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子宮収縮と着床~その筋層内筋腫、核出した方がいいのか?(3)

では、実際の論文を見てみます。
まずは、2010年のHuman Reproduction誌に掲載されていますこちら。です。
以下、内容の論旨。

  • 妊娠率は、粘膜下筋腫では低下し、漿膜下筋腫は変化しないことは知られている。
  • 筋層内筋腫が妊娠に与える影響ははっきりしていない。
  • 筋腫の存在がなぜ妊娠率に影響を与えるのかについての理由ははっきりしていないが、その機序として、着床障害が指摘されている。
  • 着床障害の機序の一つとして、子宮の蠕動運動の存在が指摘されている。
  • 着床期には、子宮の蠕動運動は劇的に低下することが知られていて、これは着床に関係するのであろうと考えられている。
  • 最近「シネMRI」により、臓器の動きが動画として捉えられるようになった。
  • このシネMRIにより、健康な被験者では、黄体期中期~後期には、子宮体部の蠕動運動はほとんど認められないことが知られている。
  • しかしながら、我々は過去に筋層内子宮筋腫の患者の60%で黄体期5-9日目に子宮の蠕動運動が亢進していることを報告してきた。
  • 今回の検討では、筋層内筋腫を有する患者での、子宮蠕動運動の亢進が見られる頻度、並びに蠕動運動の存在が妊娠率に影響するのか、について検討した。
  • 挙児希望を有する、粘膜下筋腫が無く筋層内筋腫のみの、他に因子のない51人が、排卵後5-9日目にシネMRIを撮影することが出来た。
  • これにより、子宮の蠕動運動が3分間に1回以下の群(低頻度群)と、2回以上の群(高頻度群)で比較検討した。
  • その後、患者は4か月間の不妊治療(タイミング、排卵誘発、AIH)を受けた。
  • 低頻度群は29人(57%)、高頻度群は22人(43%)であった。
  • 治療の4か月間で、低頻度群では10人(34%)が妊娠したが、高頻度群で妊娠した例は無かった(0%)。
  • よって、筋層内筋腫が妊娠に与える影響として、異常蠕動運動の惹起がその一因である可能性が示唆された。

ちょっと長くなってしまいました。
要するに、本来は、黄体期には子宮収縮は無いはずですね。
で、筋層内筋腫を持っている方を調べてみると、
  • 筋層内筋腫は確かにある。でも、黄体期に子宮収縮はおきない人
  • 筋層内筋腫がある。で、黄体期に異常な子宮収縮が起きていしまっている人
の2パターンがある、というわけです。
で、黄体期に子宮収縮が起きない人の妊娠率はまずまずなのに、子宮収縮が起きてしまっている人は妊娠しにくい(この論文では0%でした)というわけです。
つまり、(ここまでズバットは断定してはいませんが)
「同じ筋層内筋腫でも、黄体期に異常な子宮収縮を引き起こしてしまうヤツは悪、子宮収縮を引き起こさないヤツは許容範囲なんじゃない?」
といった感じのことを遠回しに示唆しているわけです。

どうですか、この論文!賢いと思いませんか?
現在では、
「この筋腫は着床障害の原因になっているのかどうかはよくわからない。グレーである。」
というのを、もしかしたら客観的にシロ/クロ判定できるかもしれない、というわけです。
もちろん、今日現在「標準的検査」とまではなっていませんが、発想が賢いですよね。

【続く】
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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