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プロラクチン道、始めます!(6)

で、ようやくこの論文の結論にたどり着きます。

【無症候性高プロラクチン血症患者の排卵誘発時にプロラクチンは下げるべきか?】
  • 以上のことより、無症候性高プロラクチン血症の患者の多くは、マクロプロラクチン量が一定割合を占めていると考えることができるのかも知れない。
  • ただし、マクロプロラクチン血症を全く無害なものとして扱っていいかどうかという問題が残る。
  • 例えば、(プロラクチンでのマクロプロラクチンのように)インスリンで、インスリンに対する自己抗体が作られる例があるが、この場合、一過性の低血糖を起こすことが知られている。
  • Malarkeyらは、3人のマクロプロラクチン血症の患者を長期フォローした結果、マクロプロラクチン血症は完全に無害とは言い切れず、時として、不妊の原因となる可能性があるとしている(ただし、この3人には甲状腺疾患を合併していたが)。
  • 逆に、マクロプロラクチンには、下垂体のプロラクチン分泌に対するネガティブフィードバック機構や、ゴナドトロピン分泌には影響しないという強いエビデンスもある。
  • 現在もっとも問題なのは、マクロプロラクチン存在下で、単量体のプロラクチン濃度のみを計測できる測定系が存在しないことだ。
  • また、今日の臨床上、多くの医者がマクロプロラクチンの問題を考慮せず、高プロラクチン血症を症状があろうがなかろうが、同様に治療してしまう傾向にあるということができる。
  • マクロプロラクチン血症患者を(そうでない高プロラクチン血症患者と同様に)治療してしまうと、プロラクチン活性が抑制されすぎてしまう。
  • この薬剤性プロラクチン分泌不全による黄体機能不全も報告されている。
  • 結論として、無症候性高プロラクチン血症の場合は、マクロプロラクチン血症の除外をすべきである。
  • 以上をまとめると、無症候性高プロラクチン血症患者に対して排卵誘発をする場合、プロラクチンを下げる治療を併用したほうがいいのかどうかの結論ははっきりしていない。
  • ただし、マクロプロラクチン血症は除外すべきである。

とのことです。ややこしいですね。サマライズします。つまり、
月経周期が順調だけども採血するとプロラクチンが高い場合
  • まず、マクロプロラクチン血症なのかどうかの検査をしなさい。
  • その結果、マクロプロラクチン血症だったなら、プロラクチンは下げてはいけません。
  • マクロプロラクチン血症でなかったら、下げたほうがいいのかそのままでいいのかのエビデンスはありません。
というわけですね。
そういうわけで、高プロラクチン血症がマクロプロラクチンによるものなら下げてはいけないと書いてあります。で、プロラクチンが高いからと言ってマクロプロラクチンを調べずにプロラクチンをいきなり下げてしまう医者が問題だ、と書いてあるわけです。

お断りしておきますが、僕が言っているわけではないですよ。僕を非難しないでくださいね。(笑)
誤解なきよう原文載せておきます。
  • Looking at the daily practice, it can be argued that most clinicians fail to consider the problem of macroprolactin and tend to treat hyperprolactinaemia in both symptomatic and asymptomatic patients.
  • The result of medical treatment of patients with macroprolactinaemia could be an oversuppressed bioactive monomeric PRL.
  • Luteal insufficiency, resulting from pharmacologically induced PRL oversuppression, has been reported.

よって、この論文によれば、
無症状の高プロラクチン血症は、マクロプロラクチン血症なら下げない、マクロプロラクチン血症でなければ下げたほうがいいのかどうかわかっていない。
が結論、ということになりそうです。そして何より、
有症状高プロラクチン血症(つまり乳汁漏出性無月経/月経不順がある場合)と、無症候性高プロラクチン血症を同等に扱ってはいけない
というわけです。

「妊活外来へようこそ」の中で、「僕は、無症状の高プロラクチン血症は触らないようにしています」と説明したと思います。えっと、どこだっけな?あ、あったあった。
  • Q20:高プロラクチン血症はどう扱うべきか?
    • そんなわけで、この内容は、この論文を読んでこの結論に達したものです。「我流」かもしれませんが、満更根拠がないわけではないんです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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