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肥満と男性不妊(6)

さて、この論文の最終章です。
治療法についてですが、こちらにこの論文の図2がありますので、ご参照ください。

5. Are there solutions?
5.1 lifestyle changes
  • 正常なエネルギーバランスを達成するための食事療法/運動療法を行い、減量可能なように生活習慣を改める。
  • それにより、性ホルモン/インスリン/レプチンの正常化が見込め、精液所見が改善することが知られている。
  • また、減量により脂肪組織が減少すると、他の不妊に関与するアディポカインも正常化する。
5.2 Pharmacological interventions(管理人注:日本では認可されていない薬物療法が記載されています)
  • ゼニカル(管理人注:オルリスタットと言って、リパーゼ阻害剤です。)、メリディア(管理人注:シブトラミン、食欲抑制剤です。日本では治験中らしいです。)が比較的長期間の使用による有効性が示されており、FDA認可となっている。
  • 特に内分泌環境が変化してしまっているケースでは、アロマターゼ阻害剤が選択肢となりうる。
  • 新しい薬物療法の方向性として、テストステロン補充療法により、脂肪細胞分泌ホルモン(特にレプチン)をコントロールしようという発想がある。
  • テストステロン補充療法によりレプチン濃度が低下することが知られているが、精液所見に与える影響は未知数である。
5.3 surgical options
  • ARTは治療の選択肢となりうる。
  • 陰嚢脂肪除去術の報告があり、妊娠率は約20%であったとの報告がある。
  • Bariatric Surgery(管理人注:正確な日本語訳がわかりません。いわゆる「胃を縮めたり」「バイパスを作ったり」、消化管を手術でいじくって痩せる手術のことです。流石に管理人は見たことがありません!母校(大学)の外科の教授に「効果てき面」という話を聞いたことがあるレベルです)が重度の肥満に用いられることがある。


以上、「肥満と男性不妊」についての論文を見てきました。
お気づきになられたかと思うのですが、「肥満」と聞くと「糖尿病/動脈硬化/痛風/高脂血症/肝機能障害/・・・・」などなどの内分泌/代謝性疾患をイメージなさると思うのですが、実は「男性不妊(性機能障害(ED)/精液所見異常)」もこういった関連疾患の一つなのです。
つまり、「メタボの合併症」の一つとして「男性不妊」が存在している、という構図なのですね。
不妊治療の現場では、精液検査結果のみで「IVF/ICSI」で解決しようとするシーンを多々見ます。
確かに「生殖」という面では時間が限られているのでそれもありなのでしょうが、お気づきの通り、完全に「対症療法」です。
全く「根治療法」にはなっていません
つまり、
「肥満男性の精液所見が悪いです」「ICSIしましょう」=「お腹が痛いです」「痛み止め出しておきます」(「原因は?」「痛みがとれればいいじゃないですか!」)
と全く同じ構図にしかなっていないわけです。

不妊治療の現場には、他科にくらべお若い方がいらっしゃいます。
つまり、その方にとって「メタボの合併症」の初発症状が「不妊」である方もいらっしゃるわけです。
もしここでその方の意識が変えられたら、その方の「生命予後」を変えられます
ARTたけやって「はい。さようなら」では、多分、そのままズルズル行ってメタボ一直線。
大きな違いだと思いませんか?

不妊治療の現場は、実はメタボ患者さんのfirst visitの医療機関になっている可能性もあるわけです。
つまり、リプロダクティブ・ヘルスの管理方法次第で、目の前の方の「生命予後」を変化しうるわけです。
しかも、50歳、60歳の方が生活習慣を改めるのに比べたら、お若い分、ハードルは低く、効果的な可能性があります。
まして「父親/母親になろう!」という方々なわけですから、生まれ来る生命の命を背負う分、末永く健康でいていただきたいわけです。

「健全なる精子は、健全なる肉体に宿る」
もちろんそれだけではありませんが、意識高く「生活習慣の再確認」を行っていただきたいわけです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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