Entries

胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (6)

【胚盤胞移植その1:胚盤胞移植で上昇するのは「着床率」】
ここまで、胚盤胞培養の培養液の話をしてまいりましたが、それをバックグラウンドとして、「胚盤胞移植が求めているものは何か?」を考えてみましょう。
答えを先に書いてしまうと、胚盤胞移植というのは、全員が全員、誰彼その恩恵を受けられるわけではないと思います。
その恩恵を受けられる人が数多くいるのは確かですが、逆に損をしている人が絶対にいると思います。
自分は胚盤胞移植をすることによって得をするのか?それとも損をしてしまうのか?
よくよくそのカラクリを理解して、少しでも得をしてください。

僕も「この人は胚盤胞培養をすると得するのだろうか?それとも損するのだろうか?」と判定に困る状況の方は多いです。

現在、あくまでも仮にですが、以下の条件があったとします。
  • 10個の正常受精卵があったとします。
  • 体外受精の培養液環境でも、女性の生殖管内でも、どちらも同等に胚は発育すると仮定します。
  • で、そのうち、図のごとく、2番、6番、10番が着床する受精卵で、その他の胚は、受精確認~着床のどこかしらで成長を止め、着床することはできません。
で、図のような状況だったとします。

名称未設定 1

この図の条件では、
初期胚移植の時点では、5番、9番の2個が発育をstopしていて、8個が移植可能胚です。
で、結果、2番、6番、10番の3個が着床する受精卵ですから、1個胚移植をすると、「胚移植当たりの着床率」は、3/8=37.5%ですね。

一方で、胚盤胞移植の時点では、さらに1番、3番、7番の3個が発育をstopしていることがわかりますので、5個が移植可能胚です。
で、結果は同じ2番、6番、10番の3個が着床する受精卵ですから、1個胚移植をすると、「胚移植当たりの着床率」は、3/5=60.0%ですね。

ということで、胚盤胞移植を選択することにより、初期胚~胚盤胞までの間で発育をstopしてしまう胚を移植しない、ということが可能になり、着床率が上昇しましたね。

ということで、移植時期を「初期胚→胚盤胞」にずらすことによって、効率よく着床可能な胚を選択できるようになるわけです。

「ん?何も悪いことは起きないじゃないか?」

はい。確かにこれならば誰も損はしません。
全員恩恵を受けられるはずです。
全員が全員、確実に無駄な胚移植を行わなくて良くなるようになり、効率よく着床率が上昇するわけです。

・・・そうなんですね。
現実には、この図の「仮定」が成り立たないんですね。
どの仮定が成り立たないと思います?

それを次回考えてみたいと思います。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://dokumotti.blog.fc2.com/tb.php/260-a5b5e792

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

カウンター