Entries

子宮内膜症勉強会(7)~チョコレート嚢胞(2)

内膜症性卵巣嚢腫の続き。
本日は、「産婦人科内視鏡手術ガイドライン2013年版」を見てみたいと思います。

「不妊症に対する腹腔鏡下手術の効果は?」
と題したクエスチョンが設定されております。答えは以下。

一般には妊孕性の改善が期待されるが、体外受精の成績および卵巣予備能を低下させる可能性がある

です。
解説。
  • 「嚢胞摘出術(核出術) v.s. 内容吸引・焼灼術」では、嚢胞摘出術(核出術)の方が妊娠率が高い
  • 「嚢胞摘出術(核出術) v.s. 未治療 v.s. そもそも内膜症ではない群」での体外受精では、妊娠率は有意差無しだが、採卵キャンセル率、FSH使用量が嚢胞摘出術(核出術)では有意に高く、採卵数が少ない。
  • よって、嚢胞摘出術(核出術)は、体外受精周期ではnegativeに働く可能性がある。
  • 特に両側チョコレート嚢腫の場合には、
    • 核出術後の採卵率が有意に低下したとの報告あり。
    • POFになる率が2.4%との報告がある。
    ことより、術後妊孕能には十分配慮すべきである。
  • チョコレート嚢腫核出後の出血を止血する際、「卵巣縫合を行った群 v.s. 焼灼を行った群」では、「縫合を行った群」の方が卵巣予備能が保存されていたとする報告があり、焼灼止血は卵巣に対する影響があると思われる。また、術後癒着も「縫合群 v.s. 焼灼群」で焼灼群の方が有意に高かったとする報告がある。
  • 以上より、正常卵巣被膜に対する縫合は、焼灼と比較して卵巣機能の温存や術後癒着の軽減の点で優れている。(←管理人注:ガイドライン本文でこのように「断定」で書かれています)
  • チョコレート嚢胞摘出の際に、同時に正常卵巣組織が剥奪される可能性が報告されている。また、AMH値は有意に低下することが報告されている。
  • このため、比較的小さい卵巣チョコレート嚢胞を有する無症状の症例に対する腹腔鏡下手術の選択は慎重に行うべきである。


術後、どのように妊娠を目指すつもりなのか(体外するのかしないのか)?、片側性なのか両側性なのか?大きさはどの程度なのか?を各々吟味し、「術後妊娠率 v.s. 卵巣予備能低下見込み」を十分個別考慮しなさいよ、という感じの書き方ですね。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dokumotti.blog.fc2.com/tb.php/227-60fc4ee0

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター