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栄養の話が出たついでに:妊娠中の体重増加について

ちょっと話の向きを変えて、「妊婦健診」の話。
ご経験いただいた方もいらっしゃるでしょうし、また、将来ご経験いただく事になるでしょうから頭の片隅にでも置いておいてください。
(ちなみに当たり前と言えば当たり前ですが、僕も普通に妊婦健診もしますし、分娩も診ます。
時々、不妊治療から拝見させていただいていた方に、妊婦健診で当たると違和感がある、などと言われるのですが。
周産期の論文を書いたこともあるのですよ。)

妊婦健診中は「助産師」と呼ばれる方が皆さんの生活習慣を事細かにご指導下さいます。
僕も実際そうしたシーンを見たり、カルテの記載を見るのですが、まあ、とにかく「体重コントロール」に関する記載が多い。
「前回と比べて+○kg、増えすぎ注意!」
「甘いものを多く食べてしまったとのこと、控えるように指導」
「○週、既に+○kg!」
などなど。

現在、日本で妊娠中の体重増加の推奨値を出しているのは3機関で、日本産科婦人科学会、厚生労働省、日本肥満学会ですが、各々その数字が違います。
なぜかというと、「何のために体重増加の推奨をするか?」の目的が各々違うのですね。
日本産科婦人科学会は妊娠中毒症の予防(管理人注:日本産科婦人科学会の発表は1997年で、この当時は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。今はこの単語は使われることは無く、PIH(妊娠高血圧症候群)と言います。かつ、厳密にイコールではないです。)、厚生労働省は児の出生体重を適正にするため、日本肥満学会は産科的異常の減少としています。

BMIの幅も色々なのですが、仮にBMI=22だと、日本産科婦人科学会は7~10kg、厚生労働省は7~12kg、日本肥満学会は7~12kgです。ちなみにアメリカでは11.3~15.9kgです(Institute of medicineの推奨値)

さらにちなみに、先日出て来た成人病胎児期発症起源説(DOHaD)の観点からは、低栄養こそ悪で、+12kg前後を推奨する、とのことです(エビデンスがあるのかどうかは不明です)。

こんな感じ。
つまり、現実には(日本には今の所)、妊娠中の体重増加の推奨値に関してのコンセンサスは何と無いのです。
今年(2014年)の産科のガイドラインには
「体重増加量は栄養状態の評価項目のひとつであり、体重増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し、個人差を考慮したゆるやかな指導を心掛ける。」
と書かれています。

助産師さんたちの栄養指導を聞いていると、大概「体重が増えすぎ!増えるな!」という趣旨のものが多い。

・・・・お気の毒に(←注:個人的感想)。

P.S.
でも流石に+20kgとかをOKとしているガイドラインは見たことありませんので、ご注意を。
アメリカのInstitute of medicineのBMI<18.5が+12.7~18.1kgです。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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