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子宮頸がん検診リコメンデーション(4)

・・・・ちょっと難易度が高すぎましたかね。失礼しました。
改めて基本から振り返りましょう。

「子宮頸がん」ですが、子宮の「出口」にできる癌です。
この癌は基本的に
「昨日は正常でした。一晩寝て、今日癌になりました。」
とはならない、と考えられているのですね。
段階を経て「ジワジワ」進んでいくと考えられています。
ざっと以下の通り。

正常

軽度異形成(CIN1)

中等度異形成(CIN2)

高度異形成(CIN3)

上皮内癌(これもCIN3)

微小浸潤癌

浸潤癌


こんな感じです。
上皮内癌から先が「子宮頸がん」と呼ばれています。
「異形成」というのは、「癌ではない。でも癌化しやすい状態」ということで、「前癌病変」なんて呼ばれることもあります。

この病態の進展には、「ウイルス」が関与しているのだろう、と考えられているわけです。
で、そのウイルスの名前がHPV(ヒト・パピローマ・ウイルス;Human Papilloma Virus)です。

HPVは100種類以上のタイプが知られていますが、特に子宮頸がんの病態進展に関連が高いであろう、というのが13種類挙げられていて、これらを「ハイリスクHPV」なんて呼んでいるわけです。

【HPVの特徴】
  • HPVは性的接触で伝わるのは確かです。イケてない解説を読むと、さも「性病」みたいに書かれていますが、いわゆる「性病」には分類されていません。
  • ほとんどの成人女性(約80%)が、一度はHPVに感染し、そのほとんど(約90%)は自然に消えます。(性交によって女性の80%は高リスク型HPVに一時感染します。ただし、そのうち90%は2年以内に自然消滅します。持続感染になってしまうのは約8%、そのうち、異形成→子宮頸がんへと進展するのは約10%程度とみられております。ちなみに初感染から浸潤癌に至るまでには5年以上かかると考えられています。)
  • HPVは健康な女性にも存在しています。存在即悪ではありません。細胞診で異常がなければ治療の必要はないと考えられています。
  • 子宮頸部はもともと細胞の変化が起きやすく、HPV感染が持続しやすいです。
  • 免疫や喫煙などの要因が加わり、高度異形成や癌に進行することがあります。
  • なので、子宮頸がんは、HPVという多くの方が感染するありふれたウイルスのまれな合併症、と考えることが出来ると思います。


    • そんなわけで、「ハイリスクHPV」は「感染しているかどうか」で勝負するわけではなくて、「感染が一過性感染なのか?持続性感染なのか?」の区別が大事なんですね。

      先日、「20歳代の全員に対する無条件ハイリスクHPVスクリーニングは推奨されていない」という点をご紹介いたしました。
      つまり、20代は一過性感染の真っ盛りと考えるわけです。
      無条件にハイリスクHPVをひっかけても、ほとんどが一過性感染なんですね。
      ほとんどが自然消滅します。

      一方、30歳代は細胞診とHPV-DNA検査併用を推奨していました(保険適応外)。
      そうなんですね、30歳代でひっかけると、持続感染の割合が増えてくるわけです。

      つまり、いかに一過性感染を拾わずに、持続感染をスクリーニングするか?というわけです。

      「子宮頸がん検診リコメンデーション(2)」で、
      「20歳代の方の場合は、HPV-DNAのスクリーニングは推奨されてはいないわけですね。
      一方30歳代の方は細胞診とHPV-DNA検査併用が推奨される。
      この違いは、HPVの自然史に基づいているわけです。
      よく考えられていると思います。」
      と書いたのは、そういうことです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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