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男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(3)

そんなわけで今日ご紹介するのはシュレーゲル先生の「男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤」の論文です。
(ちなみに今書いているブログのタイトル「男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(○)」というのは、この論文名「Aromatase inhibitors for male inferytility」からとっています)

不妊やっている人の中でその名を知らぬものはない有名人シュレーゲル先生はニューヨーク・コーネル大学の教授先生です。
あの「MD-TESE」産みの親です。
NOA(非閉塞性無精子症)に対し、それまで行われていたTESE(現在で言うsimple TESEやmultiple TESE)を顕微鏡を用いることにより精子回収率を飛躍的に上昇させることに成功した立役者です。
男性不妊の神様みたいな存在です。

ちなみに今日ご紹介する論文もやっぱり惚れ惚れしちゃう内容で、「やっぱり賢い人は違うなぁ」と感心させられてしまうような、僕の大好きな論文の一つでもあります。
リンクは
です。
で、この論文の論旨は、最後の最後の「Summary」の所に、次のように書かれています。
(僕が勝手に惚れ込んでいるせいか、「英語」もカッコいいので、原文もご紹介してみたいと思います。)
  • Men with impaired sperm concentration appear to commonly have excess aromatase activity, reflected by relatively increased serum T/E ratio.
    (精子濃度異常を有する男性には、T/E比上昇で示されるような「アロマターゼ活性の上昇」というのが一般的に見られるようだ。)
  • Our observations suggest that the source of excess aromatase activity is the testis, likely from excess Leydig cell conversion of testosterone to estrogens.
    (そのアロマターゼ活性上昇の原因臓器は、精巣の「ライディッヒ細胞」ではないかと思う。)
  • In addition, the observation of impaired sperm production in men with excess aromatase activity (associated with increased multi-repeat sequences involving the nucleotides TTTA in the aromatase gene [TTTAn] repeats) suggests that excess aromatase may cause male infertility and be specifically treatable.
    ((アロマターゼ遺伝子のTTTA繰り返し配列の数などによる)「アロマターゼ活性の上昇」している男性に認められる造精機能障害は、「アロマターゼ活性の上昇」により男性不妊が引き起こされる可能性があり、かつ、それが治療可能であるということを示唆している。)

ヤバい(←今流)。格好良すぎ!

ちょっと意訳しすぎかもしれませんが、要するに、今「特発性(原因不明)造精機能障害」と判断されちゃっている状態の中に、結構な頻度で(appear to commonly「アロマターゼ活性過剰症候群」とも表現すべき状態が含まれているのではないか?というわけです。
で、「何でアロマターゼ活性が人に比べて上昇しちゃうの?」という問いに、本ブログのでも紹介しました、アロマターゼ遺伝子のイントロン4の多型性、[TTTA]リピート数を例に挙げています。
つまり、生まれながらに、体質的に「アロマターゼ活性」の程度には個人差があるのだろう、で、その程度問題だ、というわけです。
で、生まれ持って「アロマターゼ活性の高い人」は「テストステロン→エストラジオールへの変換」が進み、「T/E比が低下する」ことによって造精機能障害を呈するのではないか?というわけです。
で、その「アロマターゼ活性」の原因臓器は、これまたズバリ、「精巣」。
「ライディッヒ細胞じゃねーの?」というわけです。
で、何より、もしこの状態なら、「treatable(治せる)」というわけです。
いや、「treatable」なんて単語、そう簡単に使えないっすよ。

「精液」だけ見て「ICSIです」。
ま、それはそれでいいのかもしれませんが、その「精液」のバックグラウンドには内分泌学的にこ~~んなに「面白い」世界が広がっているのに、ここを探求しないなんて。勿体ない!
しかも「treatable」ですよ!「treatable」

次回、この論文の論旨をいつものごとく箇条書きにしてみたいと思います。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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