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プロラクチン道、始めます!(8)

今日は、2000年と少し古めなのですが、プロラクチン関連の論文です。
論文自体はこちらです。
内容は?というと、「transient hyperprolactinemia(一過性高プロラクチン血症)」という状態を治療してしまう(プロラクチンを下げてしまう)とどうなるか?という話です。
ここで出て来た「transient hyperprolactinemia(一過性高プロラクチン血症)」、聞きなれない言葉ですが、こんな風に書かれています。
  • A transient rise in plasma prolactin levels can be observed in a large group of women during the late follicular and luteal phases.
    (多くの女性で、卵胞期後期や黄体期に一過性に血中プロラクチン濃度が上昇するという現象が見られる。)
と記載されております。つまり、卵胞が育ってきたり、黄体期にプロラクチンを採血したところ、一時的に基準値を超えてしまっていた状態と考えて良さそうですね。

それでは内容です。

【方法】
  • 対象は、卵胞期中期~後期、黄体期中期にプロラクチンを計測し、上昇していた135人。
  • このうち、76人は治療を施さずに(無治療群)、59人はカルベゴリンorブロモクリプチンで正常範囲までプロラクチン濃度を下げた(治療群)。
  • その状態でlong法にて排卵誘発し、ICSIにて治療した。
【結果】
  • 排卵誘発で要したFSHの本数は、無治療群で有意に少なかった。
  • MⅡ率(管理人注:採卵した卵子が「成熟卵」である確率)は無治療群 87.9%、治療群 80.3%で、無治療群の方が有意に高かった。
  • 受精率は無治療群 70.8%、治療群 60.8%で、無治療群の方が有意に高かった。
【考察】
  • 「transient hyperprolactinemia(一過性高プロラクチン血症)」には、卵の質を改善させたり、受精率を上昇させたりと、positiveな効果がありそうだ。
  • 「transient hyperprolactinemia」は、治療しないほうがよさそうだ。

僕もどこかでプロラクチンは悪のホルモンではない、必要なホルモンなのだということを書いたかと思います。
卵胞発育だったり、黄体形成だったりのシーンに必要なホルモンでしたね。
あったあった。こちらです。
生理的なホルモンの上昇というのは、当たり前ですが、体が必要と判断したから上昇させているわけであって、地球ができて46億年、宇宙ができて137億年という長い時間の中で、自然淘汰という厳しいシステムにさらされた環境下に作り上げられているのが「生理的な反応」なわけです。
そんな崇高なシステムに対し、ろくなエビデンスも無しに踏み込んで、いい結果がでると考えるほうがおかしい。
神様に言わせれば、「お前、何様のつもりだ?」ってなもんです。

そんなわけで、また結論は同じになってしまってしつこいのですが、仕方ありません。

採血のプロラクチンが高かった場合、その上昇が生理的上昇なのか病的上昇なのかを見極めることが大事で、少なくとも、今、僕が知っている限りでは、生理的高プロラクチン血症に介入して好結果となるエビデンスはないとおもいます。もしあったら教えて下さい。
(当たり前ですが、病的高プロラクチン血症は介入するのですよ。)
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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