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子宮内容除去術と「薄い内膜」(6)

ありました。第57回日本生殖医学会(2012年11月8~9日:長崎)の演題でP-320です。慶応大の井上先生のご発表です。

ちょっとバックグラウンドをお話しておく必要があります。
ごく初期で、一定の条件を満たす子宮体癌と、その前癌病変と考えられている複雑型子宮内膜異型増殖症では、原則の治療は子宮全摘なのですが、厳格な条件下で「妊孕性温存療法」が行われることがあります。
この治療過程、詳細は省きますが、「高用量MPA療法(黄体ホルモン製剤)」というのを行います。
高用量の黄体ホルモン製剤を何週間も飲み続けて、その間何回も「子宮内膜全面掻爬」と言って、掻爬を繰り返すんですね。
で、その結果、癌なり増殖症が消えたら妊娠を許可する、というものです。

この過程で何回も何回も掻爬を繰り返す必要があるので、癌なり増殖症が消えた後に内膜が非常に薄くなり易いです。
(ただしこの場合、内膜の菲薄化を起こすのは掻爬だけなのか?MPAも内膜萎縮の原因になるのではないか?という議論もあるらしい点も付け加えておきます。)

で、発表の内容ですが、
  • 体癌/異型増殖症で、妊孕性温存目的に(=つまり、子宮を残すために)、高用量MPA療法を行った122人
  • その後、妊娠したのが40人、妊娠しなかったのが82人
  • 妊娠した群 v.s. 妊娠しなかった群で比較検討
  • 子宮内膜全面掻爬の試行回数は、妊娠群:3.8±2.0回、非妊娠群:5.3±3.8回
  • 排卵期の子宮内膜の厚さは、妊娠群:8.0±2.3mm、非妊娠群:6.5±2.7mm
とのことでした。
ちなみに、その次の演題、P-321で、松江市立の田頭先生の演題で、同じ子宮体癌のMPA療法後にhMG-hCGで治療した症例報告が載っております。この方は、MPA療法中の掻爬は全5回で、hCG投与時の子宮内膜厚は3.9mmと記載されております。

何度か書いたと思うのですが、子宮内膜厚が本当に必要なパラメーターなのかどうかは未だに議論があることを再度付け加えておきたいと思います。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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