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抗精子抗体(精子不動化抗体)のページに向けての習作(2)

抗精子抗体(のうちの精子不動化抗体)は、
・「精子の動きを止めてしまう」ことにより不妊となる。
・PCT(フーナーテスト)不良となる
という印象が強いわけですが、では、精子不動化抗体が陽性だった場合、そのPCTの所見はどのようになっているのでしょうか?
柴原先生が2007年にご発表なさった論文にこの点に関するデーターがあります。です。
以下、この論文の論旨です。

  • 精子不動化試験を2834人の不妊女性でスクリーニングしたところ、74人(2.6%)で陽性であった。
  • このうち、男性因子などが無く、PCTを施行したケースは、精子不動化試験陽性群で31人で、そのうち24人(77.4%)はPCTで異常であった。
  • 一方、精子不動化試験陰性群では137人にPCTを行い、異常であったのは28人(20.4%)であった。
  • 精子不動化試験陽性群で、その抗体価をSI50で測定した場合、SI50が10以上の高抗体価群は10人いて、その全員がPCTで異常であったが、SI50が10以下の低抗体価群では、21人中14人(66.7%)がPCT異常を示した。
  • SI50が10以上の高抗体価群ではPCTが良好となる例は無かったが、10以下では必ずしもPCT不良とならない点は、SI50が10以下の群で性交渉(あるいはAIH)での妊娠が望めるということと関連している可能性がある。
  • よって、SI50測定による抗体価の評価が治療方針の決定に有用と考えられる

という内容でした。
非常に勉強になる論文ですね。
いろいろ応用できそうですね。
・精子不動化抗体を有していても、必ずしもフーナー異常になるわけではない。
と解釈することも可能ですね。
逆にいうと、
・フーナーで異常がないことが、必ずしも精子不動化抗体を持たない、という保証にはならない。(低抗体価なら、フーナーで問題なしとなることもありうる)
と解釈することも可能ということにもなりますね。
・精子不動化抗体とフーナーは、リンクしているのは間違いないけれども、必ずしも一致するわけではない。
・抗体価で治療法を見極める必要がある。
などなど、非常に示唆に富んだデーターとなっています。
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Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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