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AIHを極める(10)

今回の内容は必ずしもAIHに限った内容ではないのですが、検討自体がAIHで行われているので、AIHに分類しておきます。内容的には「着床障害」になりますかね。

着床前に子宮内膜に「傷をつける」と着床率が上がるのではないか?ということが盛んに言われております。
発想的には単純で
  • 「傷が治る」ってことは組織同士が「くっ付く」ってことでしょ?
  • 「着床する」ってのも、「胚」と「子宮内膜」(組織同士)が「くっ付く」ってことだよね?
  • じゃあ、あらかじめ「子宮内膜」を傷付けておくと、その「傷」を治そうとして「くっ付く」ためのシステムが活性化して、そのどさくさに紛れて「胚」が来れば、着床しやすくなるんじゃないの?
「・・・なんと短絡的な・・・」と侮るなかれ、着床率が上がるとする報告は意外にも多いのです。
そんな報告から、今回は、今年(2013年)報告されたこちらをご紹介したいと思います。

【目的】
  • AIHの前に子宮内膜を傷付けることにより、妊娠率が上昇するのではないか?という仮説を評価すること。
【方法】
  • 150人の患者を50人ずつ以下の3グループに分類し妊娠率を比較。
  • グループ1:コントロールグループ(つまり何もせず、普通にAIHしただけ)
  • グループ2:実際にAIHをする周期の1つ前の周期のday8~9に「Taoブラシ」によって、子宮内膜サンプリング(管理人注:多分細胞診かな?)を行った群
  • グループ3:AIHをするまさにその周期のday8-9に「Taoブラシ」によってサンプリングを行った群
  • なお、排卵誘発はフェマーラ2.5mg/dayをday3~7で、その後、day9から隔日でリコンビナントFSH 75単位を注射
【結果】
  • グループ1:臨床的妊娠 9例、化学的妊娠 2例、多胎妊娠 1例で、臨床的妊娠率18%
  • グループ2:臨床的妊娠 19例、化学的妊娠 3例、多胎妊娠 2例で、臨床的妊娠率38%
  • グループ3:臨床的妊娠 18例、化学的妊娠 2例、多胎妊娠 2例で、臨床的妊娠率36%
【考察】
  • 現在までも、着床障害例で、(原因検索目的に)子宮鏡検査で子宮内膜生検をして、その後体外受精をすると、妊娠率が高いことが知られていた。
  • こうした経験的な状況から、子宮内膜を「傷付ける」ことが、着床障害に対して妊娠率を上昇させるのではないか?という仮説に繋がっていった。
  • 今日までの検討は、主にIVF/ICSI周期を対象に検討されているが、今回の我々の検討はAIH周期で行った上に、AIH周期の前周期のみでなく、AIH周期そのものでも検討したことに意義がある。
  • その結果、子宮内膜を「傷付ける」ことは、AIH周期の前周期のみでなく、AIH周期そのものでも効果があることが判明した。

とのことです。
えっと、で、「AIHのカテーテルは固かろうが柔らかかろうが妊娠率に影響は出ない」というのをやりました。、また、では、「ETではエコーガイド下に行う方が妊娠率が良くって、AIHでは変わらない理由として、着床までの期間をあげております。要するに、AIHの場合は、着床まで1週間あるので、「傷」つけても治ってしまうのではないか?」というはなしがありましたね。
つまり、排卵日近辺の子宮内膜傷害は、妊娠率を悪化させない(逆に改善もさせない)ということですね。
で、今回は、day8~9での子宮内膜への「傷害」は着床促進に働くかもというわけです。

創傷治癒過程と着床の共通点をうまく使おうというわけですね。
この辺、上手に使うと、何かできそうですね。

殺伐とした雰囲気(?)に花を添えるべく、山中湖花の都公園でのひまわり畑にて撮影(8/11)
ひまわりは「元気」を与えてくれるようで、個人的には大好きです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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