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胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (9)

【胚盤胞移植その4:小括】
ということで、ここまでを小括します。
  • ヒトの胚を培養液中で培養するという技術は、未だ発展途上であり、生体内の環境にはおそらく追い付いていない。
  • すなわち、培養液内で胚盤胞になれずに発育停止してしまった胚でも、生体内環境に戻したなら、発育できる可能性がある。
というわけです。

イメージにすると、こんな感じです。

最初に使ったモデルケースのうち、初期胚移植をすれば、母体内で胚盤胞まで到達できるのは2番4番6番8番10番の5個、そのうち妊娠成立するのは2番6番10番の3個です。

これを胚盤胞培養した場合、母体内よりも環境が過酷なので、2番と8番が胚盤胞になる前に発育停止してしまいました。
結果、体外培養環境下で胚盤胞になれたのは4番6番10番の3個、そのうち妊娠成立するのは6番10番の2個です。
  • 母体内より厳しい培養環境下に置き、その中ですら発育可能であった"生命力の強い胚"を選ぶ。
  • この(ある意味)"淘汰"を「かいくぐることができた胚」は、「かいくぐれなかった胚」に比べ、着床可能な能力を有している確率が高い。故に着床率が高い。
  • 但し、この"淘汰"を「かいくぐれなかった胚」は母体内でも着床できない胚であった割合が高いが、全てではない。少数派だろうが、母体内なら着床可能であった胚も含まれているであろう。
  • この「少数派だろうが、母体内なら着床可能であった胚」を拾い上げる必要が『あるのか/ないのか』が『初期胚移植がいいのか/胚盤胞移植がいいのか』の分かれ目。
ということで、「胚盤胞培養」の利点が大分見えてきたと思います。

培養環境下ですら胚盤胞まで到達できた胚は着床率が高い
=「胚移植当たり」の着床率を上昇させることが出来る。
=着床率が高いので、「単一胚移植」でも相応の妊娠率が期待できる。
=多胎妊娠の減少につながる

ただし、母体内環境であれば発育可能である胚であっても、その一部は培養環境下では発育停止になってしまう可能性がある。

よって、胚盤胞培養がゆえに発育を停止してしまう胚の分を差し引いても、なお、培養環境下のday5で赤ちゃんに成り得る胚が残る可能性が極めて高いと考えられる人は、胚盤胞培養を行えば、高率に着床する胚を選択することができ、かつ、「単一胚移植」でも相応の妊娠率が望めるため、多胎のリスクを軽減できる。


これが、胚盤胞培養で恩恵を受けられる人の条件です。

「獅子の子落とし」をしても、なお、這い上がってくる「子」がいる確率が高いと確信できるなら、その恩恵は大きい。
というわけです。

この後、海外の論文をさらにご紹介してまいりますが、この条件を整えている方のことを、よく、「good prognosis population」という単語を使って表現してあります。


僕の説明は下手くそなので、誤解を招いてはいけません。
また、僕の勝手な思い込みで間違った情報を流してしまってはいけません。

僕が個人的に勝手に尊敬申し上げている見尾先生のクリニックのHPに胚盤胞培養の利点欠点がすごくわかりやすくまとめられておりますので、勝手ながらリンクを張らせていただこうかと思います。
リンク先の下の方に胚盤胞移植の長所/短所がまとめられております。
凄く勉強になる内容です。
是非ご覧になってみてください。
(もしご迷惑でしたらリンク外しますのでご連絡下さい)
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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