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皆様が戻したその卵、染色体が正常である確率は何%か?(12)

では、すこし数字の検証をしてみましょう。
日本産科婦人科学会が、毎年日本全国のART実施施設のデーターを全て集計し、その数字をグラフにして出してくれています。
リンクはこちらの6ページ目のグラフです。

一応グラフの見方を解説しておきますと、下に女性の年齢が書いてあって、紫色のグラフが流産率、数字は右側のものを見ます。

赤、青、緑はARTの成績です。
左側の数字を見ます。
色々なグラフがあるのは、分母分子を変えてあるからです。
この辺のカラクリは僕もHPのどこかで解説しましたかね?
「体外受精の成績は○%」
などと言うのは、分母分子が何なのかに注意してください、という話です。
(おそらく、大概、この赤のグラフに相当する数字で書かれています。また何を持って「妊娠」としているのかもよく確認しましょう。皆さんが想像するのは「赤ちゃん」なわけですが、「流産」や「生化学的妊娠」も数字に入っていることがあり、何を分母にして何を分子にするかで、数字はいくらでも・・・・・。)

ま、今回はその話ではないので、話を進めます。



例として30歳を考えましょう。
(35歳以上は、日本産科婦人科学会の会告により2個ETが可能になってしまうので、データーが「ET当たり」になっているので、「胚当たり」ではなくなってしまうので。
逆に30歳なら、初回+2回目は単一胚移植なので、30歳のETは、全てではないでしょうが、ほぼ、単一胚移植と考えていいでしょう。逆にいうと、多少DETが含まれている可能性はあるわけです。
なので、「30歳のET当たりのデーター」は、ほぼ「胚1個当たり」と読み替えてもいいかな、という理由です。

で、30歳の方の胚盤胞が1個あったとすると、その胚の染色体が正常である確率は、のグラフより、65%位ですか?
で、前回のごとく、染色体が正常であっても赤ちゃんになれるのは、約半数、なので、出生率は32.5%となりますね。

では、上のグラフを見てみましょう。
30歳はET当たり、大体40%位の「妊娠率」が出ていますかね。
で、「流産率」は紫で、大体15~20%ぐらいですか?
ということは、出生率は32~34%になるわけですね。

「ET当たり」なので、初期胚ETの分とか、逆に先ほどのDETの分とか、色々増減する因子が無くは無いわけですが、そんんなわけでかなりいい線行っている数字のように感じます。
ということで、染色体正常胚盤胞を1個ETして、結果的に出生まで至るのは大体50%というこの論文の数字は、そんなにおかしな数字ではないような気がします。

そんな感じ。

是非皆さんの治療戦略の参考にしてください。
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コメント

[C89] 続報お待ちしています

情報ありがとうございます♪
製造販売はフェリ○グになるんですね。だから教えてくれなかったのかなぁ。
200~300mg/dayなんですね!アプリケーターも便利かも知れません。
朝、忙しいし。バキューンと入れてくれるやつ希望です笑
また続報お待ちしています!!♪
お忙しい日々だと思いますが、風邪などひかれませんように・・・。

[C88] Re: ごめんなさい。

今回のプロゲステロン腟坐薬の販売許可ははあ○かではないようです。
もうオープンになってるみたいなので書いていいと思いますが、フェ○ングですね。
9/29に発表になってます。(現勤務先で取引が無いらしく情報が入ってきませんでした。僕のアンテナも鈍いもんです。今回はちょっと反省。)
早速MRさんに来てもらうことにしました。
そのレジメは200~300mg/dayのようです。
挿入用の「アプリケーター」も付属するようです。
それでP値がどのようになるのか等など、ねちっこく聞いてみますので、レポートお楽しみに。
  • 2014-10-14 21:51
  • どくさま
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  • 編集

[C87] ごめんなさい。

答えにくい質問ばかりで、本当に申し訳ありませんでした><
本当に、これだけ禁忌薬を適応外で使う分野も珍しいですよね。というか、ないかも知れない。。。先生のお気持ちお察しできず、申し訳ありません!
凍結胚移植のホルモン補充方法は、それぞれのクリニックHPで公開しているところもありますが、本当にバラバラですね。名大のプロゲステロン膣坐剤は製剤過誤があった為詳細が出ていましたが、血中P値とエコーで内膜を観察し、適宜坐剤の増量が行われていたため、過誤の影響はないと言い切っていました。私、補充後にP値は測っていないし、エコーもしなかったなぁと。きっとそれぞれの病院でバラバラですね。

先生にtake it easyって言っていただくと、本当に気持ちが楽になるので不思議です。
実際の所、半年の内膜症の治療はせずに地道に初期胚を移植していたら、1回目の採卵でできた受精卵でなんとかなりそうな気がしていたのですが、採卵後ボヤっとしていたら初期胚を2個1本に凍結されていたため、結局、初期胚は実質4回しか移植できないという結果になりました。そんな感じで気が張っているのだと思います。 あとは数年後に夫の留学が迫っているため、それまでにという気持ちもありますし、薬剤師不足が深刻な職場事情などもあります。(辞る・続けるなどに計画性が必要、募集してもすぐに代わりが見つからないなど)
現在の主治医の経験値は高いし、営利主義ではなく、患者に対する愛情も感じるのですが。 大学病院でDIをしていた私の職業柄もあり、元の性格が突き詰めるタイプで、今までこれであまり失敗してこなかった、など、、、ちょっと標準偏差からは外れているのだと思います。笑 take it easy、これも人生勉強でしょうか。
プロゲステロン膣坐剤、製造販売許可降りたんですね!貴重な情報ありがとうございます。(私には教えてくれなかった、あ○かさん) 
余談ですが、震災後チラーヂンが欠品し、薬剤師間では「チラーヂン、あすか、あすかと待ちわびて」という川柳が流行りました。プロゲステロン膣坐剤も、あすか、あすかと待ってみます。

[C86] すいません

御免なさいローラさん(およびご覧いただいたみなさん)
プロゲステロン腟坐薬、製造販売降りたそうです。
12月発売予定らしいです。
(僕も情報が遅いなぁ。すいません。)

そんなわけで、プロゲステロン腟坐薬も近い将来、「自家製」とか「個人輸入」じゃなくて、ちゃんと日本で製造認可された製剤になっていきそうですね!

もうちょっと情報仕入れてみますね。
  • 2014-10-14 12:40
  • どくさま
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  • 編集

[C85] Re: ありがとうございました

大分先のことまで不安が膨らんでいる様子、緊迫感が伝わってきますが、まだまだtake it easyで行きましょう。
そうですね。治療回数は経過とともに主治医の先生と相談してもらうのがベストだと思います。

で、(薬剤師さんとのことですのでご理解頂戴できると思いますが)実はご存知の通り、凍結周期のHRTはほぼ禁忌薬の適応外使用なので(処方医-患者間の個人間の契約行為で責任が決定されるわけです)、僕の立場からはネット上などの公の場では公表しにくいです。
まして個人輸入系は・・・・ご勘弁を!
誠に申し訳ありませんm(_ _)m。
(実は、HP/ブログにも、適応外使用のため書きたくても書けないことがいっぱいあるのです。これでも言葉を結構選んでいるのです(笑)。本当に申し訳ないです。)
でも確かにHRTのレジメはDrにより全く違いますね。
僕も人のレジメはよくわからないことも多いです。
同じ理由であ○か製薬もまだ教えてくれないでしょうね。
2-3年後??位でしょうかね。
  • 2014-10-14 10:14
  • どくさま
  • URL
  • 編集

[C84] ありがとうございました

早速のお返事ありがとうございました。
♪~ウルトラ・ロング!ですね笑 内膜症のカテゴリの記事も拝見しました。
(私の採卵はショート法でした・・・あれれ、真逆)
採卵するまでは、内膜症有りだと卵子の質が悪いらしいという報告を見て不安でしたが
蓋を開けてみると、胚盤胞到達率75%over、グレードも良いと主治医は褒めてくれます。
卵子の質に関してはいい意味で期待を裏切られた気がしていますが
やっぱり着床しにくいんですかねぇ・・・トホホ

融解胚移植前の先行治療と妊娠率ですが、
出されたデータは、内膜症(+)の胚移植あたり妊娠率は20%を切り、(n=59)
GnRHアナログ4~6ヶ月治療後(n=19)は43%、ボンゾール4ヶ月治療後(n=73)は40%に上昇するというデータです。(よく見たら小さくnが書いてありました)
ボンゾールはよく効くが男性ホルモンなので肌が荒れたり血栓が出たりで不評、GnRHアナログは欝などの症状が出て人間関係を壊してしまう、(数値などで表せない、表面に出ない副作用のほうが主治医的に怖いとのこと)などでディナゲストが良いという話でした。
ディナゲストのデータは出してないが、ボンゾールと同じくらいの効果はあると仰っていました。(ただし服用期間は6ヶ月です。)
残っている胚は初期胚が6つ、胚盤胞が6つです。
あと3回の移植で妊娠すればいいのですが。
先生だったら、卵を使い切りますか?それとも途中で内膜症の治療をされますか?
(すみません、答えにくかったら無視してください)

あと、もう一つだけ教えていただきたいのですが(厚かましくてすみません)
凍結胚移植のホルモン補充周期に関してです。
ホルモン補充周期の場合、黄体ホルモンは膣坐剤を使われていますか?
現在のクリニックでは薬局製剤のプロゲステロン坐剤100mgを1日2個です。1日量は200mgになります。内服のデュファストン3T3×を併用です。移植前の内膜は10ミリ以上あったのですが、移植陰性後の月経量が極端に少なかったので、黄体補充が十分ではないのかなと思っています。(本来の判定日に予定があり、黄体補充期間は通常より長めでした。私個人の吸収が悪かった可能性も十分にあるかと)
フランスのUtrogestanは400mg-600mg/dayなんですかね。
あすか製薬がプロゲステロン膣坐剤(AKP008)のフェーズⅢを終了し申請中だそうで・・・
治験参加したかったな笑。 プロトコールは教えてくれませんでした_| ̄|○
はやく発売して欲しいです。

[C83] Re: 勉強になります。

>ローラさん
そうですか。初回の結果は残念でした。

子宮内膜症を有する方のART前療法ですが、GnRH analogue療法についてはコクランに記載があります。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16437491
採卵周期に先立って、3-6か月のGnRH analogue療法を行うと、ARTの成績が向上する、というものです。
この報告は「採卵周期」を前提にしていますので、融解ET周期のものではないのも確かです。
でも、この報告の考察には、なぜ3-6か月のGnRH analogue療法が有効なのか?の考え得る機序として、卵(胚)の質の向上、内膜の着床しやすさの向上、流産率の低下を挙げています。
内膜症ではなく腺筋症ですが、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24006906
に融解胚移植周期での妊娠率上昇の報告があります。

で、これがディナゲストでどうか?ですが、僕自身が(もちろん内膜症のコントロール目的には処方しますが)体外受精の成績を向上させる目的ではディナゲストを使用したことが今日現在無いので何とも言えません。
これから将来的にデーター出てくるんでしょうね。

そんなわけで、僕自身は条件が整えば内膜症でARTされる方にウルトラロングをやることがあります(採卵周期で)。
そのままフレッシュでETをするのですが、確かに妊娠率に関しては好感触を持っています。

但し、ご心配の通り、時間が非常にかかるので、踏み切るのに非常に勇気が要ります。
不妊で挙児を熱望している方の数か月、場合によっては半年以上を奪ってしまう事になるので、僕としても決断するときは、心中する思いです。
「これで妊娠しなかったらどうしよう・・・・」
「僕の判断で人生変えてしまったらどうしよう・・・・」
という感じ。
GnRH analogueは、長期にわたると更年期様症状が出るので、副作用も辛そうですし。
結果が出ないと「時間も半年奪われた、副作用もあれだけ辛かった、なのに結果が出なかった」といった感じで「恨み」をかいやすい方法なので、患者さんと十二分にコミュニケーションをとりながら、よっぽど信頼関係がきちんと築けているという状況でないと、なかなか踏み切れない方法でもあります。

そんな感じです。
疑問点があるようだと、結果が伴わなかったときつまらない感情が先にたってしまう可能性があるので、納得行くまで説明を受け、信頼関係を十二分に構築したうえで治療方針を決定なさるのがよろしいと思います。
  • 2014-10-13 09:01
  • どくさま
  • URL
  • 編集

[C82] 勉強になります。

先生、今回もとっても面白い記事をありがとうございました!
染色体正常胚盤胚の出生率が半分なんて!・・・考えさせられました。
私は、初回の移植(初期胚)の結果は陰性でした。
先生が示してくださった計算でいくと、私もちょうど30歳なので、累積出生率は1回目で約32%、2回目で約54%、3回目で約68%、4回目で約78%ってところでしょうか。
私はチョコ持ちなのですが、3回移植して陰性だったら内膜症の治療を優先させましょうと言われいます。ディナゲストを半年服用するというものです・・・長いです。そのほうが着床率が上がるというデータ(棒グラフ)を見せられたのですが、nもわからず、そもそもディナゲストのグラフがなく、スプレキュアやボンゾールのグラフしかなくて。有意差もちょっとわかりにくくて、、、論文やガイドラインではなく、ちょっと古いけど当院のデータだと言われました。半年もかかる治療なので不安です。普通、病院としては、半年もディナゲスト飲ませるよりも、どんどん採卵したほうが儲かるけど、内膜症治療を優先させたほうが患者にとってはいいから、という事でした。
3回とも陰性になる確率は約3割ですが、先生の記事を読ませていただいて、4回くらい移植してみたほうがいい気がしてきました。
そもそも、良質な卵がたくさん取れた後、凍結胚移植前に内膜症治療を先行させて妊娠率が上昇するエビデンスはあるのでしょうか?

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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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