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クロミフェンの復習(1)

さて今度の特集は、不妊治療が一転、避妊治療に変わってしまう可能性のあるジャジャ馬、「クロミフェン」行ってみましょう。
読んでいくのは、去年のfertility and sterility(アメリカ生殖医学会誌)の8月号に載ったこちら。です。
少しずつ何回かに分けて読んでいこうかと思います。

【Pharmacology(薬理学)】
  • 化学的に、クロミフェンは非ステロイド性トリフェニルエチレン誘導体で、エストロゲン作用と拮抗作用の両方を有する。
  • 一般的に、エストロゲン作用は内因性エストロゲンが極めて低い場合にのみ認めらる。
  • それ以外には、クロミフェンはエストロゲンの競合的拮抗作用を示す。
  • クロミフェンは肝臓で代謝され、糞便中に排泄される。
  • 投与量の85%は約6日で排出されるが、体内に残存する期間は長い。
  • 現在製造されているクロミフェンはエンクロミフェン(enclomiphene)とズクロミフェン(zuclomiphene)という2つの幾何異性体の約3対2の混合物である。
  • エンクロミフェンはより力価が強く、クロミフェンの排卵誘発効果の主因と考えられている。
  • エンクロミフェンは、投与後速やかに血中濃度が上昇し、その後速やかに排泄される。ズクロミフェンの代謝はもっとずっと遅く、一か月以上血液中に残存し、次の治療周期に蓄積する。但しこのことが臨床成績に何らかの影響を及ぼす、というエビデンスはない。


はい、いきなり難しい話でしたね。すいません。
そんな訳でクロミフェンの成分はピュアでは無いんですね。
幾何異性体(いわゆるシス・トランス異性体)の混合物です。

図をお借りして来ました。こんな感じ。
右上の方の「ベンゼン環」と「Cl」の位置が入れ替わっていますね。
これです。
で、この異性体間で活性/代謝が違う訳です。



よく「クロミフェンの半減期」という記載でクロミフェンを論じてあるのを見ることがあるのですが、そんなわけで異性体毎に半減期が違うのでちょっと残念な感じになっているものも目にすることがあります。

一方で、実は製薬会社毎にこのシス・トランス異性体の配合比率が違うのでは?という話もあり、それで使い分けをしている、という話も聞いたことがあります(どの程度効果があるのかは知りませんが)。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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