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Essureが日本に導入されたらいいなぁ(5)

【バックグラウンド】
卵管留水腫がある方が体外受精をする前には、何らかの方法で留水腫を起こした卵管と子宮の間の連絡を断ち切ることが推奨されていて、現行、コクラン(2010)+本邦産婦人科内視鏡手術ガイドラインでは「腹腔鏡下卵管切除または卵管閉塞(切断とかクリッピングとか)」が推奨されています。

僕も実際には、「腹腔鏡下卵管クリッピング」を施行させていただいているのですが、これは即ち、「腹腔鏡下手術」が必要であり、そもそも骨盤内癒着があるはずの卵管留水腫の方は、リスクもあり、かつ、腹腔鏡とはいえ、手術をするわけで、さらに癒着を増強しかねないわけです。

これに対し、海外では「Essure」という医療器具があります。
Essureは、そもそもは子宮鏡下に卵管の中に専用のコイルを詰めて、3か月すると、そのコイル周辺に線維化が起こり、卵管が閉塞する、というもので、本来の目的は「避妊」です。
アメリカFDAでは2002年に認可されています。

「子宮鏡下に卵管閉塞が起こせる!」
・・・ということは、卵管留水腫の「卵管-子宮間」の交通遮断に使えるんではなかろうか?
しかも、腹腔鏡なしで!

というのに最初に目を付けたのが、Rosenfield先生たちで、2005年にBMI 50.0(!)という、全身麻酔禁忌と考えられた卵管留水腫の方に施行してみて、その後体外で双子(!)の妊娠が成立した、という報告をしています。この最初の症例報告から今年で9年になるのですが、この方法は世界中で広まっているようで、今年のBJOG(←イギリスの産婦人科学会誌)には、最初のsystematic reviewが載るまで来ています。こんな感じで世界では着々と臨床経験が蓄積されているのですが、残念ながら、今日現在、日本では未認可です。

僕もお恥ずかしながら、つい最近まで知りませんでした。
(勉強不足、痛感してますorz)
で、たまたまなのですが、患者様を拝見させていただく機会を頂戴しました。
・・・・感激しました。
イケてる気がする。

「これが日本で導入される日が来るといいなぁ。」

と、心底思っているわけです。
でも、僕一人の力では到底何もできないので、草の根運動。
つまり、一人でも多くのDrの目に触れれば、もしかしたら偉い権力者の先生のお目にとまり、導入方向に動き出すかもしれない。

で、僕のできることと言えば、「学会発表」。
もちろんなのですが、何のCOIもありません!
(注:COI=Conflict of Interest、要するに「お金もらってない」ということです。)
【以上、バックグラウンド】

全国のクリニックにお通いの方々も、お通いの医療機関、今日明日は休診だったりしませんか?
今日明日と「第32回日本受精着床学会」という日本全国の生殖医療従事者が集合する学会が新宿で開催されているためです。
そんな学会で発表させていただく機会を頂戴しましたので、発表してまいりました。
発表自体は滞りなくスムーズでした。

いやはや、真夏の会場は熱気に包まれておりました。
「何とか妊娠してもらいたい」
という情熱の持ち主たちが、全国津々浦々であれこれ悩み、手を変え品を変えいろんな試みをしているのだなぁ、と。
同志がこんなにもいっぱいいるんだ、と思うと、嬉しくもなり、僕ももっと頑張らないといけない、と背中を押された感もあり、でございました。
「学会参加」はこんな感じで、モチベーションをアップさせる非常に有効な機会で(すっかり「熱く」させらててしまいます)、年に数回の「楽しみ」でもあるわけです。
会場で得た最新情報をまた日常にfeedbackしていきたいと思っております。

Essureの草の根運動は、今回の発表と、この後、論文掲載を持って一旦中締めとしたいと思います。
いい方向に動き出さないかなぁ。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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