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子宮内膜を傷つけて、着床障害を克服する?(4)

【子宮鏡後に着床率が上昇したとする論文】
で、今回の主題、「子宮内膜を傷つけると着床率が上昇する」という現象を間接的に示唆するデーターとして、「子宮鏡検査後に着床率が上昇する」という論文が合わせてreviewされています。

(6)2004年、Demirolら
この論文は、体外受精を2回以上行っても結果が出ていない421人を対象に、新たな体外の周期の前に、「子宮鏡を行った群 v.s. 行わなかった群(コントロール)」で成績を比較しています。
で、「子宮鏡を行わなかった群(コントロール)」211人をグループⅠ、「子宮鏡を行った群」210人をグループⅡとして、さらにグループⅡを「子宮鏡をした結果、正常だった群」(154人)をグループⅡa、「子宮鏡の結果、何かしら病変があり、それを手術した群」(56人)をグループⅡbとしています。
で、子宮鏡後、体外受精の結果は、臨床的妊娠率で
グループⅠ:グループⅡa:グループⅡb=21.6%:32.5%:30.4%
であったと報告しております。

但し、2004年のこの論文自体は、この時点では
「体外反復不成功の場合は、積極的に子宮鏡をして、小さな病変を積極的に探しに行って、あったら手術して取ろうよ」
と書いてあります。
つまり、おそらく、この論文を書いた時点では
「子宮鏡を子宮内に入れるという行為そのものが、子宮内膜を刺激して着床率が上昇する」
という視点での記載は見当たらないようです。

で、まそっくりな研究報告が2006年にも出ております。

(7)2006年、Rama Rajuら。この論文でも、グループⅠ、グループⅡa、グループⅡbのグループ分けは全く同じです。
で、結果、臨床的妊娠率は、
Group I:Group II a:Group II b=26.2%:44.44%:39.55%
と報告しております。
但し、この論文でも、
「子宮鏡下に小さな子宮内病変を治療することにより妊娠率を改善することが出来る」
と表現していますので、筆者の先生たちの考察では、「単に子宮鏡を入れただけで効果がある」という話にはなっていないように思われます。

どちらの報告も、確かに「子宮鏡を入れた→病変があった→とった」群、つまりⅡb群も妊娠率が上昇しているのは確かですが、「子宮鏡を入れた→正常だった」のⅡa群もばっちり妊娠率が上昇しているわけです。
つまり、「子宮鏡を入れた→病変があった→とった」から妊娠率が上昇しているのではなく、病変があろうがなかろうが関係なく、純粋に「とにかく子宮鏡を挿入した」という行為そのものが妊娠率上昇に寄与しているわけです。

現在では、

Hysteroscopy induces some injury to the endometrium.
(子宮鏡操作が子宮内膜を傷つける。)

と考えられているわけですね。

以上をまとめると、
  • 子宮内膜を傷つける、という行為は確かに妊娠率を上昇させているらしい。
  • 但し、どのタイミングで、どのような方法で、何回傷付ければいいのか?という最適なプロトコールは定まっていない。
というのがこの2010年の総説論文の結論となっております。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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