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男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(3)

現行の「ED診療ガイドライン2012年版」に、以下のように記載されています。

「治療の目的は、満足のいく性的関係を回復することであり、単に固い勃起を得ることではない

EDの分類は器質性(血管性、神経性、解剖性、内分泌性)と心因性とに分類し、両者混在している場合を混合性EDと言います。
もちろん、どのパターンでも不妊を訴える方がいらっしゃるのですが、不妊診療の場で比較的多いのは「心因性」だと思います。
心因性EDは、以下のように定義されています(ED診療ガイドライン)

「主たる原因が、精神的な要素あるいはパートナーとの関係にあるED」

例えば、「性交(女性の性)に関する知識(経験)が少ない」なんて場合がありますね。
女性(奥さん)の反応がわからない、読めない。
何をすればいいのかよくわからない、知らない。
とか。女性器の構造/女性性機能に関する知識が非常に乏しい(あるいは間違っている)など。
で、不安になっちゃうパターン。

あと、不妊治療の場で典型的なのは「タイミングED」ですね。
排卵日近辺の奥様の緊迫感は、(僕もその昔経験があるのですが)鬼気迫るものがありますからね。
確かに「今日を逃すと、一か月が水の泡」「次のチャンスまでまた一か月待たなければならない」わけですから。
オーラが違います。
殺気を感じます。
「勃たない、入らない、イけない」などの事態が発生すると、肩を落とす奥様の姿が・・・。
絶対挿れなくちゃ。絶対いかなくちゃ。

他にも、その昔、こんなことを言われたことがあります(しかも複数回)。
「先生、妹とセックスできますか?」
「もう、妻は、僕にとって『家族』なのです。」
など。
つまり、奥様と親密になり過ぎて、「性的対象」の範囲を超えてしまった、という感覚でしょうかね。

あとは、婦人科医としてよく感じるのは、奥様が何らかの婦人科疾患の治療、特に「手術」をした後に多いなぁ、と思います。
病気の治療をする/手術をする。
その姿を直接目の当たりにする。
「負担をかけたくない」とか「大事にしなきゃ」とか、多分そんな感じ。

などなど。
こういった心理的バックグラウンドから、「セックス自体をenjoyできない」心理状態になるのだと思います。

多くの場合、奥様にネガティブな印象を持っているわけではないのですね。(例外もあります)
なので、(性交渉以外の)夫婦仲は非常に良好であることが多いと思います。

そんな感じなので、特に心因性EDは、単に「勃起しない」「挿入できない」という『症状としてのED』だけではなく、多かれ少なかれ『バックグラウンドにある心因』と、『その結果生じた性欲低下(Hypoactive Sexual Desire Disorder: HSDD)』に目を配る必要があるのです。

なので、

「治療の目的は、満足のいく性的関係を回復することであり、単に固い勃起を得ることではない

つまり、PDE-5阻害剤を処方するだけではなく、同時にカウンセリングを行うべきだと僕は思っています。
しかも、このカウンセリングをさらにカップルで行う(カップルカウンセリング)のがいいのでは?と僕は思っています。
で、これがまた、非常に人間臭くて、医療として非常に興味深い所です。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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