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胚盤胞培養:Can we perform better than nature? (11)

そんなわけで、現在考えている「正常受精卵1個」といった状況ですが、
「体外培養を延長するほど害があるんだったら、同じ分割期胚移植でも早いほうがいいんでないの?」
という発想に結び付くのは当然と言えば当然です。
で、よく見かけるのが
「day3 ETよりday2 ETの方がいいのでは?」
という検討ですね。

論文的には「有意差あり」とする論文と「有意差なし」とする論文、両方が入り乱れている状況です。
例えば、では、こんな論調です。
  • 排卵誘発で、13mm以上の卵胞が5個以下の人を対象に、「day2 ET v.s. day 3ET」を行った。
  • 着床率はday2で23.9%、day3で17.2%で有意差あり。
  • 「採卵した人」辺りの妊娠率はday2で37.2%、day3で21.4%で有意差あり。
といった感じで、「day2ETをすべき」との結論に達していて、かなり強い口調でday2ETを推奨しています。

Therefore prolonged in vitro culture conditions may not be justifiable in all cases, paticularly in cycles in which few oocytes and/or embryos are available.
(特に採卵数が少なかったり、存在している胚の数が少ない場合には、体外培養期間を延長することは正当化できないのかもしれない。)

Our result have shown that when embryos obtained from poor responders were exposed to prolonged in vitro conditions, the outcome of the treatment was negatively influenced.
(「poor responder(卵巣予備能の低下している人のことです)」では、体外培養期間が延長されることは、妊娠率の低下を招く。)

In short, for every 100 day 3 transfers, at least 7 would be prevented from embryo transfer cancellation if day 2 embryo transfer was performed.
(簡単にいえば、day2ETをday3ETにするだけで、100人中7人がET可能胚が無くなる計算になる。)

などなど。

で、たまたま、全く同じ巻のfertility and sterilityにも、「有意差あり」とする論文が載っています。但しこちらは、対象患者さんの卵巣予備能は制限していないようです。平均採卵数も8-9個とのことなので、先ほどの報告よりは「獅子の子落とし」をしやすい状態です。
で、それでも、40歳未満では、day2ETの方がday3ETより有意差を持って継続妊娠率が高い、としています。

この論文でも、day2→day3へ培養期間を延ばすことによる胚毒性を指摘しています。

Many studies have suggiested that culturing an additional day may be detrimental.
(多くの研究が、培養期間の延長は、(胚に対し)害を及ぼす可能性を示唆している。)

といった感じ。
で、この論文も、「poor-prognosis patients」ではday2 ETをしたほうがいいのでは?としています。

Our data suggest that ET on day 2 rather than on day 3 is probably more successful for poor-prognosis patients with few embryos available for transfer.
(我々の検討からは、移植可能胚がほとんどないような「poor-prognosis patient」では、day3よりday2にETしたほうが良さそうだ。)

で、この2つの報告を受けて、「俺もやってみた」論文が2011年に載りました。です。
  • 少なくとも1個正常受精卵がある「poor responder」(平均採卵数4個程度)
  • day2ET v.s. day3ET
  • 臨床的妊娠率はday2群で15.4%、day3群で16.4%で有意差なし。
ということで、この先生たちの結論は、

Unlike the earlier trials, we did not find a benefit for day 2 transfer in poor responder patients.
(他の先行研究とは異なり、我々は、「poor responderでのday2ET」の有用性を認めなかった。

となっております。

ということで、卵巣予備能低下している方に対する、「day2 v.s. day3」は、

Extending the culture of embryos from day 2 to day 3 may not have significant an effect as extending it to day 5.
(「day2 v.s. day3」は「初期胚 v.s. 胚盤胞」ほどの違いは出ないようだ)

(fertil steril 86(1); 44-: 2006)

といった状況だそうです。

ということで、一番最初の問題に対する考察をしてまいりました。

39歳の方が人生で初めての体外受精を受けている最中です。
卵巣予備能が低下していて、どんな排卵誘発をしても、2~3個の卵胞が発育する程度のようです。
今回採卵をして、2個の卵子が採れ、そのうち1個が正常受精しました。
この方にいつ胚移植をしますか?


以上より、僕の個人的な考えは、この場合なら、day2かな?でも、「意地でも」のこだわりではなく、状況によってはday3でもいいのかな?といった感じなのかな?と今日現在思っています。
但し、いろんな考え方のある内容だと思います。
あくまでも僕個人の考えである点を、しつこいですが付け加えさせていただきます。

ではでは。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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