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【夏期講習】不育症(4)

では、各論まとめてまいりましょう。

【子宮形態異常】

テキストの11ページの真ん中あたりからです。
子宮形態異常とは、子宮が多少ユニークな形態をしている場合のことを指します。
いろんなパターンがあるのですが、12ページの図2に描かれているようなものが典型例です。
「子宮奇形」という言葉が使用されることも多いのですが、あまりいい響きではないので、この言葉はやめましょう、との提案もなされていますね。

なぜこのように子宮形態異常になるのか、という説明が11ページの一番下の行から説明されています。
そうなんですね。女性は皆さん、そもそも子宮の元になる器官は左右2個できるのです。
その左右2個ある「子宮の元」が「くっついて」1個の子宮になるのです。
この過程のどこかでトラブルが起こると、子宮形態異常が起こります。

以前より、双角子宮・中隔子宮の方が流産なさった場合の、胎児の染色体異常の割合が低いことが知られており、すなわち子宮形態異常がリスク因子の一つとなりうる、と考えられているわけです。
でも、産婦人科医をやっていると、子宮形態異常の方の分娩を扱うのは稀ではありません。
「しょっちゅう」という言葉をつかってもいいぐらいの頻度です。
なので、子宮形態異常=全例流産というわけでもありません。

で、子宮形態異常で特に不育症と関連が深いのが「中隔子宮」と言われています。
「中隔子宮」と「双角子宮」は、内腔が2つの部屋にわかれている点では同じなのですが、中隔子宮の方が妊娠予後が悪いことが知られています。
結局、部屋を2つに仕切っている『間仕切り』の質の差なのだろう、と言われています。
双角子宮の『間仕切り』は子宮内膜→子宮筋層→子宮漿膜と、本来の「子宮の壁」を構成する全ての成分が存在するのに対し、中隔子宮の『間仕切り』は、本来の「子宮の壁」を構成する成分全てが備わっていないわけです。
なので、中隔子宮の『間仕切り』は、機能的に「健常な子宮の壁」たりえないのですね。
実際に中隔子宮の中隔は、血管が少ないのではないか?とか、ホルモン感受性が低いのではないか?とかいった報告があります。

なので、僕ら産婦人科医が「子宮内腔が二つに分かれている」方を拝見した場合、「中隔子宮」なのか?「双角子宮」なのか?の鑑別を慎重に行う必要があるわけです。
でも、これが結構難しい場合もありますし、また、「中隔子宮」と「双角子宮」の中間、みたいな場合もあり、奥が深いです。

では治療に関してどのようにかんがえられているのか?という点がテキストの17ページ~になります。

厚生労働科学研究班(齋藤班)では、中隔子宮では、手術を行った方が経過観察より、妊娠成功率が高く、双角子宮では、手術を行っても経過観察でも、妊娠成功率は同じでしたが、症例数が少なかったため結論を出すに至っていません。一方、中隔子宮、双角子宮でも手術を行わない経過観察で、診断後の最初の妊娠で59%が、最終的には78%が出産に至るという報告があります。弓状子宮では手術療法の有効性を示すデータは示されていません。

とあります。
個別に慎重に手術適応を判断していかねばならない、というわけですね。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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