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正しくオナニーするって、マジで大事(2)

そんなわけで、「腟内射精障害の方になんとか腟内射精ができるようになってもらえないか?」と発想するわけですが、これがなかなか難しい。
で、そもそも原因がオナニー法にあるケースの場合、
「じゃあ、オナニー法を普通の(?)スラスト運動での用手法に戻せばいいんでないの?」
と、当然誰もが発想するわけですが、これがそう簡単には行きません。
やっぱり、思春期以降の長~~~い「癖」ですから、そう簡単には戻らない。
「35歳/40歳にして、左利きを右利きに矯正せよ!」
と言われているのに近いわけです。
まして、御自身は
「妊娠すること以外は今まで通りの生活で概ねOK」
「AIHなりで挙児希望は解決可能」
となると、セルフエフィカシーを保ち続けることは非常に困難でdrop outしやすいことは容易に想像できますよね。
そりゃそうだ。
なので、
「手で弱い刺激でやりましょう。」
「数年単位で、気長に頑張りましょう。」
等と言っても、dropしない方がおかしい。
「いかにセルフエフィカシーをキープし続けてもらうか?」
という点を治療経過体系に盛り込まないといけないわけです。

そんな中、(おそらく現段階では)非常によく考えられたと感心させられる報告がありますので、取り上げてみたいと思います。
2012年の日本泌尿器科学会雑誌のこちら(あまりいいリンク先がなくてすいません)。で、独協越谷の小堀先生の論文です。
(えっと、僕もよく理由を把握していないのですが、産婦人科医は「膣」を「腟」と書かないと怒られてしまうので、個人的にも「腟」と書かないと違和感があり、「腟」という字を使わせてもらいます。この論文の原文は「膣」という漢字が用いられています。あしからず。)
論旨は以下。
  • 腟内射精障害症例16人中、マスターベーション法が原因と考えられた例は10人(62.5%)。
  • 全例にTENGAによるマスターベーション法の矯正を指導
  • TENGAでの射精が可能になったのは16例中12例(75%)。
  • 腟内射精障害の原因がマスターベーション法によるものと思われた10例中では、7例(70%)がTENGAで射精が可能になった。
  • 全例中5例(31.3%)が腟内射精可能になった。
  • 腟内射精が可能になるまでに要した時間は2~9か月であった。
  • このうち1例が自然妊娠成立した。
とのことです。
感じ方はいろいろでしょう。
え?たった31%?と思われるかもしれません。
でも、事情を知っている側から言わせると、これはマジで驚異の数字です
凄い。
賢い。

多分、他のどの方法もこの数字は出ないと思います。
まずもってTENGAをマスターベーション法のリハビリテーションに取り入れようと考えた発想が賢い
で、TENGAを開発した社長さんはじめ社員の皆さんも偉い
見事にnegativeなイメージを払拭することに成功している。
確かにこれならセルフエフィカシーを維持してもらえる可能性が高まる。
つまり、リハビリからdropしない可能性が高まる。

腟内射精とまでは行かないまでも、TENGAで射精ができるようになったケースでは、Push法、「足ピン」でも可能になっている、と報告されています。

確かに著者の先生も、以下のごとく考察なさっておいでです。
「治療が奏功する患者は一部であり、カウンセリングや挙児希望カップルには生殖補助医療などを組み合わせつつ治療を進めていく必要があると考えられた。」
その通りだと思います。

腟内射精障害の患者さん(カップル)の、医療機関へのfirst visitが「不妊屋」になっているケースは多々あります。というか、多分一番多いと思います。
しかも、まだ御本人さん達が「腟内射精障害」という状態すら知らないで困っているケースも非常に多いです。
そうした状況に対して
「性交渉が持てないんですか?じゃあAIHやりましょう。」
だけではもったいないじゃないですか。

小堀先生の御報告の
「16例中1例でしたが、自然妊娠が成立しました。」
ここがやっぱり性機能屋の究極の目標であり、不妊屋も見習わなければならないエンドポイントだと思うのです。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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