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果たして卵管切除術は卵巣予備能を低下させるのか?(1)

さて、婦人科手術が妊孕能に影響を及ぼすのか?の新シリーズとして、「卵管を切除すると、卵巣機能は低下するのか?」について少し検討してみようかと思います。
(春の学会シーズンに出した演題がらみで、ちょっとその情報が必要なので、僕個人の実益も兼ねてなんですけどね。)

卵管を切除するときには、卵巣-卵管の間を切断していく必要があるわけですが、当然、そこには「血管」があるわけで、この血管も切断してしまうわけです。
「卵巣に行く血流が少なからず途絶するわけだから、卵巣機能が落ちるんでない?」
という発想は当然出てくるわけです。
手術書読むと、「卵巣機能を落とさないように、なるべく卵管に近い所(=卵巣に遠い所)を切りなさい」と書いてあるのも目にします。

では、この「卵管切除術」は本当に卵巣予備能を低下させるのでしょうか?
答えを先に言ってしまうと、両論あります。
「落とす」という報告も「落とさない」という報告も両方あります。
なので、今日現在結論が付いていないようです。

今日は、「その1」として、「落とすかも」という論文をご紹介してみたいと思います。です。
  • 卵管留水腫を有するART前患者17人に対し、11人に「卵管近位側切断術」(管理人注:卵管の子宮に近い所を切断しただけ、ということ。つまり、卵管は残っている)、6人に「卵管切除術」を行った。
  • 「卵管近位側切断術」 v.s. 「卵管切除術」で、術前後のFSHを計測して、卵巣予備能評価をした。
  • FSHはday2-4で採血した。
  • 「卵管近位側切断術」 では、術前FSH 8.0±2.9→術後FSH 8.6±4.0
  • 「卵管切除術」では、術前FSH 6.8±1.1→術後FSH 14.1±9.3であった。
  • 特に、卵巣予備能+安全性という面で、卵管留水腫では、卵管切除より卵管近位側切断の方が推奨される(原文は「should be recommended」と表現してあります)。

とのことです。
こんな感じで当面「卵巣予備能を落とすv.s.落とさない」の両論の論文を時々見ていきましょう。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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