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男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(4)

昨日の続きで、論文の本体部分行ってみたいと思います。
  • 造精には、高レベルの精巣内テストステロン+FSHによるセルトリ細胞刺激が必要である
  • 特発性造精機能障害には、確実な治療法は確立していないが、いくつか経験的な薬物療法が試みられている。
  • 抗エストロゲン剤であるクロミフェン療法やタモキシフェン療法は、精巣内テストステロンとFSHを上昇させる目的で使用されるが、残念ながらこれらは、テストステロンと同時にエストロゲンも上昇させてしまう
  • アロマターゼは精巣内ではライディッヒ細胞とセルトリ細胞に発現している。
  • アロマターゼ阻害剤は抗エストロゲン剤に見られるようなエストロゲンの上昇がなく、テストステロンが上昇する。
  • 造精機能障害を認める男性にテストステロンに比べエストロゲンが上昇している例があることが報告されている。
  • Pavlovichらの報告から判断するに、T/E比が10を下回ると低いと考えられる。
  • こうした状況から、テストステロン低下+T/E比の変化を認める造精機能障害患者に対し、アロマターゼ阻害剤による治療が注目を浴びている。
  • エストロゲンも造精に不可欠ではあるが、高エストロゲン+低アンドロゲンの状況は造精機能障害を引き起こすことが明らかとなっている。
  • 男性では、下垂体抑制はテストステロン単独というよりはむしろエストロゲンによりコントロールされているので、アロマターゼ阻害剤でのエストロゲン産生抑制により、LH分泌は亢進することになり、結果、テストステロン濃度も上昇する。
  • このように、テストステロン低下+T/E比の変化を認める造精機能障害患者なら、抗エストロゲン剤を使用するより、アロマターゼ阻害剤で治療する方が理に適っているのだ。

これに続いて、男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤(1)+(2)でご紹介させていただいたような研究結果が紹介されています。

こんな感じのreview論文になっています。

ここにも書かれていましたが、男性不妊に「クロミフェン」が使用されることがあります。
僕もそれでいい思いをさせていただいたことも多々あるのも事実なのですが、確かに「エストラジオール」に注意しなければなりません
LH/FSH/Tは持ちよく上昇するのですが、E2も上がるので、気が付くとT/E2比がとんでもない数値になっていたりします

一方、最初にお話しました通り、「男性不妊に対するアロマターゼ阻害剤」は、バリバリのオフ・ラベル(適応外使用)になってしまいます。(「クロミフェン」も、バリバリのオフ・ラベルですが。)
現在の適応疾患は乳癌であり、不妊の世界では排卵誘発に用いられるのですが、これもバリバリのオフ・ラベル(適応外使用)であることは紹介させていただきました。理由は、えっと、で説明済です。
では、男性に、長期間「アロマターゼ阻害剤」を飲んでもらうことはどうなのか?(安全性という意味で)という点について、先日行われた「日本性機能学会東部総会」で会場が「笑い」に包まれた、これまた凄い、あれな発表があったので、次回そちらをご紹介してみたいと思います。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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