Entries

潤滑ゼリーの使用は妊孕性に影響するのか?(1)

性交渉が成立する、というのは、冷静に考えてみると結構ハードルが高いものです。男性側には腟内挿入に十分なレベルの「勃起」の成立が、女性側には腟内挿入に十分なレベルの「潤い」が必要なわけです。両方の条件がシンクロしないと適正な性交渉が成立しないわけで、「挿入できない」「痛い」といった状態になってしまうわけです。この状態をアシストすべく、数多くのアイテムが商品化されているのは皆さんご存知の通りです。その...

座右の銘

HP上に、僕が「今までで最も感銘を受けた言葉」として、「人生は、涅槃までの暇つぶし」という言葉を上げております。結局僕個人の命はいずれどこかで間違いなく絶えてしまうので、それまでの間、やりたいことやってしまえ!と自分の背中を押すときに思い起こす言葉です。読み様によっては不快感を感じてしまう方もいらっしゃるのかもしれませんが、そこそこ評判がよろしいらしく、時々、同感してくださった方からメールを頂戴する...

「病的でない」人が過剰摂取して妊娠率が上昇する栄養成分は存在するのか?

「妊娠したい」という状況下の精神状態というのは非常に緊迫しています。経験したことが無い人にはおそらく理解できないであろう位、非常に不安定な精神状態に追い込まれます。その状況下、いろんな情報が交錯しています。「あれがいいのではないか?」「これがいいのではないか?」真に科学的に証明されているものから、体験談レベルのもの、非常に胡散臭いもの、果ては商魂たくましいものまで、玉石混交状態。・・・・ま、僕のHP...

Essureが日本に導入されたらいいなぁ(3)

【バックグラウンド】卵管留水腫がある方が体外受精をする前には、何らかの方法で留水腫を起こした卵管と子宮の間の連絡を断ち切ることが推奨されていて、現行、コクラン(2010)+本邦産婦人科内視鏡手術ガイドラインでは「腹腔鏡下卵管切除または卵管閉塞(切断とかクリッピングとか)」が推奨されています。僕も実際には、「腹腔鏡下卵管クリッピング」を施行させていただいているのですが、これは即ち、「腹腔鏡下手術」が必要...

黄体期中期はセックス禁!!

さて、今まで表題の如き内容、何となくわかっていたのですが、証明されてはいなかったので断定することができず、遠回しに遠回しに匂わせるのにとどめておりました。例えばこちら。ご要望にお応えいたします!「妊活+オナニー」の太字の内容など。要するに、「着床周辺期にオーガズムに達しないほうがいいんでないの?」というのを回りくどく書いていたつもりだったのですが、通じていましたでしょうか?で、いよいよ、「着床周辺...

高刺激誘発後のOHSS回避目的のアロマターゼ阻害剤

排卵誘発の合併症に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。僕が研修医の頃は、入院管理やら、真夜中の救急外来で「お腹が張る」やら、しょっちゅう拝見させていただきましたが、最近流石に入院適応になるほどのOHSSはほとんど見なくなりました(時代の経過+地域特性もあるのかもしれませんが)。かくいう僕も高刺激をやるのですが、OHSSハイリスク時には全胚凍結で回避してしまいます。高刺激時のOHSS回避には、全胚凍結以外にも...

クロミフェン抵抗性PCOに・・・?

クロミフェン抵抗性PCOに対して、「クロミフェン+α」で排卵誘発できないか?というのがいくつかありますね。例えば、メトホルミンやステロイド、hMGなどです。で、今回、「クロミフェン+コエンザイムQ10」というのが近未来RBM onlineに載るようなので、Article in press版を手に入れて読んでみました。リンクはこちら。Combined coenzyme Q10 and clomiphene citrate for ovulation induction in clomiphene-citrate-resistant p...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (11)

そんなわけで、現在考えている「正常受精卵1個」といった状況ですが、「体外培養を延長するほど害があるんだったら、同じ分割期胚移植でも早いほうがいいんでないの?」という発想に結び付くのは当然と言えば当然です。で、よく見かけるのが「day3 ETよりday2 ETの方がいいのでは?」という検討ですね。論文的には「有意差あり」とする論文と「有意差なし」とする論文、両方が入り乱れている状況です。例えば、Efficiency of chang...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (10)

【胚盤胞移植その5:胚盤胞移植で利益が出る人とは?】そんなわけで、胚盤胞移植の利点を有効活用するためには、「胚盤胞培養がゆえに発育を停止してしまう胚の分を差し引いても、なお、培養環境下のday5で赤ちゃんに成り得る胚が残る可能性が極めて高い」ということが必要なわけですが、では具体的にどうであればいいのでしょうか?もちろん今までのデーターの蓄積により、色々言われているのですが、今日現在「ガイドライン的な...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (9)

【胚盤胞移植その4:小括】ということで、ここまでを小括します。ヒトの胚を培養液中で培養するという技術は、未だ発展途上であり、生体内の環境にはおそらく追い付いていない。すなわち、培養液内で胚盤胞になれずに発育停止してしまった胚でも、生体内環境に戻したなら、発育できる可能性がある。というわけです。イメージにすると、こんな感じです。最初に使ったモデルケースのうち、初期胚移植をすれば、母体内で胚盤胞まで到...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (8)

【胚盤胞移植その3:胚盤胞移植の利点/欠点】「初期胚ET v.s. 胚盤胞ET」に関しては、コクランにも記載があります。リンクはこちら。Cleavage stage versus blastocyst stage embryo transfer in assisted reproductive technology.で、コクランの結論はこちら。This review provides evidence that there is a small significant difference in live birth rates in favour of blastocyst transfer (Day 5 to 6) compared to cle...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (7)

【胚盤胞移植その2:初期胚 v.s. 胚盤胞の『累積妊娠率』】一本論文を読んでみましょう。(少し古い論文なのですが、後で記載しますが、この論文を選んだのには理由があります。)えっと、こちら。Similar delivery rates in a selected group of patients, for day 2 and day 5 embryos both cultured in sequential medium: a randomized study.この論文は、論文全文を誰でも見ることが出来ます。リンク先の右上の「FREE FINAL ...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (6)

【胚盤胞移植その1:胚盤胞移植で上昇するのは「着床率」】ここまで、胚盤胞培養の培養液の話をしてまいりましたが、それをバックグラウンドとして、「胚盤胞移植が求めているものは何か?」を考えてみましょう。答えを先に書いてしまうと、胚盤胞移植というのは、全員が全員、誰彼その恩恵を受けられるわけではないと思います。その恩恵を受けられる人が数多くいるのは確かですが、逆に損をしている人が絶対にいると思います。自...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (5)

【培養液その4:まとめ】そんなわけで、現在、体外受精で用いられている培養液の現状について、ごくごく簡単にですが書いてみました。現在主流となっている「シーケンシャルメディア」、そもそものコンセプトは、ヒト生体内での卵管内/子宮内の内容液に真似て作られているわけです。非常に説得力のある理論です、し、事実、これにより無事妊娠成立なさったカップルは沢山いらっしゃるわけです。一方、培養液の「コンセプト」は全...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (4)

【培養液その3:continuous uninterrupted single medium v.s. sequential media】そんなわけで、最近、「培養液を変えねばならないシーケンシャルメディア」 v.s. 「培養液を変えずにぶっ通しで培養するシングルメディウム」こんな感じの論文をちらほら目にします。例えばこちら。Continuous uninterrupted single medium culture without medium renewal versus sequential media culture: a sibling embryo study.この論文の論...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (3)

【培養液その2:Renew medium or not?】で、昨日お話しした、最初から最後まで同じ培養液で培養する「single medium」でも、「新しい培養液に変える」ということをするのですね。シーケンシャルメディアでは、day3(8細胞)位で、「胚盤胞用培養液」に変えるわけですが、シングルメディウムも、「同じ培養液の新品」に変えるわけです。必要な栄養素が消費される+分解成分が悪さをする(特にアンモニア)ので、48時間程度で新しい...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (2)

【培養液その1:sequential media or single medium?】体外受精の「培養液」というのは、基本的に「培養液製造会社」が作って売っています。狭い世界ですが、結構熾烈な競争が繰り広げられている世界です。で、基本的には「胚盤胞まで培養可能なように」作られているのですが、これが(不思議なことに)、コンセプトによって大きく2種類あります。(1)シーケンシャルメディア(sequential media:mediaはmediumの複数形です)卵管...

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (1)

我々の身体で起こる生理機能というのは、通常、「ちょうどいい」ように「自然と」コントロールされているわけです。ホメオスターシスと呼ばれていますね。46億年という途方もない時間を費やして、地球環境に最も適合しているであろう形として、進化と淘汰を繰り返した結果、現在の生理機能が選択されているわけです。要するに、生理機能というのは、通常何事も「最適」になっている筈だと僕は思っています。なので、通常医療という...

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター