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卵胞内人工授精(2)

そんなわけで、何とも胡散臭い「卵胞内人工授精」ですが、近年論文が載ってました。
まず紹介するのはこちら。えっと、で、2011年のJ Assist Reprod Genet誌に載りました。イタリアからの報告ですね。

結論から言うと9組のカップルに行って、妊娠反応陽性4組(44.4%)、臨床妊娠3組(33.3%)とのことです。
うむむむむ、本当ならスゲーじゃん。
ちょっと論旨を箇条書きにしてみますね。

【方法】
  • 9組の平均不妊期間は3.3年
  • 男性因子2組、原因不明3組、無排卵2組、内膜症1組、頸管因子+内膜症1組
  • 女性の平均年齢は35.2歳、男性は39.8歳
  • 9組中5組はAIHを受けたことがあるが、妊娠には至っていない
  • 排卵誘発はリコンビナントFSHまたはhMGで、LHサージは抑制しなかったのが2例、ロングが5例、アンタゴが2例
  • トリガーは18mm以上の卵胞が3個以上になった時点でhCGで施行
  • hCG後34.5時間後に精子の準備
  • PureCeptionによる密度勾配遠心後、350μl(=0.35cc)の整理食塩水に溶解
  • hCG後36時間で卵胞内人工授精施行
  • 18mm以上の卵胞に均等に注入した
【結果】
  • 結局注入した卵胞は2個か3個で、平均2.7個の卵胞に卵胞1個当たり運動精子で平均430万匹注入
  • β-hCG陽性率は4組(44.4%)、臨床的妊娠は3組(33.3%)
  • 妊娠したのは頸管因子+内膜症の1組、無排卵の1組、原因不明の2組
  • 妊娠した群での卵胞あたりの精子注入数平均は600万匹
【考察】
  • 卵胞内人工授精は過去に症例報告レベルで報告されていた
  • Nuojua-Huttunenらが1995年に妊娠率は2%程度だと報告した。
  • 今回の我々の検討とは、患者背景が違う
  • Nuojua-Huttunenらの対象患者は不妊期間が長く、体外受精の不成功例も含まれている
  • この方法の成功に必要な要件は(1)施行する前の発育卵胞数(2)精子を注入する卵胞数(3)注入する精子数がキモだろう
  • Nuojua-Huttunenらは20万-80万/卵胞の精子を注入しており、少ないのではないか?

といった感じですね。
ということで、この先生たちの言い分では、卵胞1個当たり600万の精子とのことです。
ということは、卵胞の直径を2cmと近似すると、卵胞内ではざっと150万/mlの精子濃度になるわけですね。
ちょっと濃い気もしますが。

えっと、前回ご紹介した日本の報告では卵胞内で6万/ml~200万/mlとのことでしたとでまあ、まあその辺なんでしょうかねぇ。
でも、卵胞当たり600万で、平均2.7個に注入するなら、総運動精子はざっと1620万ってことですから、通常の人工授精でいいような気もしますがね・・・。

と思ってしまうわけですが、「いや、そうじゃないんだ」という論文が2012年に再度このイタリアの先生たちから出されていますので、次回はそちらをご紹介したいと思います。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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