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卵胞内人工授精(1)

以前、卵管内人工授精と呼ばれている方法があるが、今年のHum Reprodでけちょんけちょんにダメ出しされている、というご紹介をいたしました。えっと、ですね。
では、この方法が生き残るとすると、可能性があるのは男性因子ではないか?ただし、希釈が通常の(子宮内)人工授精に比べて薄まるので何とも言えないが・・・、とも書きました。ということで、かなり風向きは悪いようです。

卵管なんてケチなこと言ってないで、もっと大元に迫ればいいんでないの?とばかりに卵胞内人工授精なんて方法もあるそうです。
「どこにでも入れりゃいいってもんでもなかろうに・・・」
とため息ついちゃいそうですが、でも確かに卵管内よりはまだ実用性があるのかもしれません。
少しばかり論文に当たってみましょう。

まず参照する論文は
「卵胞内精子注入法の有用性に関する検討 日本産科婦人科学会誌 47(6) 561-, 1995」
です。
要約すると、
  • 24例46周期に卵胞内人工授精をやってみた。
  • エントリー条件は、「5年以上の長期不妊例」+「通常のAIHを3回以上行っても妊娠しなかった例」
  • 男性因子13例27周期、免疫因子4例7周期、内膜症1例2周期、機能性不妊6例10周期
  • 2例が妊娠した(症例あたり8.3%、周期あたり4.3%)。
とのことです。
妊娠率は悪いですが、条件的には結構厳しい例が妊娠に至っていますので、評価的には満更ではないのかもしれませんね。

妊娠に至った例は、どちらも男性因子とのことです。
なので、男性因子のみで考えると、症例あたり15.4%周期あたり7.4%の妊娠率。
やり方は、精子を密度勾配遠心法にて選別して、final 0.8mlの培養液に溶解して、一個の卵胞に(採卵する要領で)全量注入したとのことです。

妊娠例では、
【症例1】
調整前2000万/ml、運動率5%で、調整後10万/mlとのこと。
これを0.8mlだから、8万匹ってことですね。
卵胞が仮に直径20mmとすると、卵胞内でざっと2万/mlか。

【症例2】
調整前8500万/ml、運動率11%で、調整後1000万/mlとのこと。
で、0.8mlで800万匹。
同様に卵胞内ではざっと200万/mlですね。

で、この先生たちの考察も精子数に触れていて、成功のカギは注入する精子数だろう。逆に男性因子がない場合(濃すぎる)はだめだと考察しています。
この先生たちの結論だと、注入する精子数は30万/ml~1000万/mlなんだろう、と予想していますね。
ということは、卵胞内では、ざっと6万/ml~200万/mlですね。
だとすると、確かに体外受精の媒精時の精子濃度に近いわけですね・・・・。
逆に濃すぎるとダメということです。

卵管因子や原因不明では厳しそうですが、確かに男性因子のみで(女性因子がなく)、体外・顕微に抵抗感があって、でも、普通のAIHではちょいと厳しい数の精子で、卵胞内で至適精子濃度を保てる程度の精子が得られるなら(ざっと計算すると、運動精子で40万/1卵胞)、確かに選択肢になりうるのかも知れないですねぇ・・・・ブツブツブツブツ(独り言)。

で、実はこの卵胞内人工授精、2011~2012年にかけて論文が出ていますので、明日以降そちらをご紹介していきますね。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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