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男性性機能障害に対する夫婦の心理を考察してみる(5)

そんなわけで、不妊治療現場で拝見するEDの主要因は心因性EDであり、その治療はEDだけに目を向けるのではなく、同時に併発しているであろうHSDD(性欲低下)も念頭に置いて対応すべきだと思う、といった内容を書いて(主張して?)来ました。

では、最後に、さらに興味深い論文があるので、御紹介しておきたいと思います。
この論文は(不妊に限ったわけではないのですが)、御主人さんのEDが「奥様の性機能」にどういった影響を与えるか?を検討しております。
結果、御主人さんがEDになると、奥様の方もsexual activityが減り、性欲が減り、興奮しにくく(濡れにくく)なり、オーガズムに達しにくくなる、というわけです。
奥様の方も、つられて女性性機能「障害」とまでは行かないものの、それに似た境遇になってしまう、というわけです。

つまり、
「奥様側の女性性機能低下も同時併発している可能性がある」
ということまでをも視野に入れておくべきことを示唆しています。
奥様側には、御主人さんの心理状況を御理解(御納得)いただきつつ、夫婦で治療に向き合っていただくわけですが、実はその陰で、奥様の方の女性性機能の方は現状どうだろう?という視点を常に組み込んでおくわけです。

(2)で、永尾先生のED治療薬使用者のパートナー調査の報告を御紹介させていただきました。
御主人さんがPDE5阻害剤を内服後、奥様の満足度の改善度が低い、という点を御紹介させていただきました。
その理由として挙げられていたのが、
「性交痛」「性欲が無い」「興奮しない(濡れない)」「オーガズムが無い」「オーガズムのタイミングが合わない」・・・
ね?まさに女性性機能が低下している可能性が疑われる訳です。

こんな具合で「夫のEDが・・・」とおっしゃっている陰で、御自身の性機能も変化してきている可能性があるわけです。
これを「遠まわしに」suggestするのが僕の仕事でもあるのですが、この辺はまたの機会に。

こんな感じです。
そんなわけで、
「夫がED気味で、性交渉がうまく持てず、妊娠できません。」
「性交渉ができるようになりたいです。」
というシーン、僕は、考えるべき状態は3本柱だと思っています。
  • EDに対する対応
  • HSDD(性欲低下)に対する対応
  • 奥様の女性性機能低下に対する対応
ではないでしょうか。

奥様の年齢的な面/社会的な事情/御夫婦の御希望の強さetc etcから、人工授精、果ては体外受精での介入(対症療法)をせざるを得ないシーンがあるのは確かですが、男性性機能障害(特にED)による不妊は、本来は原因治療である男性性機能障害の治療(根治療法)を優先するのが筋なのだろうと僕は思っています。
これが奏功すれば、結果、妊娠→出産後の御夫婦の生活のQOLがきっと変わってくるはずだ、と信じたいところですが・・・。
現実はなかなかこうは上手くは運んではくれません。
それがこの分野の医療として面白いところでもあります。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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