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皆様が戻したその卵、染色体が正常である確率は何%か?(4)

同じ論文で次のようなデーターも出ています。
「表1」というのが以下で、これは、day3に移植可能胚が何個あったか?という基準で対象患者さんを分類してあります。
クリックしていただくと、少しだけ拡大します。
縦方向の分類は、一番左側に「1-4」「5ー7」「8-10」「>10」と分類されていますね。これは、day3に移植可能胚が何個あったか?ということです。
横方向の分類は、上に書かれている通り、女性の年齢で分けられています。
ちなみにOocyte donorは、卵子提供者で、平均年齢26.6±3.7才とのことです。

各々の数字が縦に3個書かれています。
  • 一番上が、その群に入った女性の「人数」
  • 真ん中は一個一個の胚の染色体が正常であった確率(%)
  • 一番下が、移植可能胚全ての中に、染色体正常胚が少なくとも一個でも含まれていた人の人数とカッコ内はその割合(%)
です。



流石に卵子提供者は100%、最低一個は「正常染色体胚」を提供できていますね。
35歳未満で、day3で5個以上移植可能胚があると、最低一個は「正常染色体胚」が含まれている割合は90%以上になるようです。
35-39才で同様に「正常染色体胚」が少なくとも一個以上含まれている割合が90%以上になるためには、day3で8個以上の移植可能胚が必要なようです。
40才以上では、day3で移植可能胚は多ければ多いほど「正常染色体胚」が含まれている確率が上がる、という構図になっていると言えるようです。

この論文の筆者の先生たちは、
「女性の年齢が同じ群では、移植時点で何個胚があろうとも(=もっと言うと、何個採卵出来ようとも)、一個一個の胚が染色体正常である確率は変わらない」
ということを論じたいがためにこの表を作ったと書いてあります。
要するに、例えば、35-39才を見ると、
  • 移植可能胚が1-4個でも、染色体正常率は一個当たり28.8%
  • 移植可能胚が10個以上あっても、、染色体正常率は一個当たり32.4%
でほとんど変わっていないでしょ?ということが言いたいわけです。

要するに、
胚の染色体が正常である確率(=つまり卵の「質」)は、卵巣予備能によらないよ。女性年齢によるのですよ。
という事を遠回しにいいたいわけです。
なので、この論文の題名が
「Array CGH analysis shows that aneuploidy is not related to the number of embryos generated.」
(Array CGH法による解析で、染色体異常率は発生胚数とは関係がない)
とつけられているわけです。

話はそれますが、最近よくあるパターンが「AMH」ですね。
「検診」並みの軽い気持ちで測ったはいいけど、その数字に慌てふためいてパニックになってらっしゃる(正確には「させられてしまっている」かな?)方。
AMHの意義を正確に把握するためにはかなり深い知識が要求されますので。

そんなわけで、そもそもはそういった目的で作られたデーターなのですが、上手に転用すると、皆さん自身の治療戦略を立てていくうえで有効かもしれませんね。
研究してみてください。

次回は同じデータの胚盤胞版の予定です。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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