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子宮内膜症勉強会(8)~チョコレート嚢胞(3)

以上のバックグラウンドから、ESHREのガイドラインを確認してみましょう。
一応、ガイドラインのリンク先を再掲しておくと、です。
リンク先の一番下の「READ THE GUIDELINE HERE」というところからPDFが得られます。
今日の内容は、61ページの上二つです。

えっと、まず、真ん中の方から。

The GDG recommends that clinicians counsel women with endometrioma regarding the risks of reduced ovarian function after surgery and the possible loss of the ovary. The decision to proceed with surgery should be considered carefully if the woman has had previous ovarian surgery.
(医師は、内膜症性嚢胞を有する女性に、術後卵巣機能の低下と卵巣が無くなる可能性のリスクがあることを説明することを、GDG(guideline Development Group)は推奨する。もし、その女性が過去に卵巣の手術を行っているのなら、手術を行うかどうかの判断はより慎重に行うべきである。)


で、一番上。

In infertile women with ovarian endometrioma undergoing surgery, clinicians should perform excision of the endometrioma capsule, instead of drainage and electrocoagulation of the endometrioma wall, to increase spontaneous pregnancy rates.
(内膜症性嚢胞合併不妊の女性が手術を受ける際には、医師は「内容吸引+嚢胞壁の焼灼」ではなく、「核出術」を行うべきである。なぜなら、そのほうが自然妊娠率が高いからだ。)


で、この内容はコクランに基づいています。えっと、こちら。
かなり強い口調で「核出術せよ」と書いてあります。

There is good evidence that excisional surgery for endometriomata provides for a more favourable outcome than drainage and ablation with regard to the recurrence of the endometrioma, recurrence of pain symptoms, and in women who were previously subfertile, subsequent spontaneous pregnancy.

ただし、これは、あくまでも、術後の自然妊娠率を上昇させるのは間違いないのですが、卵巣予備能が落ちるのは注意してくださいね!との警告の意味から、こんな文言も見られます。

There is insufficient evidence to favour excisional surgery over ablative surgery with respect to the chance of pregnancy after controlled ovarian stimulation and intra-uterine insemination.
(「排卵誘発-AIH」での妊娠率では「核出術」v.s.「焼灼術」でのエビデンスは無い。)

However in women who may subsequently may undergo fertility treatment insufficient evidence exists to determine the favoured surgical approach.
(自然妊娠ではなく、不妊治療を受けるなら、どんな手術をすべきなのかに対するエビデンスはない。)

というわけです。
つまり、コクランも、言いたいことは、「核出術後の卵巣予備能」なわけで、自然妊娠、つまり、一個排卵で妊娠を目指すんだったら
「卵巣予備能の犠牲<自然妊娠率」だけど、排卵誘発をするとなると、核出術での卵巣予備能の犠牲分が無視できなくなる、というわけです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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