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胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (8)

【胚盤胞移植その3:胚盤胞移植の利点/欠点】
「初期胚ET v.s. 胚盤胞ET」に関しては、コクランにも記載があります。
リンクはこちら。で、コクランの結論はこちら。

This review provides evidence that there is a small significant difference in live birth rates in favour of blastocyst transfer (Day 5 to 6) compared to cleavage stage transfer (Day 2 to 3). However, cumulative clinical pregnancy rates from cleavage stage (derived from fresh and thaw cycles) resulted in higher clinical pregnancy rates than from blastocyst cycles.

(一回の)胚移植当たりで計算すると、初期胚移植より胚盤胞移植の方が出産率がわずかな有意差を持って上昇する。しかしながら、(新鮮周期ET+凍結周期ETの総和で得られた)累積妊娠率は、胚盤胞期に比べ初期胚期で臨床的妊娠率が高い

正にその周期一回勝負なら、1回のET当たりでの出産率は胚盤胞移植の方がいいわけです、が、余胚を凍結して、その凍結胚をまた次の周期にETして、ということをしたら、(ET1回当たりの妊娠率は低いけど=複数回のETが必要になるかも知れないけど)結果的に、妊娠している割合は、分割期で勝負をしたほうが妊娠率が高い、というわけです。

ご理解いただけますでしょうか?

で、このコクランで「累積妊娠率」(単回のETでの妊娠率ではなく、新鮮+凍結を合わせた結果の妊娠率)での「初期胚 v.s. 胚盤胞」が計算されています。
4つのRCT(とりあえず「研究データー」と読み替えておいてください)で、266人のカップルでの初期胚 v.s. 胚盤胞の累積妊娠率の結果は、オッズ比 1.58(95%CI 1.11~2.25)で、初期胚移植の方が有意に高いと計算されています。
(ちなみに昨日ご紹介した「ちょっと古い論文」は、この4つのRCTの中の1つです。)

この結果を受けて、コクランの文中にはこんな風に記載されています。

Overall this review found a significant decrease in the number of embryos frozen in the Day 5 to 6 group and an increase in cumulative pregnancy tares (fresh and frozen cycle transfers) in women with Day 2 to 3 transfers.
(この検討の結果、Day5~6まで培養すると、凍結出来る胚の数が有意に減ってしまい、結果的に、Day2~3で勝負した女性の方が(新鮮周期+凍結周期を加えた)累積妊娠率では高くなる。)

That is, the added benefit of a higher cryopreservation rate in the Day 2 to 3 group cancelled out the higher implantation rates of the fresh Day 5 to 6 transfers.
(これは即ち、Day2~3では凍結胚が残る確率が高くなり、それが結局、Day5~6ETでの着床率の高さを相殺する、ということを意味する。)

When considering an alteration in treatment procedure from Day 2 to 3 to Day 5 to 6, the benefits of possible higher implantation rates are weighed up against the disadvantages of ot only higher failure to transfer but also lower cryopreservation rates.
(初期胚ETを止め、胚盤胞ETを選択する、ということは、利点は(1回ET当たりの)着床率の上昇、欠点は、新鮮周期でのET可能胚が無くなってしまうこと+凍結胚が減ることである)

まとめると、
胚盤胞移植は、『正にその1回の胚移植』での着床率は上昇する。
初期胚移植は、1回当たりの着床率では劣る。でも、ダメだったら次に凍結を戻す・・・・・、ということをコツコツやり続けると、結果的には(累積妊娠率では)初期胚移植を地道に繰り返した方が妊娠率が高い。

というわけです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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