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子宮内膜症と着床障害(3)

【続き】で、昨日ご紹介した小林先生の論文によると、「子宮内膜症患者さんの正所子宮内膜」で発現が低下していた29個の遺伝子が、染色体のどこにあるか?を調べてみると、そのうちの19個(=66%)が、いままでに「インプリンティング遺伝子」として報告されている遺伝子の近くに存在する、というのです。さてこれは偶然にしてはできすぎでないかい?というわけです。つまり、これら19個の脱落膜化遺伝子とゲノムインプリンティン...

子宮内膜症と着床障害(2)

で、「面白い説」とは、奈良県立医大の小林教授の書かれた論文で、Genes Downregulated in Endometriosis Are Located Near the Known Imprinting Genes.です。(小林教授は、今では有名な「内膜症の悪性転化(癌化)」を統計学的に示された先生です。僕も研修医上がりのころ、一度酒席でご一緒させていただいたことがあるのですが、発想が非常に天才的で、「やっぱ教授になる人の発想力は凄いなぁ」と本気で思った方です)正常な...

IFFS/JSRM学術集会に参加してきました

本日診察が必要だった方には早朝にいらっしゃっていただいて申し訳ございませんでした。m(_ _)m診療終了後、横浜で開催されておりますIFFS/JSRM初日に参加してきました。(今年は生殖医学会がInternational Federation of Fertility Societiesと併催されております)聞いてきた話の中から、「子宮移植」について!!日本でも去年秋にニュースにもなったLivebirth after uterus transplantation.のMats Brännström教授の講演です。...

子宮内膜症と着床障害(1)

子宮内膜症の方の不妊治療は結構苦戦をするわけです。メインの病態は骨盤内癒着(卵管周囲癒着)による卵管機能不全(いわゆる「ピックアップ障害」)なのでしょうが、本当にこれだけが原因なら、体外受精をすれば解決をするはずですが、これがまたなぜか内膜症の方の体外受精の成績が振るわないわけです。子宮内膜症性卵巣嚢腫核出術後の卵巣予備能にも出てきました通り、同じ卵巣予備能の方と比べても、内膜症の方の体外受精の成...

40代女性に妊娠してもらうための治療戦略(4)

「40代女性に妊娠してもらうための治療戦略」続き!今回アップ分は、前回までの内容の小括です。体外受精の成功率?なぜ女性の年齢が上昇すると生産率が低下するのか?なぜ女性の年齢が上昇すると胚の染色体異常率が増加するのか?小括1~自然排卵のイメージ(←今回アップ分!!)最後がもったいぶっていますが、大分方向性が見えてきましたかね?...

子宮頸がん検診リコメンデーション(11)~武蔵野市子宮がん検診について

【武蔵野市にお住いの読者さまへ】ご訪問ありがとうございます。さて、5月1日から武蔵野市の子宮がん検診が始まります。当院も「武蔵野市子宮がん検診委託医療機関」です。その準備として、昨日の日曜日、武蔵野産婦人科医会の会議が開かれ、参加してまいりました。で、ご担当下さった偉い方々のご尽力により、今年からいよいよ、武蔵野市の子宮がん検診も(ようやく?)液状細胞診になります。で、なんと、結果が「ASC-US」だっ...

40代女性に妊娠してもらうための治療戦略(3)

「40代女性に妊娠してもらうための治療戦略」続き!今回アップ分は、ちょっと「理系チック」な内容で申し訳ないのですが、いわゆる「卵子の加齢現象」の主因についての解説です。体外受精の成功率?なぜ女性の年齢が上昇すると生産率が低下するのか?なぜ女性の年齢が上昇すると胚の染色体異常率が増加するのか?(←今回アップ分!!)卵子が加齢に伴い、染色体をきっちり均等に分離する作業がだんだん苦手になってくる、というわ...

さくせん

長年患者さん達とお話をさせていただいているわけですが、当然似た状態の方がおり、話の内容も似たものになるわけです。例えば僕がお話しする「定型文」は年齢因子内膜症性不妊排卵誘発無精子症などなど。患者さん側からすると、当然初めて聞く話なわけですが、僕側からすると、まるで壊れたレコードのように(←これもそろそろ通じなくなるかも知れない!)、まったく同じ話を1日に何回もすることもあるわけです。で、その中の一つ...

ドクターズ・ファイル

新たにクリニックを立ち上げて驚いたのは、まあ、いろんな業者さんが寄ってくること寄ってくること。こんな貧乏クリニックに・・・・。もっと大富豪のところがいくらでもあるでしょうに・・・・。ねぇ。「いや、本当に貧乏なので、御免なさい。」「その分、体外受精を安くしたいんで。」と、申し訳ないのですが、お断りの日々。その中で一か所だけ根負けしてしまったのが、この「ドクターズ・ファイル」というところです。最初「取...

40代女性に妊娠してもらうための治療戦略(2)

「40代女性に妊娠してもらうための治療戦略」続き!今回アップ分は、HP「妊活外来へようこそ」内で、(多分)最もアクセスの多いページの内容です。体外受精の成功率?なぜ女性の年齢が上昇すると生産率が低下するのか?(←今回アップ分!!)そんなわけで、日頃いかに多くの染色体異常胚を扱っているのか、がよくわかるデーターですね。...

40代女性に妊娠してもらうための治療戦略(1)

以前、HP「妊活外来へようこそ」内で、「『どくさま』流不妊症講座」と題して不妊治療の僕なりの考え方を書いたファイルを作っていました。えっと、その形跡がこちら。不妊症講座もうだいぶ時間がたっていて、内容の劣化が正視に耐えられないレベルになってしまっておりますが・・・・。で、新バージョンを作ろうかな?というわけですが、まだあまり構想が練れていません。で、先月、勉強会を実施させていただきましたところ、思っ...

排卵誘発としてのレトロゾール(フェマーラ)のエビデンス(8)

今日(2015年4月)現在、アロマターゼ阻害剤は排卵誘発剤としての効能は認可されておりません。即ち、アロマターゼ阻害剤を排卵誘発目的に使用することは、完全に適応外使用です。仮に実臨床上、排卵誘発剤として使用する医療機関があったとしたら、それは処方する医療機関(医師)の責任の上で、患者様との十分なインフォームドコンセントが形成され、両者合意の上で処方されている筈です。よって当然ですが、本ブログはアロマタ...

子宮内膜症性卵巣嚢腫核出術後の卵巣予備能

子宮内膜症性卵巣嚢腫核出術が術後卵巣予備能を酷く低下させる可能性があることは、現在産婦人科臨床上は周知の事実となっております。そして、少なくとも「不妊症(=妊孕能)」という意味では、子宮内膜症に対する手術は以前考えられていたほどのpriorityはどうやらなさそうだ、という方向性になってきている感があります(必要な人には必要ですが)。一方で、過去に子宮内膜症で核出術を受け、卵巣予備能が低下した状態で不妊治...

産婦人科の専門医制度について

「専門医」という話が出てきたので、産婦人科医の世界の「専門医制度」はどうなっているのか?を解説したいと思います。僕らが大学(医学部)を卒業したころは、そのまま直で自由に希望の「科」に進んでいました。何科に行くのかは自由に決めることが来ます。(今は「研修医制度」というのができており、大学卒業後2年間は「初期研修」というカリキュラムをこなす必要があります。で、この2年間の初期研修を終えてから、自由に科...

マグリット展に行ってきました!

時間がポッカリ空いた日曜日、「いつか行こう」と思っていたマグリット展に行ってきました。マグリットは僕が大好きな画家さんの一人で、美術史上はデ・キリコやダリなどと並んでシュルレアリスムの巨匠ということになります。マグリット作品の僕個人的な感想としては、人間の「見えないものを見たい」という欲望の強さ結果、見えた"ように感じた"ものは果たして真実なのか?目に見えている部分は真実なのか?(真実・深層心理は見...

ご報告

4月に入りました。新年度、社会はいろんな動きがあります。で、開院1.5か月の当院にも多少動きがあったので、ご報告させていただきます。(1)無事、東京都特定不妊治療費助成事業指定医療機関になることができました(2015年4月2日付)。実況報告(?)してまいりましたが、先月東京都の担当の方が実地調査にご来院くださいました。東京都の現地調査終了!結果、指定を受けることができました。クリニックを開院し医療行為を行う、...

月経不順の不妊患者に対してどの程度の検査を行うべきなのか?(2)

タイムリーにも、昨日、まさに「月経不順の排卵誘発しただけ妊娠」の方がいらっしゃいました。(ちょっとだけ卵管因子のスクリーニングをさせていただいちゃいましたが(汗))おめでとうございます!続き。【Results】今回の検討に適合したのは、9つの研究である。〔クロミフェンによる排卵誘発を第一選択として開始する前〕<精液検査>精液検査を行っている検討の結果では、753人中3人が無精子症であった(0.3%)。精液検査異常...

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プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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