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モルセレーター使用にFDAが注意喚起を出したよ!

子宮筋腫核出術を腹腔鏡下で行うとき、普通は、取り出す筋腫の方が、腹腔鏡手術の「傷」よりはるかに大きいわけです。
では、どうやって核出された筋腫を「体外に」取り出すのか?というと、これがなかなか良く考えられていて、「モルセレーション(morcellation)」という手段を用います。
you tubeに動画がありますので、ご紹介してみたいと思います。
例えばこちら。(手術画像です。苦手な方は注意してください)で、画面左上からニョキっと出てきている銀の筒が、今回問題になっている「モルセレーター」と呼ばれる器具です。
これに「吸い取られていっている」白い塊が「筋腫」。
で、0:55位の所を見てもらうとわかると思うのですが、「モルセレーター」の中に「刃」が付いていて、グルグル回っているのが見えますね。
あれで筋腫を「筒の中を通るように」切って、筋腫を体外に取り出したのが1:05のあたり、ブラブラぶら下げているものです。
こんな風に、筋腫の塊を「筒の中を通るように切って」取り出してくるんですね。
「モルセレーション(morcellation)」は「細切」という意味です。
(ちなみに、このyou tubeの先生たちは、結構上手いです。これだけ筋腫を一回で「長く」切り出してくるには、相当なコツが要ります。今回の話題とは直接関係が無いのですが、1:03のあたりでモルセレーターの「刃」が出たままでカメラを引き抜いているように見えます。これはちょっと気になりますが。)

で、2:30の所。モルセレーションで出来た筋腫の「カス」を拾っていますよね。
その後も2:43位の所とか、3:00~3:07の所とか、3:16~3:30とか。
こんな感じで、モルセレーションすると、筋腫の「カス」が飛び散ります。

これがバックグラウンドです。

で、今回、4月17日付で、FDAが、腹腔鏡手術時に、この「モルセレーター」の使用を「推奨しない」と発表して、この分野では騒ぎになっております
えっと、リンクはこちら。の、ちょっと下に行ったところの「Summary of Problem and Scope:」の終わりの方に、太字になっている部分があります。

If laparoscopic power morcellation is performed in women with unsuspected uterine sarcoma, there is a risk that the procedure will spread the cancerous tissue within the abdomen and pelvis, significantly worsening the patient’s likelihood of long-term survival. For this reason, and because there is no reliable method for predicting whether a woman with fibroids may have a uterine sarcoma, the FDA discourages the use of laparoscopic power morcellation during hysterectomy or myomectomy for uterine fibroids.

ですね。
何と書いてあるかというと、

「筋腫」と思い込んで取ってみたら、実は、結果的に「悪性だった」なんてことがある。この場合、モルセレーションをすると、悪性組織をお腹の中にまき散らすことになる。すると、生命予後が悪くなる。
術前に「この筋腫は100%良性!」と断言できる診断方法が無い以上、FDAとしては、「推定」筋腫を、モルセレーションで取り出すことを推奨しない。

といった感じですかね。
FDAのHPは「禁止」とは書かれていなくて、「やってもいいけど知らないよ」といった感じの書きっぷりですが・・・・・。
まあ、事実上は、これに逆らってやるか?と言われると、流石に、ねぇ。

患者さん側にも、「これ確認しなよ!」として、こんな風に書いてありますよ。

If laparoscopic hysterectomy or myomectomy is recommended, ask your health care provider if power morcellation will be performed during your procedure, and to explain why he or she believes it is the best treatment option for you.
(もし、自分の手術が腹腔鏡下で行われるなら、その際、「モルスレーション」が行われるのかどうかちゃんと確認しなさいね。)

とのことです。

で、何より、「モルセレーター」の販売元の会社が「販売活動停止」を宣言しました(でも、「製品回収」ではないそうです)。

まあ、確かに、「産婦人科医」として普通に臨床を行っていると、
「筋腫と思って取って、病理出したら違った」
ということは、まあ、決して多いわけでは無いですが、やっぱりあるのは事実だと思います。

「傷は小さい・侵襲も少ない・痛みも軽い・入院期間も短い」
利点は確かに大きいです。
「イケイケgo go」でドンドン進んできたのも事実ですが、
「安全性、もう一度点検しようね」
といった感じでしょうかね。

どう変化していくでしょうか?
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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