageⅡとなります。で、こういった程度の内膜症に関して、「腹腔鏡下手術をしたほうがいい...

子宮内膜症勉強会(2)

昨日ご紹介いたしました通り、一般不妊治療開始前の薬物療法は無効である、というエビデンスがあるわけですが、体外受精前では少し風向きが違います。今日はそのお話です。・・・・といっても、これも有名ですよね。紹介するのは、2006年のコクランのこちら。Long-term pituitary down-regulation before in vitro fertilization (IVF) for women with endometriosis.です。ここでは、内膜症患者さんで、体外・顕微のスケジュール...

子宮内膜症勉強会(1)

HPの方の旧版→新版への移植作業で残っちゃっているのが「内膜症」です。情報量が膨大でアップデートが大変なので、どうしても残っちゃっていたのですが、いつかはやらねばなりますまい。直近、内膜症がらみのエビデンスを復習しつつ、最終的に、「旧版→新版への移植作業」を行っちゃいたいと思います。で、まず、薬物療法関連行っておきましょう。子宮内膜症に対する薬物療法として、ディナゲスト、GnRHアナログ、また、直近騒ぎに...

果たして卵管切除術は卵巣予備能を低下させるのか?(3)

今度は、影響なかった、という内容です。古くは1994年のHum ReprodよりBilateral salpingectomy does not compromise ovarian stimulation in an in-vitro fertilization/embryo transfer programme.卵巣予備能の評価法は、体外受精に向けての排卵誘発時のhMGの使用量/エストロゲン濃度/採卵数など。で、結果は、Bilateral salpingectomy had no detrimental effect on ovarian performance during IVF and embryo transfer treatm...

果たして卵管切除術は卵巣予備能を低下させるのか?(2)

で、他のことですっかり盛り上がってしまい、少し前に(1)だけやってそのままになっていた内容の続き。ちなみに前回はこちら果たして卵管切除術は卵巣予備能を低下させるのか?(1)です。何らかの原因で「卵管」を切除した場合、卵巣予備能は低下するのか否か?についてです。前回読んだ論文はFSHで評価していましたが、今日ご紹介する論文はAMHで評価してあります。Anti-Müllerian hormone levels in salpingectomized compared wit...

男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(5)

で、先日(2/22)に行われた性機能学科東部総会の演題から。「新規治療クロミフェンおよびアロマターゼ阻害薬併用療法における安全性」という演題で、東邦大の小林先生の演題です。話は、なんと、この演者の小林先生自らクロミフェン+アナストロゾールを1年間飲んでみた、という内容でした。ホルモン的には、クロミフェン単独療法に見られるE2上昇を軽減することができ、テストステロン値のみを上昇させることができた、というこ...

男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(4)

昨日の続きで、論文の本体部分行ってみたいと思います。造精には、高レベルの精巣内テストステロン+FSHによるセルトリ細胞刺激が必要である特発性造精機能障害には、確実な治療法は確立していないが、いくつか経験的な薬物療法が試みられている。抗エストロゲン剤であるクロミフェン療法やタモキシフェン療法は、精巣内テストステロンとFSHを上昇させる目的で使用されるが、残念ながらこれらは、テストステロンと同時にエストロゲ...

男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(3)

そんなわけで今日ご紹介するのはシュレーゲル先生の「男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤」の論文です。(ちなみに今書いているブログのタイトル「男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(○)」というのは、この論文名「Aromatase inhibitors for male inferytility」からとっています)不妊やっている人の中でその名を知らぬものはない有名人シュレーゲル先生はニューヨーク・コーネル大学の教授先生です。あの「MD-TESE」産みの親...

男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(2)

今日は2012年のFertil Sterilのこちら。Changes in hormonal profile and seminal parameters with use of aromatase inhibitors in management of infertile men with low testosterone to estradiol ratios.です。この論文の内容は、アロマターゼ阻害剤の効果を見ていますが、内容的には「レトロゾールv.s.アナストロゾール」になっています。精液検査で、精子濃度1000万/ml以下+T/E2...

話はそれますが・・・

ザルティア薬価出ましたね。新医薬品一覧表5mgで230.60円。ということは10mgだと・・・・。ほうほう。どうなりますかね?4/17ということは、明後日ですね。...

男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(1)

そんなわけで「肥満と男性不妊」について見てきましたが、その中で「脂肪組織に存在するアロマターゼが悪さをする一因である」「治療法としてアロマターゼ阻害剤の可能性がある」という話が出てきました。直近医学雑誌に目を通していると、確かに「男性不妊とアロマターゼ阻害剤」についての論文をちらほら目にすることが多いです。今日からしばらくの間、そんな論文を何篇かご紹介してまいりたいと思います。管理人注:男性不妊へ...

緑の桜

週末、いつもと別ルートをジョギングしていると、「緑の桜」を発見!以前より存在は知っていましたが、過去に数度しか見たことがありませんでした。それがこんな近場で咲いているとは。ググってみると、「御衣黄(ギョイコウ)」という品種らしいです。染井吉野より少し遅れて咲くとのこと。1週間~10日位遅めですかね。場所は、京王井の頭線久我山駅から神田川沿いに三鷹台方面に歩いて行ってすぐの所です。(もう満開を少し過ぎ...

肥満と男性不妊(6)

さて、この論文の最終章です。治療法についてですが、こちらにこの論文の図2がありますので、ご参照ください。5. Are there solutions?5.1 lifestyle changes正常なエネルギーバランスを達成するための食事療法/運動療法を行い、減量可能なように生活習慣を改める。それにより、性ホルモン/インスリン/レプチンの正常化が見込め、精液所見が改善することが知られている。また、減量により脂肪組織が減少すると、他の不妊に関与す...

肥満と男性不妊(5)

続き4.3 Environmental toxins多くの環境毒素は脂溶性なので、脂肪組織に蓄積する。病的肥満の場合、陰嚢内脂肪も蓄積するので、そこに蓄積した環境毒素が直接造精機能障害を呈する可能性がある。精巣/陰嚢に蓄積するもののみが生殖毒性を示すわけでは無く、他の部位に蓄積したものも内分泌毒性を示す可能性がある。いわゆる「環境ホルモン」である。4.4 Physical mechanisms肥満男性では、陰嚢に蓄積した脂肪により、精巣温度が上...

肥満と男性不妊(4)

続きです。今日は4.2の「Hormonal mechanisms and adipokines」の所を読みますが、長いので、先に要点だけまとめちゃいます。筆者の先生が指摘しているのは、大きくは2つ。脂肪細胞に存在する「アロマターゼ」が悪い。テストステロンをばんばん壊してエストラジオールにしちゃうので、低テストステロンになるわ、(エストラジオールによってネガティブフィードバックがかかるので)下垂体からのFSH/LH分泌が低下するわ。ホルモン環...

肥満と男性不妊(3)

続きです。第4章は、「肥満だと何でEDになったり、精液異常になるのか?」のメカニズムについてのまとめです。今日は、その4.1の「Genetic factors」の所行きます。(ちょっと内容的にはオタッキー過ぎて面白くないかもしれません。(「オタッキー」は死語??))4.What are the pathophysiological mechanisms?4.1 genetic factorsKlinefelter症候群、Prader-Willi症候群、Laurence-Moon-Bardet-Biedel症候群などの遺伝性疾患は...

肥満と男性不妊(2)

続き3.How does obesity affect male fertility?肥満の合併症の一つとして男性不妊があるとする多くのデーターがある。基本的には、EDと精液所見の悪化を引き起こす。肥満/糖尿病の男性の生殖能を脅かす原因の一つとしてEDが挙げられている。Coronaによると、メタボリック症候群の96.5%にEDが存在した、と報告されている。肥満による精液所見の悪化としては、精子濃度の低下、奇形率の上昇、運動率異常、DNA断片化率の変化などがあ...

肥満と男性不妊(1)

さて、暫く時間を使って、「肥満と男性不妊」に関する論文を一本読んでみたいと思います。読む論文はこちら。Obesity: modern man's fertility nemesis.です。この論文は、「図」が綺麗で気に入っている論文です。是非、リンク先に飛んで、図を見てみてください。では、論旨。いつものごとく箇条書きにします。1.Introduction「肥満」は現在、世界的な問題となっており、現状は「肥満パンデミック(大流行)」といった様相を呈して...

NICEのガイドラインを時々ななめ読みしてみる(4)

今日は「精液検査」。PDFの18ページです。1.3.1 Semen analysis1.3.1.1初期検査として行われる精液検査は、以下のWHOの「基準値」と比較する。精液量:1.5ml以上pH:7.2以上精子濃度:1500万/ml以上総精子数:3900万以上運総精子:40%以上または高速運動精子:32%以上生存率:58%以上正常形態率:4%以上1.3.1.2妊孕性を改善するのに効果的な治療法が確立されていないので、抗精子抗体のスクリーニングは行うべきではない。1.3.1.3...

触媒

東京(写真は埼玉ですが)では、桜が満開でございますが、鑑桜にはなかなか天候が向かないようで。今日は当直明けの眠い目をこすりながら、散策に出かけてまいりました。iPhoneにしては、なかなかいい感じに撮れて、自己満足でございます。実際に拝見させていただいている方にもHPをご覧いただいていらっしゃる方が何人かおり、様々な事情により分娩まで拝見できない方々から「生まれました」メールを頂戴することがあります。先日...

果たして卵管切除術は卵巣予備能を低下させるのか?(1)

さて、婦人科手術が妊孕能に影響を及ぼすのか?の新シリーズとして、「卵管を切除すると、卵巣機能は低下するのか?」について少し検討してみようかと思います。(春の学会シーズンに出した演題がらみで、ちょっとその情報が必要なので、僕個人の実益も兼ねてなんですけどね。)卵管を切除するときには、卵巣-卵管の間を切断していく必要があるわけですが、当然、そこには「血管」があるわけで、この血管も切断してしまうわけです...

NICEのガイドラインを時々ななめ読みしてみる(3)

さて今日は、「プロラクチン」です。PDFの21ページの上の方です。。1.3.5 Prolactin measurement1.3.5.1妊娠を希望している女性に対しての血中プロラクチン測定は行われるべきではない。血中プロラクチン測定は、排卵障害がある場合、乳汁漏出がある場合、下垂体腫瘍がある場合のみに限られるべきだ。Women who are concerned about their fertility should not be offered a blood test to measure prolactin.「should not」です...

化学的流産をどうとらえるべきなのか?を考察してみる。

HPをご覧くださった方からいくつかのご質問を頂戴しております。純粋に「不妊」といった方も多いのですが、いわゆる「不育」に関するご相談も結構頂戴します。その中で結構多いのが、いわゆる「化学的流産」ですね。「定義」としては、僕らが所属している日本産科婦人科学会が公的に出しているものによると、生化学的に妊娠(hCG が検出された、例えば尿中 hCG 測定で50Ul反応陽性)と診断されるが、超音波断層法により胎囊などの...

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター