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子宮収縮と着床~その筋層内筋腫、核出した方がいいのか?(4)

ということで、黄体期に異常な子宮収縮を引き起こしてしまう筋層内筋腫は「悪」なのかもしれない、という話なわけですが、では、そうした「悪」の筋層内筋腫は手術したほうがいいのか?という話に結び付くわけですが、こちらも既に報告されています。です。
以下、論旨。

  • 粘膜下筋腫は妊娠率を低下させ、漿膜下筋腫は低下させないことが判明しているが、筋層内筋腫に関しては一定の見解に至っていない。
  • さらに、筋層内筋腫の核出術が有効なのかどうかについても結論が出ていない。このため、筋層内筋腫の治療法の判断は難しい。
  • 子宮筋腫が妊娠率を低下させる原因として、子宮収縮の誘発が一因と考えられている。
  • 今回、筋層内筋腫の核出術前後で子宮収縮が変化するのか、を検討してみた。
  • 他に不妊因子の無い筋層内筋腫を有し、排卵後5-9日目でシネMRIを行い、異常子宮収縮(3分で2回以上の収縮)を認めた不妊症例15例に対し、子宮筋腫核出術後に再度黄体期にシネMRIを行い、子宮収縮が変化したかを検討。
  • 手術は1例が開腹、7例がLAM、7例がLM。
  • 術後は、15人中14人で、黄体期の子宮収縮が3分間に1回以下に低下した(1人だけ術前に3分間に5回の収縮を認めた例が、術後3分間に3回の収縮を認めた)。
  • 術後、タイミング療法/排卵誘発/AIHでの不妊治療を8か月以上行った(1人だけIVFを施行した)。
  • その結果、15人中6人(40%)が妊娠した。その内訳は、5人がnatural-タイミング、1人がIVFであった。
  • エストロゲンが子宮収縮を亢進させるが、子宮筋腫にはアロマターゼが高発現していることが知られており、もしかしたらこれが、子宮局所での高エストロゲン状態を惹起し、子宮収縮の頻度が亢進するのかも知れない。
  • 今回、術前に、黄体期に高頻度の異常子宮収縮を有する筋層内筋腫例では、子宮筋腫核出術を行うことにより子宮収縮が減少することが示された。
  • また、こうした例では、術後に妊孕性が回復する可能性が示唆された。
  • こうしたシネMRIでの基準により、筋層内筋腫でも、手術適応のある例と無い例を判断できる可能性があるのかもしれない。

ということで、黄体期に異常な子宮収縮を引き起こしている筋層内筋腫は、(相当な割合で)手術をすることにより黄体期の子宮収縮が治まり、(おそらく)妊孕性が改善するようだ、ということです。
そんなわけで、現在普通に行われている筋腫の位置(「形態」)による治療適応の評価ではなく、子宮の「機能」に及ぼす影響を評価して治療適応を考えたらどうか?という提案なわけです。
本当に惚れ惚れしちゃう考え方ですね。

ご紹介したこの2本の論文の筆頭著者は、吉野先生という先生で、現在富山大学にお勤めのようです。
日常臨床の疑問に対しての、本当に素晴らしい研究論文だと思います。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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