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「低刺激法の落とし穴」

体外受精時には、強かれ弱かれ「排卵誘発」が行われるわけです。
で、この排卵誘発法に「低刺激法」というのと「高刺激法」というのがあって、何となく「低刺激法 v.s. 高刺激法」という構図になっていて、特に「低刺激法」は「自然に近い」「体に優しい」「通院回数が少ない」etc etcといった「キャッチフレーズ」が目に付きます。
これらの「キャッチフレーズ」は、耳触りが良くいかにもいい感じ、優しい感じに聞こえますが、ちょっと待った。
「真のエンドポイントは何か?」
という視点で見直してみると、当然ですが真のエンドポイントは「自然に近い」ことでも「体に優しい」ことでも「通院回数が少ない」ことでもないわけです。

なので、低刺激法or高刺激法の選択は「科学的に理に適っているかどうか」だと僕は思っています、というのはこちらに書きました。こう書くと、なにやら僕が高刺激信者に感じられるかもしれませんが、僕が実際に担当させていただいているケースでは、低刺激:高刺激=7:3位です。

で、先日、前慶応大学教授の吉村先生の御執筆なされた本を拝読させていただいておりましたところ、ちょうどこの辺の内容に触れられているページがありましたのでご紹介してみたいと思います。
僕が読んでも結構「ドキドキ」してしまう内容で、僕みたいなペーペーには、とても口に出せないような内容まで書かれております
「間違いだらけの高齢出産」という題名で、アマゾンからも入手可能なようです。そのp59-です。

【低刺激療法の落とし穴】
排卵誘発の副作用を抑えるため、最近では卵巣への刺激を控える「低刺激療法」が体外受精の排卵誘発法の主流になりつつあります。・・・(中略)・・・。そしてこうした事態が、利益優先の産婦人科医にとっての"ビジネスチャンス"に繋がっているのかもしれません。医師は強力な排卵誘発剤を使わない体外受精を「自然に近くて身体によい」と薦めます。その理論はこういうことです。・・・(中略)・・・。対して低刺激療法は体外受精をするにしても生理の周期に近い状態で採卵します。そのため、毎月一回、卵子を採ることも可能です。極端なことを言えば一年に12回連続して体外受精を行うことも可能です。そして、一年に何回も行うことになる体外受精は、医師サイドから見れば、大きなビジネスチャンスです。女性にとっても、強力な排卵誘発剤は体への負担が大きく、仕事に支障が出ることがあるため、これを使わない治療にとびつきがちです。・・・(中略)・・・。もちろん、高齢だと注射薬を使っても排卵誘発がうまくいかないことも多いことから、低刺激法を選ぶことが正しい判断である場合もあります。・・・(以下略)


・・・・ふう。おっかない(笑)。
「鳥肌実」氏になった気分です。
ま、多かれ少なかれ、社会で行われていることは「経済的」に動いており、かく言う僕もこの分野でメシ食っているのは事実です。
でも、吉村先生のおっしゃる通り、医者たるもの、最低限「科学的なjudgement」に従う心を捨てるところまで行ってしまってはいけないのでしょう。

この分野でお悩みの方は、是非一度読まれてみてはいかがでしょうか?


ちなみに、吉村先生(当時、慶応の助教授)は、僕の産婦人科専門医試験の口頭試問の面接官をしてくださった先生です。
の「(どうでもいい話ですが、昔、僕が「産婦人科専門医」を取得した時の口頭試問がまさにこれでした。当時の僕は・・・)」の試験官がまさに吉村先生でした。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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