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臨床栄養学会/協会大連合大会に参加して来ました

僕は産婦人科医なのですが、産婦人科疾患(というか病態)の中に結構な割合で「栄養摂取状況に起因している病態があり、そうした病態は、当然ながら何よりも栄養摂取状況の改善が重要である」と、強く考えております。
例えば、明らかに「痩せ」の女性が月経不順になるわけですが、そうした状態を普通、産婦人科医は「ホルモン療法」(例えばカウフマンとか、不妊なら排卵誘発ですかね)で治療するわけです。
ただし、冷静になって考えてみれば、それは所詮「対症療法」に過ぎず、全然「根治療法」になってない訳です。
Obese-PCOだってそうですわな。
本当は、最初にやるべきはダイエットな訳です。
妊娠前の葉酸だってそうです。

そんなわけで、産婦人科の臨床を行う上では、臨床栄養学の知識が欠かせないと考え、管理人は「栄養情報担当者(NR)・サプリメントアドバイザー」なる資格認定も受けております。
で、今日明日の日程で、そうした臨床栄養の学会が開催されており、今日がその初日でしたので、参加してきました。
場所は東京駅の目の前、「JPタワー」です。



今日勉強してきた話は、若い女性の栄養摂取状況が、その後の妊娠経過のどう影響を及ぼすのか?という話でした。
事は非常に深刻です。
まずもって、2010年のデーター。20才代の女性の何%位が「痩せ」(BMIが18.5未満)だと思いますか?
何と、29.0%だそうです。3割
これは栄養学的に考えれば、現在の日本に居ながら「飢餓状態」ですよ!「飢餓」。
江戸時代の「なんちゃらの大飢饉」バリの「飢餓状態」
(ちなみにこれ、大袈裟では無く、今の20代の「痩せ」の女性の栄養摂取状態は、戦前のレベルの平均よりも低いそうです。)
これ、本当に危機的状態です。

妊娠前、妊娠中の母親の栄養状態が悪いと、生まれた子供は成人後に肥満や糖尿病(代謝性疾患)や精神疾患になりやすいという話を聞いたことがあると思います。
成人病胎児期発症起源説(DOHaD:Developmental Origins of Health and Disease)と言います。

例えば、歴史的に「飢餓」に相当する時期に生まれた子供が成人すると、代謝性疾患や精神疾患になる率が上昇することや、一卵性双胎の双子の体重の大きかった方v.s.小さかった方で比較したところ、低体重児の方が、成人時の生活習慣病罹患率が高いことが知られています。
葉酸欠乏も超有名ですよね。神経管開存や、児の精神状況に影響することが知られていますよね。

こうした着床~胎児期の低栄養暴露が、胎児の状況に影響を及ぼすのは、おそらくエピジェネティックな変化なのだろう、と考えられています。
非常に難しい話なのですが、本HPでもとりあげました。の不妊治療と先天性インプリント遺伝子異常症(1)~(4)に解説してあるのですが、胚発生~着床~胎児期にDNAを適切に「メチル化」する必要があるわけですが、この「DNAのメチル化」を行うのに、葉酸をはじめとした栄養素が関与しているのです。
すなわち、着床~胎児期の低栄養暴露は、そうした栄養素の不足により、代謝経路がストップしてしまい、適切なDNAのメチル化が行えなくなって、エピジェネティックな変化が引き起こされるのだろう、と考えられているわけです。

「痩せ」の月経不順の女性に排卵誘発等の不妊治療をして、妊娠成立しました。
「バンザーイ!バンザーイ!」

・・・・では、おそらくよろしくないわけです。
所詮、対症療法。どこかに無理が生じています。

「排卵誘発」+「栄養指導」

をちゃんとしないと、生まれてくる子の運命変える可能性があるわけです。
肥満もダメだけど、痩せも絶対にまずい訳です。
その「痩せ」が、間もなく生殖年齢の女性の3割にみられる、というわけです。
本当に危機的です。

ご興味のあるかたは、こちらもどうぞ。やや内容が難しいかも知れませんが。

熱くなりすぎました。
明日は「抗酸化食品」を中心に勉強してこようかと思っています。

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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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