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皆様が戻したその卵、染色体が正常である確率は何%か?(2)

で、まずご紹介する論文が、2012年のRBM onlineのこちら。です。
アメリカでの体外受精でPGSの結果が出た7345胚(day3が5918個、胚盤胞が1218個)の結果をまとめたものだそうです。
バックグラウンドとしては、
  • 排卵誘発は高刺激で行っている(低刺激や自然周期ではないcommonly used stimulationと書かれています)。(余談ですが、この論文を書いた先生はここに結構こだわっています。「本研究の結果は高刺激v.s.低刺激の優劣について言及しているわけではない」ということを強調しています。)
  • PGSはArray CGH法で行っている。
  • egg donation(卵子提供)プログラムの結果も入っている(もちろんその結果はドナーの年齢で評価してある)。

一応、用語について触れておきます。
染色体の状態についての記述で、「euploidy」「aneuploidy」という単語が用いられています。

「euploidy」は、日本語では「正倍数性」で、遺伝学的には一倍体(haploid)、二倍体(diploid)、三倍体、四倍体、・・・・と染色体が完全な整数倍のセット揃っている状態を指しますが、ここでは体外受精のプログラムですので、事実上「二倍体」のことを指すことになります。つまりここでは、
  • 「euploidy」=正常染色体
と解釈してOKです。

「aneuploidy」は、日本語では「異数体性」で、遺伝学的には高次異数性(hyperaneuploidy、または多染色体性polysomy)+低次異数性(hypoaneuploidy)ということになりますが、同様にここでは体外受精のプログラムですので、モノソミーなりトリソミーを想定するわけです。つまり、2本あるべきある染色体が1本多いまたは少ない状態であり、
  • 「aneuploidy」=染色体異常
と解釈してOKですね。

では、この論文の結果に戻ります。
まずは、この論文の「図1」として、初期胚(day3)のPGSの結果、euploidy(染色体が正常)・aneuploidy(染色体異常)の割合が女性の年齢別にグラフ化されています。
「濃い線(右に下がっている方)」:染色体が正常であった割合(%)、数字は左側を見ます。
「薄い線(右に上がっている方)」:染色体異常があった割合(%)、数字は右側を見ます。
下に女性の年齢が書かれています。



20歳のday3胚で、染色体正常な割合が大体50%:50%ですかね。
35歳で正常30%:異常70%位ですか?
40歳で正常15%:異常85%
45歳で正常は10%以下:異常は90%以上
ですね。

どうですか。
そんなわけで、40歳でday3に移植可能胚が1個あったとして、その染色体が正常である確率は15%ということです。

次回は引き続き胚盤胞の結果の予定です。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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