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胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (3)

【培養液その2:Renew medium or not?】
で、昨日お話しした、最初から最後まで同じ培養液で培養する「single medium」でも、「新しい培養液に変える」ということをするのですね。
シーケンシャルメディアでは、day3(8細胞)位で、「胚盤胞用培養液」に変えるわけですが、シングルメディウムも、「同じ培養液の新品」に変えるわけです。
必要な栄養素が消費される+分解成分が悪さをする(特にアンモニア)
ので、48時間程度で新しい培養液に変えるのが一般的だと思います。

ところが最近の考え方として、
「シングルメディウムで、培養液を新らしくせず、「ぶっ通し」で胚盤胞まで培養したほうがいい結果が出るんでない?」
という考え方が出てきているようです。

一見、培養液が「古く」なってしまいそうですが、そこに「工夫」が加えられているようです。
・アンモニアが出にくくなるような成分に変更(ちょっと難しい話ですいませんが、グルタミンをジペプチドにして配合するなど)
・抗酸化作用のある成分を添加
など。

すると、シーケンシャルメディアは、そのコンセプト上、「培養液の交換」が絶対必要なのですが、シングルメディウムは「培養液を交換しなくていい」ということになるわけです。

「培養液を交換しなくていい」ことの利点として、
  • 「胚」を取り巻く環境が変化しないで済む。成分の異なる新たな液体に漬け変えられなくて済むし、培養液を変えるという動作によるストレス(温度/pH/光などや、「ピペッティング」もストレスになる可能性があるそうです)を受けなくて済む。
  • 初期胚が自ら出した「いい成分」も培養液中には溶けている可能性があり、培養液を新しくしてしまうと、その恩恵を受けられなくなる。
  • 胚培養士の仕事が減る。これも重要で、「人手が加わる」ということは、各々の段階に「エラーが入り込む余地がある」ことを意味するわけです。それが減少するわけです。
  • あと、これも重要なのですが、「コスト」ですね。
などが挙げられています。

なので、最近目立つ報告として
培養液を変えねばならないシーケンシャルメディア」 v.s. 「培養液を変えずにぶっ通しで培養するシングルメディウム」
という報告が目に付く気がします。

英語で書くと
continuous uninterrupted single medium culture」
と表現するそうです。
"continuousで、interrupt(中断/割り込み)のない"ということを売りにしているわけです。

次回、そんなデーターをご紹介してみたいと思います。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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