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皆様が戻したその卵、染色体が正常である確率は何%か?(9)

さて、以上で内容的にはほぼ終わりなのですが、この論文、もう一つ面白い検討がしてありますので、おまけですがご紹介しておきたいと思います。

  • 性染色体に異常を認めなかったのは、検討した500個中454個だった。
  • XXだったのは229個(51%)、XYだったのは225個(49%)であった。
  • 性染色体がXXであった胚に常染色体に異常が認められたものは124個(54.2%)、XYで常染色体に異常が認められたものは113個(50.2%)で、常染色体の異常に性差はなさそうである。
  • 興味深いことに、グレード5-6の胚盤胞のうち72%(57個中41個)は性染色体がXYで、XXであったのは28%(57個中16個)にとどまった。
  • さらには、グレード3以下の、成長速度の遅い胚盤胞では、逆に60%(207個中124個)がXXで、XYは40%(207個中83個)にとどまった。
  • この性差による胚盤胞のグレードの違いには明らかな有意差があった。
  • 男性型性染色体を有する胚は2.6倍グレード5-6の胚盤胞になり易い。

とのことで、下のようなグラフが付いています。
濃いほうが男の子、薄いほうが女の子の性染色体を持っている割合ですね。



以上より、この論文を書いた先生たちは、
「胚盤胞のグレードは、染色体異常の有無より、性染色体がどっちなのかの方がよっぽど影響が大きいんじゃないでしょうか?」
ということをほのめかしているわけです。
なので、この論文の題名に
「The relationship between blastocyst morphology, chromosomal abnormality, and embryo gender.」
(胚盤胞の形態と染色体異常、および胚の性別の関係)
と、gender(性別)という単語が入っているわけです。

以上、PGSの結果得られてきている知見について記してまいりました。
今日行われている不妊治療の「ブラックボックスの部分」が少し透けて見えて来たわけですが、今毎日のように一生懸命やっている通常過程が科学的に検証されつつあるわけで、その結果、なんというか、無力感というか、脱力感を感じる点は正直共感できる気がします。
この壁を何とか突破したい、と考える人たちが多くなるのも頷けるわけです。

さて、(6)~(9)までの内容も、本編のHPにアップしておきます。
こちらになる予定です。後ほどトップページからのリンクも作っておきますので、ご参照ください。

では、このシリーズ、一旦お終い。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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