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【夏期講習】不育症(6)

【染色体異常】

テキストの7ページ、12ページ、18ページに記載されています。
非常にデリケートな部分ですので、完全に「ガイドライン」に準拠した内容のみを記載します。
まず、7ページ
  • 妊娠初期の流産の原因の大部分(約80%)は胎児(受精卵)に偶発的に発生した染色体異常ですが、流産を繰り返す場合は、夫婦どちらかに均衡型転座などの染色体構造異常がある可能性が高くなります。
とあります。
但し、染色体検査というのは、高度な個人情報を含むわけですので、どんな検査なのか?何がわかるのか?結果はどのように(誰に)知らされるのか?などなど、十分なカウンセリングと同意の上で施行されるべき検査なのは、言うまでもありません。
で、さらに夫婦間での「生殖」というシーンでは、さらに特別な配慮が必要です。
その点に関し、13ページに記載があります。
  • 遺伝情報は本人への伝達が原則ですが、不育症では、夫婦どちらかの原因かを特定することは、必ずしも夫婦の利益につながりません。染色体異常があった場合に、どちらかに特定せずに結果を伝達するという選択肢も含め、予め夫婦の意思の確認をすることが望まれます。
つまり、ご夫婦のどちらかに転座があった場合、それがどちらなのか?を知らされない権利を考慮しなさい、というわけです。
で、ここからが大事なのですが、18ページです。
下の方。
  • 現在のところ、体外受精時の着床前診断により、生児獲得率が高くなるという科学的根拠はありません。むしろ低いという報告が多いのが現状です。
  • また、自然妊娠では、染色体転座保有者から0.4~2.9%というわずかな頻度ではありますが、先天異常を伴う不均衡型の児が生まれてきます。しかし、着床前診断では、不均衡型の胚を検出することができるので、これは着床前診断のメリットと考えられます。
とありますね。
要するにどういうことかというと、不育症夫婦のいずれかに転座が見いだされた場合、本当にその転座が過去の流産の全ての原因なのか?という大疑問があるわけです。
つまり、例えば、過去の既往流産が、本当は胎児因子の偶発染色体異常(例えばモノソミーとか)によって偶発的に起こっていた。でもそれは知らずに、スクリーニングで両親が染色体を調べた。たまたま均衡型転座が見つかった、とか。
過去の既往流産は実は抗リン脂質抗体症候群によるものだった。でもそれは知らずに、スクリーニングで両親が染色体を調べた。たまたま均衡型転座が見つかった、とか。
なので、既往流産の理由が本当に全てその転座が原因であると断定できるのかに疑問が残るわけです。

ということで、この辺の内容は無責任にネット上で書き散らかす内容ではありませんので、公式のガイドラインの抄読のみに留めさせていただきます。
あしからず。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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