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排卵誘発としてのレトロゾール(フェマーラ)のエビデンス(2)

続きです。

【Mechanism of Action of Letrozole and How It Is very different from CC:レトロゾールの作用機序】
  • クロミフェンの問題点は、エストロゲン受容体を枯渇させ、累積し、半減期が長いことにある。
  • 一方アロマターゼ阻害剤は卵胞や、抹消組織、脳などで、アンドロゲンからエストロゲンへの変換を阻害する。
  • これにより、次の二つの機序が考えられる
    • 血中エストロゲンおよび局所エストロゲン濃度を低下させること。
    • 卵巣内アンドロゲン濃度を上昇させること。
  • エストロゲンが低下すれば、ネガティブフィードバックによりFSH分泌が上昇する。
  • (クロミフェンと違い、フィードバック機構そのものに介入しているわけでは無いので)フィードバック機構は正常に働くので、主席卵胞の選択・他の小卵胞の閉鎖などが正常に起こり、よって単一卵胞発育が引き起こされる。
  • 卵巣局所でのアンドロゲン上昇は、卵胞のFSHへの感受性増大に関係しているようである。
  • どうやら、早期の卵胞発育において、アンドロゲンはFSH受容体とIGF-1を上昇させ、これらの働きにより、卵胞発育が促進されるようだ。
  • まとめると、アロマターゼ阻害剤はクロミフェンに比べ、次のような利点がある。
    • エストロゲン受容体を枯渇させない。
    • 視床下部-下垂体系に影響を及ぼさない。
    • 作用時間が短い(半減期は45分)(管理人注:原文ままで訳しました。45min half-lifeとありますが、実際は45時間程度ですので、多分間違いだと思います)
  • この薬理作用により、内膜、頸管粘液への影響を排除でき、単一卵胞発育となり、卵胞発育条件が良くなる。


「アロマターゼ」について少しふれておきます。
男性ホルモン(アンドロゲン~代表例:テストステロン)も、女性ホルモン(エストロゲン~代表例:エストラジオール)もぜ~んぶまとめて「性ステロイドホルモン」と呼びます。
で、性ステロイドホルモンの大本は、悪名高き(?)コレステロールなのですね。
生体は、コレステロールからテストステロンもエストラジオールもプロゲステロンも作り上げております。

ちなみに医学生はこの代謝経路を暗記します。僕もその昔しました。
その合成経路の図を見るたびに、未だに当時の悪夢が思い起こされます(笑)。

これをすっごい大雑把に大胆に省略すると、
「コレステロール→黄体ホルモン→男性ホルモン→女性ホルモン」
です。
で、このステップの
「男性ホルモン→女性ホルモン」
の変換を行う酵素が「アロマターゼ」
です。

「アロマターゼ」の「アロマ」は「香り」の「アロマ」と同じ意味です。
高校の化学で「芳香族」というのを習いませんでした?「ベンゼン環」とかあの辺の話です。
(皆さんも「あの頃」の悪夢を思い起こしますか?(笑))

大雑把にいうと、男性ホルモンの一部をベンゼン環にすると女性ホルモンになるそうなのですが、この反応を「芳香化」と言うそうです。
で、「芳香化酵素=英語でアロマターゼ」なわけですね。

即ち、アロマターゼは、男性ホルモンを女性ホルモンに変換する酵素、というわけです。
テストステロンならエストラジオールに変換させます。

で、この「阻害剤」、つまり邪魔をするわけです。
どうなります?
男性ホルモンを女性ホルモンに変換できないわけですね。
テストステロンをエストラジオールに変換できない。
結果、エストラジオールの濃度が上がらなくなるわけです。

この性質を利用して、エストロゲン依存性乳癌に対して「エストロゲンを届けない」状態ができる。
だから「抗癌剤」に分類されている
わけです。

で、排卵誘発のシーンでは、ここにも書いてありましたが、復習しておきます。

そもそもは脳が下垂体からFSHというホルモンを出すのでした。
これに反応して、卵胞が育つ。
卵胞は、自分が育っていることを、脳をはじめとした関連器官にエストラジオールを分泌してお知らせしているのでしたね。
「私(卵胞)は、今このぐらいの大きさなのよ~~~」
「皆さん準備してくださいね~~~~」
といった感じでした。

で、これに反応して、関連器官が準備を整えるのでしたね。
「お、エストラジオールがこのぐらいということは、そろそろ準備をしなっくっちゃ!」

子宮頸管:精子を迎え入れるために頸管粘液を出さなくっちゃ!
子宮内膜:着床に向けて、厚くさせなくっちゃ!
という感じでした。

で、アロマターゼ阻害剤が入るとどうなりますか?
卵胞が育って、全身に状況報告するためにエストラジオールを分泌したいのに、それができなくなるわけです。
すると、脳は、卵胞が育っているのにも関わらず、
「あれ?まだエストラジオールがそんなに出ていないぞ?もっと育てなきゃ!」
となるわけです。
で、FSH分泌を増やす

これが、ここに書いてあるアロマターゼ阻害剤の排卵誘発機序の1つですね。

一方、クロミフェンは・・・・・、HPのどこかで書いたな。確か。
・・・あ、公開してない内容でした・・・。
ご入り用なら連絡下さい。
「新」HPにもいつか解説アップすますね。
気長にお待ちください m(_ _)m。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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