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卵胞発育数が少ない場合、ARTに利点はあるのか?

体外受精に際し、排卵誘発が行われることは多いわけですが、発育卵胞数が少ない場合もあるわけです。
そんな場合、ART続行した場合とAIHに切り替えた場合の結果を検討した論文が2013年のfertility and sterilityに載っていますので、こちらを読んでみたいと思います。以下、内容を箇条書きにします。
  • 体外受精のスケジュールで、発育卵胞数が3個以下の場合、体外受精の絶対適応(両側卵管閉塞や高度男性因子など)がない場合、体外受精をそのまま続行するかAIHに変更するかの判断を迫られることがある。
  • 今回、GnRHアゴニスト法(ロング法またはショート法)かアンタゴニスト法で排卵誘発し、hCGに切り替え時に14mm以上の卵胞数が3個以下だったケースで、そのまま体外受精を続行した場合と、発育卵胞数が少ないがゆえにAIHに切り替えた場合での成績を比較してみた。
  • この範疇に当たる周期は1098周期で、624周期が体外を続行、474周期がAIHに切り替えていた。
  • 各々の出生率は
    • 〔発育卵胞数が1個〕 体外:2.9% AIH:2.6% (有意差なし)
    • 〔発育卵胞数が2個〕 体外:8.7% AIH:3.4% (有意差あり)
    • 〔発育卵胞数が3個〕 体外:11.9% AIH:6.6% (有意差なし)
    であった。
  • すなわち、発育卵胞数が1個では体外 v.s. AIHで臨床的妊娠率、出生率に差は無く、発育卵胞数が2個なら2.9倍、3個なら2.1倍、体外の方が出生率が高い(ただし3個では統計学的有意差は出ない)。
  • これらのデーターを40歳以下と40歳以上で分類してみてみると、
    • 〔40才以下〕 体外での出生率は、発育卵胞数1個で4.48%、2個で14.14%、3個で19.25%と、発育卵胞数の増加に伴って上昇した。
    • 〔40才以上〕 体外での出生率は、発育卵胞数1個で0.0%、2個で3.7%、3個で4.0%、AIHでの出生率は、発育卵胞数1個で1.3%、2個で1.4%、3個で4.6%であり、発育卵胞数が3個以下なら、体外とAIHを比較して、体外を行う利点は見いだせなかった。
  • 卵巣予備能が低下している例で、卵胞が1個のみが発育している状態では、体外受精を行う利点はほとんどないが、2個以上の卵胞が発育しているなら、年齢にもよるが、体外の方が2-3倍出生率が高い。

という論文でした。
僕も、少し前に2個発育の方がいて、採卵goかAIHに変更か悩んだ方がいました。
でも、その方は、強い意志で採卵goなさいました。
そうしたら、一発妊娠でした。
危うく、僕の提案でAIHへ誘導してしまうところでした。
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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