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プロラクチン道、始めます!(10)

さて、今日は"高プロラクチン血症治療薬(???)"について少し勉強したいと思います。

後で詳しく解説しますが、実は「高プロラクチン血症治療薬」というものは多分ありません。赤で太字で?をいっぱいつけたのには理由があります!

まずは、昨日紹介した、アメリカ生殖医学会のHPから確認していきましょう。リンクはです。
今日読む部分は、5段落目の「How is Hyperprolactinemia Treated?」というところの前半部分です。

高プロラクチン血症はどのように治療されるか?
原因により治療法は異なります。
医師が原因不明と判断したり、下垂体腺腫がある場合には、第一選択は薬物療法になります。
最もよく使われているのはParlodel® (ブロモクリプチン)とDostinex®(カルベゴリン)です。
最初は少ない用量から始めて、次第に増量していきます。
治療は妊娠するまで続けられます。
妊娠後の減量は医師に相談しつつ行います。

Parlodel®の最大の副作用は意識朦朧、吐き気、頭痛です。ほかには鼻閉、めまい、便秘、腹痛、倦怠感、嘔吐、また、稀ですが、幻覚などが出ることがあります。
ゆっくり用量を増量していくことによって、副作用を軽減していきます。
Parlodel®を腟坐薬や眠前に飲むことによって、副作用を軽減することもできます(ただし、この使用法は、FDAでは承認されているわけではありません。)

Dostinex®は、週に2回の服用でよく、副作用が少ないですが、Parlodel®と比べると高価です。
さらには、高容量Dostinex®での弁膜症の問題があります。
この弁膜症の問題のため、pergolideは、アメリカ市場から自主回収されました。(管理人注:Permaxという商品名だったそうです。2007年の出来事でした。)

といった感じです。
まあ、元々がアメリカの話なので、お薬の名前とかが違いますが、もちろん基本は同じです。
日本では以下の3剤がよく用いられていると思います(産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2011 p103より引用)。
  • ブロモクリプチン(パーロデル)
  • テルグリド(テルロン)
  • カルベゴリン(カバサール)
ところで「ドキッ」とされた方も多いかと思います。
弁膜症の問題」ってなに?なに?
はい、解説は、リンク先にお願いすることにします。こちらなんか詳しいですね。まあ、こちらにも書いてありますが、

「一方、カバサールについては、FDA(米国食品医薬品庁)は、「米国ではパーキンソン病に対しては承認されておらず、承認されている高プロラクチン障害に対するカバサールの用量はパーキンソン病(未承認)に対する用量よりもかなり低いため、心臓弁膜症のリスクは少ない」ことを理由に、市場から撤去していない」

というのが、ここで紹介した「アメリカ生殖医学会」のHPの内容なわけです。

で、その次の段落にこんなことが書かれています。

「厚生労働省は2007年4月19日付で、ペルマックスとカバサールについて、添付文書の改訂を指示した。これを受けて「使用上の注意」に、両剤ともに長期間の投与で心臓弁膜症があらわれることがあるため、心臓弁膜の病変が確認された患者などを禁忌とし、投与中の心エコー検査を実施することなどが追記された。

はい。そうなんです。カバサールの添付文書見てみましょう。(誤解なきように書いておきますが、この添付文書は0.25mgでも1mgでも同じものです。)
の、真ん中辺。「使用上の注意>重要な基本的注意」の2.のところですね。
(1)本剤投与開始に際しては、聴診等の身体所見の観察、心エコー検査により潜在する心臓弁膜症の有無を確認すること。
(2)本剤投与中は、投与開始後3~6ヵ月以内に、それ以降は少なくとも6~12ヵ月毎に心エコー検査を行うこと。
とあります。このことです。
基本的にはパーキンソン病に対し、高容量で用いる場合を想定しての記載だと思われるのですが、僕が読む限りではこの「心エコー」の記載は、パーキンソン病/高プロラクチンの区別は、多分なされていないと思います。どうでしょう?僕の国語力の問題でしょうか?

で、話を続けます。最初に出て来た"高プロラクチン血症治療薬(???)"の話です。ちなみにパーロデル、テルロンの添付文書は各々以下のリンクからどうぞ。で、各々の薬の「効能/効果」を見てみてください。
カバサール:乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)
テルロン:高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)、乳汁漏出症
パーロデル:乳汁漏出症、高プロラクチン血性排卵障害、高プロラクチン血性下垂体腺腫(外科的処置を必要としない場合に限る)
です。
どうですか?どれも「高プロラクチン血症」とは書いてないです。必ず「高プロラクチン血性排卵障害」または「高プロラクチン血性下垂体腺腫」と書いてあります。
そういうことなんです。
つまり、「排卵障害」もない、「下垂体腺腫」もない、単なる採血で「プロラクチンが高い」というのは「効能/効果」のところに記載はありません。

あと、細かいことを書くと、仮に「乳汁漏出症/高プロラクチン血性排卵障害」で内服開始する場合でも、次のように書かれています。(3剤とも書かれています。)

「乳汁漏出症や高プロラクチン血性排卵障害では、投与開始前に、トルコ鞍の検査を行う。」

この「トルコ鞍の検査」というのは、おそらくMRIのことを指していると考えられます。

添付文書に書かれている内容通りに処方しようとすると、実はこれらの薬剤、ものすごくハードルが高いのです。これが現状です。

【お断り】
治療法には「医師の裁量」というのがあり、「必ず添付文書を守れ」というわけではありません。処方医が自己責任で処方をしているわけです。インフォームドコンセントの上処方されている以上、本ページはそれを否定するものではありません。この点誤解なきようよろしくお願い申し上げます。
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コメント

[C50] Re: 妊娠できました!!

ご妊娠成立、まことにおめでとうございます。
また、お粗末な本ページの内容で、本当に多少なりともお役にたてたとすれば、この上なくありがたいお言葉です。
今までの辛かったであろう日々を忘れることなく、妊娠生活→子育てを満喫してください。
そこにはきっと「不妊」を体験しなかったご自身より、ずっとずっと優しくお子さんに接することができるご自身がいらっしゃると思います。
  • 2014-01-26 11:52
  • どくさま
  • URL
  • 編集

[C49] 妊娠できました!!

初めまして(^○^)どくさま♪

2度の化学流産を経て、不育症を懸念した私は不妊治療専門医を訪ねました。
そこで高プロラクチン血症と診断されて以降、カバサールの服薬を続けてきました。
医師や薬剤師からはカバサールはプロラクチン値を下げる薬とだけ説明されました。
服薬前にネットでカバサールについて調べたところパーキンソン病にも用いられるものと知り乗り気になれないまま続けていました。
しかし効果は実感できない。
そもそも最初から排卵障害も乳汁ももちろんない状態。
インターネットで検索かけても高プロラクチン=カバサールというような内容ばかり。
セカンドオピニオンを受けても結果は同じ。
そんな状況下で奇跡的にどくさまのホームページに出逢い、今まで抱いていた頭のモヤモヤが全て吹き飛びました。
妊娠できないかもしれないことも運命と受け入れ、カバサールの服薬を止めたのが8月。なんと12月に自然妊娠することができました。これまでの2年間は何だったのか?!もちろん、これだけが原因ではないのかもしれません。
それでも、私はどくさまのホームページやブログに出逢えたからこそ、今日があると思っています。
情報発信してくださり、本当にありがとうございます(^○^)

今後の更新も楽しみにしています♪
  • 2014-01-25 15:13
  • みかん
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ドクターI

Author:ドクターI
武蔵境生息、(自称)不妊屋「ドクターI」、自己流生殖医療を語ります。

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