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Essureが日本に導入されたらいいなぁ(5)

【バックグラウンド】卵管留水腫がある方が体外受精をする前には、何らかの方法で留水腫を起こした卵管と子宮の間の連絡を断ち切ることが推奨されていて、現行、コクラン(2010)+本邦産婦人科内視鏡手術ガイドラインでは「腹腔鏡下卵管切除または卵管閉塞(切断とかクリッピングとか)」が推奨されています。僕も実際には、「腹腔鏡下卵管クリッピング」を施行させていただいているのですが、これは即ち、「腹腔鏡下手術」が必要...

【夏期講習】不育症(2)

続きです。テキストの6ページになります。「生化学的妊娠」について記載されています。過去には「化学妊娠」「化学流産」などの用語が用いられていたものの、現在の正式用語は「生化学的妊娠」である、と記載されています。また、この状態は「流産回数には含めない」とも記載されていますね。一番最後の所に、この「生化学的妊娠」に対して、現在の所どのように考え、扱うべきか?が記載されていますね。繰り返す「生化学的妊娠」...

【夏期講習】不育症(1)

では始めて行きましょう。テキスト5ページからです。2.定義及び頻度[定義]はい。言葉の定義です。最初に「流産」と「死産」の違いが説明してあります。「妊娠22週」を境に「流産」と「早産」に分けるのですが、その違いということです。で、その後、「習慣流産」「反復流産」「不育症」という3つの用語が示されております。流産を2回以上繰り返すことを「反復流産」、そのうちさらに3回以上繰り返した場合を「習慣流産」という用...

【夏期講習】不育症(予告)

世間的には尋常ではない暑さと騒がれておりますが、日中は空調が行き届いた建物内で過ごしているせいか、夏の暑さ/冬の寒さをあまり自覚しない生活を送っておる管理人でございます。如何お過ごしでしょうか?さて、本ブログでは、この夏の暑い最中、「不育症」の現状を短期集中特講として一気に勉強してしまおうかと思っておりますので、ご興味のございます方はお付き合いください。使用するテキストはこちら反復・習慣流産(いわ...

AIHを極める(13)~ダブル人工授精編(3)

【男性不妊に対するメタアナリシス】で、「男性不妊」のみをターゲットにしたメタアナリシスもちゃんと行われていまして、その論文は、2013年のこちら。Double versus single homologous intrauterine insemination for male factor infertility: a systematic review and meta-analysis.です。5つの報告合わせて1125人が対象。単回AIHが580周期、ダブルAIHが545周期。単回AIHの妊娠率は11.0%(60/580)で、ダブルAIHの妊娠率は20.9%...

AIHを極める(12)~ダブル人工授精編(2)

【原因不明不妊に対するメタアナリシス】Double versus single intrauterine insemination for unexplained infertility: a meta-analysis of randomized trials.こちらに、「原因不明不妊」のみをターゲットとしたメタアナリシスの検討結果が載っています。6つの報告合わせて829人が対象。排卵誘発は、1つはクロミフェンのみ、3つがhMGのみ、2つがクロミフェン+hMG。1回AIH群は概ねhCG投与後36時間後に施行(1つのみ24時間後)。...

AIHを極める(11)~ダブル人工授精編(1)

「いっそのこと、1周期に2回人工授精やってみたらいいんでないの?」確かに誰もが思いつく発想なわけで、こうした報告も数多く見られます。今までの報告が積み重なり、万人が恩恵を受けられるわけでは無いことも、あるいは逆に、条件が満たされれば確かに恩恵が受けられる人がいる可能性も指摘されているようです。今日からしばらく「1回の周期で2回人工授精をすること」→英語の論文では「double IUIs」と表現されるようですの知見...

PCOの排卵誘発は・・・(2)

先日、PCOに対する排卵誘発について、コクランが「クロミフェンよりアロマターゼ阻害剤」とした、というのを紹介いたしました。えっと、PCOの排卵誘発は・・・で、今年7/10のNew England Journal of Medicineに、いよいよ「PCOに対するレトロゾール v.s. クロミフェンの二重盲検多施設共同試験」の結果が載っておりますので、この論文をご紹介しておきたいと思います。えっと、管理人注として、「New England Journal of Medicine...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(6)

で、今までご紹介してきたのは全て「体外受精」の成績なのですが、じゃあ、「タイミング」、即ち、普通の性交渉による妊娠にはどうなの?効果は無いの?という疑問が湧くのは当然です。で、そういう報告も既になされております。2013年に報告されたこちら。Endometrial scratching to improve pregnancy rate in couples with unexplained subfertility: a randomized controlled trial.です。以下、論旨。1年以上の不妊期間を有す...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(5)

で、2012年にいよいよコクランがこの内容に触れてきました。Endometrial injury in women undergoing assisted reproductive techniques.です。このコクランでは、「子宮内膜を傷つけた群」 v.s. 「コントロール群」での体外受精の臨床成績を、5本のランダム化比較試験をメタアナリシスしております。このコクランで採用された5本のランダム化比較試験は2009~2011年発表のもので、このうち4本が実際の体外の前の周期に、残りの一...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(4)

【子宮鏡後に着床率が上昇したとする論文】で、今回の主題、「子宮内膜を傷つけると着床率が上昇する」という現象を間接的に示唆するデーターとして、「子宮鏡検査後に着床率が上昇する」という論文が合わせてreviewされています。(6)2004年、DemirolらEffect of treatment of intrauterine pathologies with office hysteroscopy in patients with recurrent IVF failure.この論文は、体外受精を2回以上行っても結果が出ていない4...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(3)

ということで、(3)のBarashら、(4)のRazielらは、子宮内膜を「傷つける」回数こそ違えど、実際の治療周期の一つ前の周期に「傷つけて」いたわけです、が、(5)は、まさに採卵周期そのもの、排卵誘発中に行動を起こしております。(5)2008年、Zhouら。Local injury to the endometrium in controlled ovarian hyperstimulation cycles improves implantation rates.この論文では、ロング法で排卵誘発している最中、超音波で子宮内膜の...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(2)

【「傷つける」と着床率が高くなるとする論文】で、子宮内膜を「傷つける」ことが着床にpositiveに働くのではなかろうか?と主張した最初の報告がBarashらの報告になるのだそうです。(3)2003年、Barashら。Local injury to the endometrium doubles the incidence of successful pregnancies in patients undergoing in vitro fertilization.この報告は、過去にIVF-ETを最低1回行ったけど妊娠しなかった卵巣予備能良好な134人を対...

子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(1)

「着床障害」という言葉があります。イメージするに「着床しうる条件を整えた胚が来たにも関わらず、子宮内膜がその胚を受け入れない」状態を指しているものと思われます。ただし、この状態、定義があいまいで、何を持って「着床障害」とするのか?が良くわかりません。「形態良好胚を○回移植しても着床しない場合」等の表現がなされることがあります。が、例え「形態良好胚」であっても、染色体異常胚が占める割合が思ったより高...

「低刺激法の落とし穴」

体外受精時には、強かれ弱かれ「排卵誘発」が行われるわけです。で、この排卵誘発法に「低刺激法」というのと「高刺激法」というのがあって、何となく「低刺激法 v.s. 高刺激法」という構図になっていて、特に「低刺激法」は「自然に近い」「体に優しい」「通院回数が少ない」etc etcといった「キャッチフレーズ」が目に付きます。これらの「キャッチフレーズ」は、耳触りが良くいかにもいい感じ、優しい感じに聞こえますが、ちょ...

ブログ版:1周年 ホームページ:3周年

ふと気が付くと、タイトルの如き時間が過ぎ去っておりました。ホームページ:妊活外来へようこそは2011年7月6日から、この「ブログ版」は2013年7月3日より開始いたしておりますので、HPは丸3年、ブログ版は丸1年が経過したことになります。この「ブログ版」を始めてから、1年間で読んだ論文が↓こちら。おお。我ながらすげい。積み上げたら500mlのペットボトルより高くなっているではありませんか。「塵も積もれば・・・」でござい...

卵管造影と新生児一過性甲状腺機能低下症(2)

日本小児内分泌学会が2014年6月18日に「先天性甲状腺機能低下症マス・スクリーニングガイドライン(2014年度改訂版)」というのを出しております。リンクはこちら。先天性甲状腺機能低下症マス・スクリーニングガイドライン(2014年度改訂版)(PDFです)このPDFの4ページ目に「b. 一過性CH」(CH=Congenital hypothyroidism:先天性甲状腺機能低下症)という項目があり、その原因として6項目が示されています。その5番目に「ヨー...

卵管造影と新生児一過性甲状腺機能低下症(1)

ヨウ素は甲状腺ホルモンの原材料なのですが、ヨウ素を急速かつ過剰に摂取すると甲状腺ホルモンの分泌は抑制されてしまうことが知られています。原材料がいっぱい来るのに、製品は減ってしまうという奇妙な現象が起こるわけですね。これをWolff-Chaikoff効果と呼んでいます。で、妊娠中にヨウ素を過剰に摂取すると、赤ちゃんが生まれてきた後に、一過性の甲状腺機能低下症が起こるのではないか?ということが報告されてきております...

Essureが日本に導入されたらいいなぁ(4)

【バックグラウンド】卵管留水腫がある方が体外受精をする前には、何らかの方法で留水腫を起こした卵管と子宮の間の連絡を断ち切ることが推奨されていて、現行、コクラン(2010)+本邦産婦人科内視鏡手術ガイドラインでは「腹腔鏡下卵管切除または卵管閉塞(切断とかクリッピングとか)」が推奨されています。僕も実際には、「腹腔鏡下卵管クリッピング」を施行させていただいているのですが、これは即ち、「腹腔鏡下手術」が必要...

男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(5)

そんなわけで、不妊治療現場で拝見するEDの主要因は心因性EDであり、その治療はEDだけに目を向けるのではなく、同時に併発しているであろうHSDD(性欲低下)も念頭に置いて対応すべきだと思う、といった内容を書いて(主張して?)来ました。では、最後に、さらに興味深い論文があるので、御紹介しておきたいと思います。Sexual experience of female partners of men with erectile dysfunction: the female experience of men's ...

男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(4)

そんなわけで、心因性EDに対しては、単にPDE-5阻害剤を投与する、だけではなく、心理学的な介入をすべきである、と考えられています。【心因の確定と精神的補助】どのような精神状況がEDの原因となっているのか?を確定しに行くのですが、ここが一筋縄では行かない所です。先にも書きましたが、男の僕が聞いてもなかなか掴めないことも多いです。で、心因がはっきりすれば、それに対してのサポートを行っていくことになります。こ...

男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(3)

現行の「ED診療ガイドライン2012年版」に、以下のように記載されています。「治療の目的は、満足のいく性的関係を回復することであり、単に固い勃起を得ることではない」EDの分類は器質性(血管性、神経性、解剖性、内分泌性)と心因性とに分類し、両者混在している場合を混合性EDと言います。もちろん、どのパターンでも不妊を訴える方がいらっしゃるのですが、不妊診療の場で比較的多いのは「心因性」だと思います。心因性EDは、...

男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(2)

東邦大の永尾先生の報告によると、次のようなデーターがあるそうです(日本性科学会雑誌30:99-102;2012)。【ED治療薬使用者のパートナー調査】シルデナフィル(管理人注:バイアグラのことです)で治療したED患者の満足度調査の結果は、男性:非常に満足 65%、やや満足 35%女性:非常に満足 15%、やや満足 52.5%、どちらでもない 20%、やや不満 10%、非常に不満 2.5%だったそうです。ご主人さんが満足しているのに比べ、奥様は...

男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(1)

タイミング療法を開始し、性交渉を持ってもらうわけです。で、その結果を(主に奥様から)聞くわけですが、「完遂できない」カップルが結構いらっしゃいます。僕なんかは、(現在の僕自身ではとても不可能なほどの)とんでもない回数(?)の性交渉を指示するので、なおさらなのかもしれません。現在、産婦人科で診療に当たらせていただいている都合上、当然「奥様」からの感想を聞くわけですが、非常に「不満」がくすぶっておりま...

潤滑ゼリーの使用は妊孕性に影響するのか?(2)

で、fertility and sterilityにも「潤滑ゼリー」についてのコメントがあります。Optimizing natural fertility: a committee opinionの633ページ(このPDFの3ページ目)の右下の「Some vaginal lubricants~~」の段落ですね。サマリーしてみたいと思います。「潤滑ゼリー」は体外で精子と混ぜ合わせると精子運動性が低下するので、実際の使用は妊娠率を低下させるのではないか?と懸念されている。市販されている潤滑ゼリーは、体...

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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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