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排卵誘発としてのレトロゾール(フェマーラ)のエビデンス(1)

さて、本年最後の企画となるでしょうか。本日より数回に分けまして、アロマターゼ阻害剤の排卵誘発への使用について直近の考え方を勉強しておきましょう。
読んでいく論文は、こちら。で、直訳すると、「排卵誘発剤としての"レトロゾール"を支持する最近のエビデンス」といった感じでしょうかね。
あんまり聞かない雑誌なのですが、どうやら、インドの生殖医学会の雑誌のようですね。
そのreviewとして「レトロゾール」についてまとまっている論文です。
今日は「イントロダクション」から。

【introduction】
  • クロミフェンに対抗する排卵誘発剤の必要性については、1990年代より言われていた。
  • クロミフェンはその抗エストロゲン作用により、子宮内膜、頸管粘液、あるいは、長期に渡る蓄積による(組織での)エストロゲン受容体の長期的な減少などの多くの問題がある。
  • この結果、ホットフラッシュや更年期様症状まで引き起こすことがある。
  • トロント総合病院の2人の医師は10年以上前にクロミフェンに対抗しうる排卵誘発剤として、アロマターゼ阻害剤がその候補として挙げられることを見出していた。
  • 彼らは、4-ヒドロキシアンドロステネジオンという当時唯一知られていたアロマターゼ阻害剤を合成したが、これは残念ながら排卵誘発剤として使用できず、この案は廃案になっていた。
  • 1998年に2人は、ノバルティス社が乳癌治療薬として開発したアロマターゼ阻害剤であるフェマーラ(レトロゾール)に目をつけ、これを排卵誘発剤として使用し、その論文を2000年に発表した。

  • そして、その後の10年で、レトロゾールは排卵誘発剤として、広く認知されるようになった。
  • 特に、クロミフェン抵抗性女性でのレトロゾールの効果は評価された。
  • 所が2005年、アメリカ生殖医学会で、レトロゾールを排卵誘発剤として使用した結果、先天異常が増えるとの報告がなされた。
  • 以降、レトロゾールの安全性についての再評価が、より大規模で検討された。
  • その結果、レトロゾールは、排卵誘発剤として、少なくともクロミフェンと同等の効果があり、先天奇形についてもどうやら上昇しないようだということがわかってきた。
  • しかしながら、全世界中で、レトロゾールを排卵誘発剤として認可している国はまだなく、ほとんどが「適応外使用」となっている。
  • インドのような国では、閉経前の不妊女性への使用は禁止されている。
  • この論文では、レトロゾールを排卵誘発剤として使用するエビデンスについて論じ、レトロゾールを排卵誘発剤として認めるべきである点について論じたい。


とのことです。
なるほど、インドではレトロゾールは排卵誘発剤としては禁止になっているので、
「世界の実情はこうなってるのよ、だから、(インドでも)使えるようにして!」
という論文なのですね。
だからインドなんだ。納得。

えっと、一応バックグラウンドの解説です。
途中で出て来た「レトロゾールと先天奇形」の発表は、この世界では知らない人はいなかろう、という位、超衝撃的でした。えっと、どれだっけな。これこれ。
詳細忘れちゃいましたけど、確か、心奇形と四肢奇形が増えるとかだったと思います。
で、この結果を受けてとんでもない大騒ぎになり、カナダでは排卵誘発での使用禁止、製薬会社も「排卵誘発目的に使ってくれるな!」という通達を出したんですね。
この後、2008年ぐらいまででしょうか?「ありえない」「とんでもない」というレッテルが張られていましたが、その後検討されてきた結果、現在では、どうやら先天奇形自体は増えない様で、自然発生とほぼ変わらないという意見が主流だと思います。

こんな歴史があったので、今でも基本的に「適応外使用」には変わりなく、使用なさっている皆さんは、心配になってしまう位、妙にしつっこくインフォームドコンセントをされたと思いますが、実は、こういうバックグラウンドがあったからなのです。

「インドで使えない」という理由も多分これでしょうね(嘘かもしれません)。

では、本文は明日以降で。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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