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肥満と男性不妊(4)

続きです。
今日は4.2の「Hormonal mechanisms and adipokines」の所を読みますが、長いので、先に要点だけまとめちゃいます。
筆者の先生が指摘しているのは、大きくは2つ。
  • 脂肪細胞に存在する「アロマターゼ」が悪い。テストステロンをばんばん壊してエストラジオールにしちゃうので、低テストステロンになるわ、(エストラジオールによってネガティブフィードバックがかかるので)下垂体からのFSH/LH分泌が低下するわ。ホルモン環境が変化するんだよ。
  • 脂肪細胞そのものが分泌する物質(アディポカイン)が関与しているっぽい。レプチンなんかは造精段階に直接作用してるっぽいし、他の物質は、精巣内で活性酸素種(ROS)を増やし、精子を壊しているっぽい。
という内容です。
では、以下いつも通り、論文要旨の箇条書きです。

4.2 Hormonal mechanisms and adipokines
  • 内臓脂肪は他の部位の脂肪(管理人注:皮下脂肪など)よりも、より内分泌環境の変化、炎症性変化を引き起こしやすい。
  • 特に肥満男性に多く存在する白色脂肪細胞はアロマターゼ活性が高く、脂肪が分泌する生理活性物質(ホルモンないしアディポカイン)が多い。
  • 肥満男性では、エストロゲン↑、テストステロン↓、FSH↓となる。この、男性ホルモン低下と低ゴナドトロピン血症が肥満ないしメタボリック症候群の男性にEDないし造精機能障害を呈する原因となっている。
  • このエストロゲン過剰は、白色脂肪細胞に高レベルで認められるアロマターゼの過剰活性が原因と考えられる。
  • アロマターゼの活性が高すぎるので、アンドロゲンがエストロゲンに変化してしまうのだ。
  • 結果、低ゴナドトロピン血性精巣機能低下症の状況を呈する。
  • でも、このホルモン状態を補正しただけでは、精子の状況は完全には戻らないことも知られている。即ち、ホルモン以外の要素もあるようだ。
  • それは、生活習慣とアディポカインなのだろうと考えられている。
  • 脂肪が分泌するホルモンなりアディポカインは、摂食行動とエネルギーバランスのコントロール、インスリン感受性、糖質/脂質代謝、血管新生、凝固能、血圧などのホメオスターシスに関与していることが判明しているが、どうやらその中に「生殖能」も加わっているようだ。
  • 例えば、「レプチン」は、視床下部に影響を及ぼし、結果アンドロゲン低下の原因の一因となっているであろう。
  • またレプチン受容体は精巣内だけでなく、精子の膜にも存在することが知られていて、直接作用もあるようだ。
  • また、精巣内サイトカイン濃度上昇が造精機能低下や精巣腫瘍の発生への関与が示唆されている。
  • 白色脂肪細胞からの過剰なアディポカイン分泌は精巣内炎症を惹起し、活性酸素種(ROS)・活性窒素種(RNS)を増やし、造精過程を阻害する。
  • Wintersらは、肥満男性では、インヒビンB濃度が低下していることを指摘している。
  • インヒビンB濃度は、セルトリ細胞数に比例することが知られているので、肥満男性ではセルトリ細胞数が減少している可能性がある。
  • セルトリ細胞は造精過程に関与しているので、セルトリ細胞数の減少も肥満男性の精子数減少の要因なのかもしれない。


アディポカインは動脈硬化の原因となったり、インスリン抵抗性の原因となったり、メタボリック症候群絡みで注目を集めておりますが、これが精巣でも悪さをしているのだろう、というわけです。
アディポカイン!恐るべし!
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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