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「生殖医療の必修知識」メモ(2)

【バックグラウンド】
日本生殖医学会編「生殖医療の必修知識」が2014年10月に刊行されたので、これを読んでいます。
これを勉強した内容の、管理人の個人的なノート。〆(・ω・ )メモメモ。

Day3 FSHとクロミフェンチャレンジテスト(p107~)

<FSH値の臨床的意義>
AMH↓とFSH↑は必ずしもパラレルで出現するわけでは無い。
単に「AMHが低値」というのみで判断するのではなく、同じAMH値でもFSH値は様々であり、FSH値の評価が必要となる場合がある。

<クロミフェンチャレンジテスト(CCCT)>
Day3~CC(100)を5日間処方し、負荷前後のFSH値を測定する。

Navotら(Lancet 1987; 645-)
負荷前のFSH値が
・26未満なら妊娠率42%
・26以上なら妊娠率6%
FSH基礎値が正常でも、負荷後FSHが26以上となる例がある。
卵胞顆粒膜細胞の機能低下→インヒビンB↓→CCへの過剰反応

Loumayeら(fertil Steril 1990; 295-)
CCCT変法
投与前+投与後FSHの和
妊娠した人の最高値が26.03だった。

<FSH基礎値 v.s CCCT>
・両方異常であれば妊娠不成立の予測には有用
・どちらか一方が正常ならその意義は不明確
・CCCTを行ってもFSH基礎値以上の情報は得られない。

最近ではCCCT等の負荷試験を行うことは有用では無い。リスクを伴うものについては行うべきではない、とする考えが見られる。

AFC(p113~)

・AFCは、38歳までは緩徐に、38歳~は急峻に下降する。
・AFCが真に胞状卵胞のみをカウントできているかどうかは疑問視されている。
  • 閉鎖に向かう卵胞がカウントされている可能性
  • 50歳でもAFCの中央値は3.3(Fertil Steril 2011; 663-)

・PCOのAFC
  • AFC↑で、経年変化による低下が小さい
  • 高齢であってもAFC↑だが、これが真に卵巣予備能が高いことを意味するのかは疑問視されている。

・AMH、AFC、FSH、E2、インヒビンBを比較すると、原始卵胞数をもっとも的確に反映するのはAFC

<計測すべき卵胞のサイズは?>
・COHに対する反応不良を反映するのは2-8mmの数
・良好な卵が得られる数は、2-6mmの数
サイズの大きい卵胞は、閉鎖に向かう卵胞が含まれている?

<卵巣嚢腫とAFC>
片側にcystがある場合、
・cystが機能性、奇形腫ならば、AFCは健側と同等
・cystがchocoならば、健側より低下
(Fertil Steril 2010; 2338-)

AMH(p120~)

・AMHの変動係数は15%→30%程度の変動がある。
・AMHを卵巣年齢とする根拠はない
  • 測定値は正規分布にはならない。
  • 30歳代では年齢とAMH値は統計学的に相関しない。
  • 標準偏差が非常に大きい
  • 中央値は平均値より小さい
  • よって「正常値」というものは存在しえない。

・不妊患者、妊娠した人、不妊でない人ともに同様の分布になる
→よって妊孕性を示す根拠にはなりえない。

<AMH値により閉経時期は予想できるか?>
AMHの高い人は低い人よりも低下の割合が高く、結果的に閉経の時期の差は小さい

<AMHの測定意義>
①体外受精時のCOHに対する反応の予想
②POFの早期発見


ということで、この辺は「卵巣予備能」に関してでした。
皆さん大好きAMHの解釈は非常に難しいです。
この教科書にもきちんと記載されている通り、AMHを「卵巣年齢を評価する方法」やら「妊娠する能力を見極める方法」とする根拠はない、と記載されていますね。

で、「AMHが低い」と言われてパニックになっている方を時々拝見するのですが、「何に比べて低いのか?」をきちんと確認しましょう。
「平均値」ですか?
「平均値」より高い/低いで論じると、実は「低い」に入ってしまう人が過半数です。
「中央値」は「平均値」より低いのですから。
で、各年齢での「正常範囲」は設定できません。
その数字が正常なのか異常なのかという判定は出来ないわけです。
臨床的な測定意義は、そういうことで2個しか書かれていません。

そんなわけで、AMHは、その性質をよくよくよくよく理解して用いないと、意味が無いです。
正直、僕も「超音波上、気にならない程度の女性のAMH値」はどう解釈すべきなのか、どう臨床応用すべきなのか??という状況です。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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