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【夏期講習】不育症(11)

【抗凝固療法の問題点】

抗凝固療法開始から分娩まで(最初から最後まで)一貫して同一医療機関で診察を受ける場合はいいのですが、アスピリン療法やヘパリン療法を行っていくうえでよくある問題点が「医療機関をまたぐ」ことにより、各々の医療機関で方針が変わってしまうことがある点だと思います。
つまり、アスピリン療法やヘパリン療法を不妊治療のクリニックで開始され、妊娠が成立すると今度はお産をする病院へ移動となるわけですが、この各々の医療機関で「言うことが違う」という現象が起こるわけです。
典型的には「アスピリン療法の終了時期」というものがあります。
28週と言う場合と36週という場合があります。
なぜそんなことが起きるのか?を解説しておきます。

(1)開始時期、終了時期の不明確さ
昨日御紹介したの7ページ目に記載されています。

<開始時期>
アスピリン療法・・・一定の見解はない(「妊娠を計画した際から」「妊娠反応陽性になってから」など)
ヘパリン療法・・・妊娠反応陽性となってから開始するのが一般的

<終了時期>
アスピリン療法・・・欧米では36週までが一般的だが、日本では28週以降禁忌
ヘパリン療法・・・分娩開始時まで続行するのが基本

と記載されています。
で、低用量アスピリン療法をいつまでやるのか?が一定の見解がないのですね。
例えば、不妊治療などの医療機関で「36週まで」と言われる。
でも、実際にお産するのはそのクリニックでは無い。
分娩先の病院に行く。
分娩先の医師は「28週以降は禁忌になっているので」という。
どっちが正しいの?となってしまう訳です。

確かに、アスピリンの添付文書には「妊娠28週以降は禁忌」と記載されています。

(2)適応が本当にあるのか?
少し前にはやったのですが、「抗凝固療法が着床障害の治療になるのではないか?」という考えがありました。
今ではこの考えはメタアナリシスによりほぼ否定されていると思います。し、現在用いているテキスト(ガイドライン)にもこの点記載されています。
えっと、19ページの一番下の[注1]というところですね。

そんな訳で、少し前までは、不妊治療先で「着床障害の治療」と言われ、分娩先では「適応がない」と言われてしまい混乱する、というのがありました。

などなど、混乱が起きやすい治療です。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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